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界面活性剤の進化~その1(FILE No.055)

メルマガアーカイブ

美里康人

2006年にスタートしたメールマガジンのアーカイブページ。
『コスメの真実・裏側』は、このメルマガがきっかけで出版された書籍でした。

◆◆FILE No.055 / 2007年6月配信◆◆

界面活性剤の進化~その1

今回と次回で、今まであまり触れてこなかった界面活性剤についてのお話です。
界面活性剤の最近の動向についてお勉強しましょう。

一般ユーザーの認識では
界面活性剤は皮膚のバリア機能を壊し
中には、体内にまで侵入してしまう
そういった誤った理解をしている方がおられるのが現実です。

確かに20年以上も以前の
シャンプーなどの洗浄剤に
そういった界面活性剤が使われていた事は事実です。

いえいえ
子宮や体内にまでいたるというのは
自然派の方が誇大しておどしているだけで
そんな事実やデータはありません。

この業界にも「界面化学」や「コロイド化学」といった
きちんとした学問まで確立されており
当然の事ながら日夜新しい素材の研究や
開発がなされています。

では、今はどういった研究が進んでいるのでしょうか?
化粧品に使われる界面活性剤の研究を中心に
お話を進めていきましょう。


上記にも書きましたが
随分と昔は、界面活性剤と言えば
確かに皮膚に対してバリア機能を弱めるといった
リスクのある素材も存在しました。

しかしながら、それが問題点として社会問題化した時に
界面活性剤を製造しているメーカーは
安全性へのチャレンジを繰り返してきました。
それは生分解性の問題など
環境破壊に対しての配慮も同様です。

さて、では現在の市場において
こうした配慮がなされた新しい界面活性剤とは
どんなものがあるのでしょうか?

まずは生分解性が問題になった
洗浄剤関係の界面活性剤です。


花王さんはいち早く、「MAP」という
石鹸にリン酸を結合させた洗浄剤を開発しました。
これにより肌への刺激もさらに少なくなり
それまでの洗浄剤のように環境破壊の問題も
改善されました。

ただしリンについては
生分解の問題はいいとしても
河川の富栄養化が問題となりました。

つまり
リンによって川や海の栄養分が過多になり
プランクトンのエサが増えてしまったというわけです。
何年も前に問題となった
赤潮がこの影響だと言われています。

そうそう
洗濯洗剤の無リン化が進んだのも
同じ理由によるものでしたね。
洗顔料に使われるMAPの場合は
使用量がごく少量のため
今も継続して使われています。
花王の化粧品向け洗浄用アイテムは
すべてがこれに該当します。(2007年当時)


さて次は皆さんも耳にした事のある洗浄剤です。
ちまたで安全性が高いと評判の
アミノ酸系洗浄剤です。

まだまだ石鹸に比べると使用感的に問題点は残されていますが
皮膚粘膜への刺激という観点からみると
圧倒的な安全性を誇っています。

これは安全性の指針となる
眼粘膜の試験の結果をみれば明らかです。
ためしに洗顔の際に
眼に少し入れてみると分かります。
石鹸でもやはり目にしみますが
アミノ酸系の界面活性剤を使用した洗顔料は
ほとんど目が痛くありません。

アミノ酸は生体がもともと持つ成分ですから
それを由来にした界面活性剤は
人や動物・環境に対しても優しく
安心して使えるというわけですね。

ただしだからといって
必ずしも100%安心していられるというものでもありません。
厳密にいうとやはりこれも
河川に流れていくと栄養素になりますので
プランクトンなどの微生物のエサとなり
富営養化の問題が残る事となります。

といっても石鹸も
微生物のエサとなりますので
この問題の解決にはなりませんが(苦笑)
今後さらなる洗浄成分の開発が待たれるところですね。

さて長くなりましたので
続きは次回、スキンケアアイテムに使われる界面活性剤の進化についてのお話です。

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