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く、苦しいのか?ポリマー(FILE No.030)

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◆◆FILE No.030 / 2006年11月配信◆◆

く、苦しいのか?ポリマー

さて今回は、ポリマーについてのカルトな話題です。

ポリマーはお肌の悪者???

「ポリマーはお肌によくない」

このお話はよく耳にしますね。
でもこのお話は、今までにない位大変カルトな話題です。

ポリマーがお肌によくないという話題の場合、必ずといって良いほどシリコンと同列に扱われ、その理由にあげられるのが「皮膚呼吸ができなくなる」というものです。

おそらく読み手や聞き手のみなさんには、「ビニールでお肌を覆ってしまった感じ」として伝えられている事でしょう。

確かに、ポリマーと一般的に呼ばれる素材の中には、ビニールのように、空気も水も通さない被膜を形成するものもあります。
そして、その中には化粧品に使われる素材も含まれています。

例えば
その昔ピールオフパックと呼ばれて一斉を風靡した
「ポリビニールアルコール」と表示されるものです。

これは、乾くとまるでビニールのように薄い皮膜になり、お肌の表面を覆います。
その皮膜は、手でめくる事ができますね。

他にも、マスカラといった皮膜形成の必要な商品に使われるポリマーもあります。

しかしながら、こうした皮膜になってしまうポリマーは、
剥がしてしまうようなパックや
メイクものにしか使われる事はなく
スキンケアアイテムに使われる事は、ほとんどありません。

では、スキンケアに使われている「ポリマー」とは
どういったものなのでしょうか?

ポリマーとは

まずはいつものように、最初に少し化学的なお話をしておきましょう。

ポリマーとは
実は定義上非常に範囲の広い素材の事を言い表しています。
ポリマーの反意語としてモノマーという化学用語がありますが
これは分子が一つのものを指しています。

という事は
同じ分子が一つではなく
たくさん繋がったものが、ポリマーという事になりますね。

ちなみに
たくさんという程ではないが数個レベルで繋がっているものを
オリゴマー
と呼びます。
そう、「オリゴ糖」という言葉を耳にした事がありますね。

ですから、一般的にはポリマーは
たくさん数珠繋ぎのように
同じ分子が繰り返し繋がっているものを指しています。

「じゃ、どれがポリマーなの?」

実は、例えばヒアルロン酸
これも多糖類と言い、立派なポリマーです。
分子は、100万個以上繋がっています。

ですから、濃い濃度のヒアルロン酸液は
乾くとお肌の表面に皮膜ができたかのような使用感を与え
ツッパった感じがします。

他にはタンパク質もポリマーです。
これは、アミノ酸がたくさん繋がってできたものですね。

こうして、実は化粧品に使われている素材には
ポリマーと呼ぶ成分はたくさん存在します。

なぜポリマーがお肌の悪者に?

ではなぜ「ポリマーがお肌によくない。」というお話になったのでしょうか?
ヒアルロン酸がお肌に悪いという人はいませんね。

そこで登場するのが
カルボマー」という合成ポリマー成分です。

このカルボマーと表示されている成分
化粧品原料名では「カルボキシビニルポリマー」と表示していたので
この名称からビニールもどきのイメージを与えて

カルボマー

ビニールポリマー

ビニール

ポリマー

この勝手な公式を利用して
一般コスメ誹謗のターゲットにしたのでしょうね。

自然派系コスメメーカーの
もっとも多い他者非難のパターンですね。
「合成」「ポリマー」
この二つのキーワードで
自然派系やオーガニックコスメの十分な宣伝になるわけです。

カルボマーの役割

さて、このカルボマー
スキンケアコスメにはなくてはならないほど
かなりの広い商品に配合されています。

ちょっと身の回りのコスメを手に取って、見てみて下さい。
特に乳液には、必ずといっていい程配合されています。
他には
ゲルアテイムには100%この素材が使われています。
他にもクリームやトロミのある化粧水・美容液
挙げればキリがありません。
つまり、製品の増粘剤として使われているからなんですね。

他にも
「(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー」
「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー」
といったものも、これに類する成分です。
乳化を助ける機能も持っているため
界面活性剤の補助として
クリーム・乳液によく使用されます。

では、これらの合成ポリマーは
本当にお肌に良くないのでしょうか?

いえいえ、そんな事は決してないのです。

以前から購読頂いている方々は既にお分かりだと思いますが
ポリマーは高分子と言い換えますから
つまりは分子量が大変大きいので、
まず、皮膚の内部に浸透する事は、絶対にありません
という事は、まず体内への影響は心配する必要がないんですね。

ポリマーは皮膚呼吸を妨げる?

次によく言われる皮膚呼吸の妨げです。

一番最初に書きましたね。
こうした皮膜を作るのは
ビニール系のパックに使われる素材のみです、と。
ですから
こうしたスキンケアに使われるポリマーは
皮膜を作るといっても
実は網目のように穴だらけの状態と想像して下さい。

水分も空気も、全く妨げなく通過してしまうのですね。

つまり
魚を捕まえる網のようなものだと考えて頂ければ
理解しやすいかと思います。

こんな感じ↓

ポリマーのイメージ

もちろん、ヒアルロン酸も同様です。

ですから
むしろ外的な要因から守ってくれるような役目や
網の中に保湿剤を閉じ込めて
肌表面に留めておくという役目を果たす事はあっても
皮膚呼吸を妨げるような事は全くありません。

保湿剤(例:グリセリン)を閉じ込めているイメージは、こんな感じです。

ポリマーのイメージ

という事で
ポリマーがお肌に良くないという根拠など
どこにもないという訳です。

おまけ

ちなみに
「石油由来のプラスチックをお肌にのっけてるようなものだ!」
というお話を聞きますね。

合成を非難するための
いよいよ追い込まれた最後のあがきという感がありますが・・・。

今、手元にボールペンやシャープペンシルがありませんか?
今、パソコンのキーボードに手を置いていませんか?

もしも、身の回りのプラスチック製品で
体に触れてカブれたなんていうお話を聞いた事があれば
ぜひともコメント下さい(笑)

最後にもう一言だけ補足を

最近の人体の研究で、こうした事が判明したそうです。
皮膚呼吸を妨げると人間は死ぬという理論は間違いだった。

その昔、金のラメを全身に塗るショーは
何時間もあの状態だと死ぬので危険と言われていましたが
実は実際にショーを行っている方達は
半日も一日もあの状態なのだそうです。。。

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