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保湿剤の有名人~その4:アミノ酸(中編)(FILE No.016)

メルマガアーカイブ

美里康人

2006年にスタートしたメールマガジンのアーカイブページ。
『コスメの真実・裏側』は、このメルマガがきっかけで出版された書籍でした。

◆◆FILE No.016 / 2006年8月配信◆◆

保湿剤の有名人~その4:アミノ酸(中編)

前回「保湿剤の有名人~その4:アミノ酸(前編)」に続いて
化粧品中に利用されるアミノ酸について、お話を進めていきましょう。

アミノ酸がコスメに利用されているケースとしては
主に以下のように分類する事ができます。

  1. アミノ酸をそのまま化粧品に配合し、その効能を期待する商品
  2. アミノ酸を界面活性剤の技術に応用し、よりお肌に安心して使える界面活性剤として利用
  3. アミノ酸に別の成分をくっつけて合成した素材を、保湿剤として利用している場合

では、それぞれについて具体的に期待されているお肌への効果と
該当する化粧品について
ユーザーが注意する事はないのかについて
解説していきましょう。

1.アミノ酸単独配合コスメ

こうしたコンセプトの化粧品は
スキンケアだけでなく
最近はヘアケア商品にも大変多くみられるようになりましたね。
そこで、こうした商品がどういった効能を謳っているのか
そしてそれは本当なのか検証をしていきます。

アミノ酸を謳い文句とした商品のほとんどは
スキンケアにしてもヘアケアにしても
前回で書いたようにケラチン(皮膚や髪の)の構成物質である事をとりあげ
それを補充するといったアピールをしているのではないかと思います。

つまりこれは
皮膚や髪を根本的に修復するという効果と捉えてよいでしょう。
では、本当にアミノ酸をダイレクトに塗布する事で
人体の一部が再生をなし得るのでしょうか?

答えは
「あり得るが、実際に確認された訳ではない」
と言って良いでしょうか。

確かに
人工の皮膚で実験した結果においては
アミノ酸で構成された皮膚の一部に定着したかのような結果は得られているようですが
実際に生きた生体でそうした現象は
確認されていないのが現状です。

ではなぜそうした結果になるかというと
生きた人間の皮膚は代謝という機能を持っているからです。

一つには皮膚の代謝、そしてもう一つが、分泌物による代謝です。

人間の皮膚は代謝を繰り返して生まれ変わり
そしてその過程においては
皮膚のセンサーが有効と判断した成分以外は
排除するという活動も行っています。
これは皆さんよくご存知のように
ターンオーバーと呼んでいますね。
どうやら皮膚のセンサーは
なぜかアミノ酸を必要な成分として認識しないようなのです。
なので、定着する事なく代謝されてしまうと考えられています。

さらに分泌物による代謝に含まれるのが「汗」です。

前回書いたように
水に溶けるアミノ酸は汗に溶けてしまうために
せっかく塗布したアミノ酸も
汗によって外へ代謝されてしまうという訳です。

ようするに、これらの要因により
結局アミノ酸は皮膚には定着しないと考えられています。

ここで一つ疑問点が浮かんできます。

「んじゃ、髪の毛は死んだ組織なんやし、代謝せずに髪にくっついて修復されるんちゃうん?」

実は、これも答えは
「No」

なぜかというと
死んだ組織は積極的に受け入れるという活動もしませんので
男女の仲と同様で
アミノ酸がくっつこうとしても無視されるからです(笑)
笑ってる場合ではなく、これは本当のお話です。


さて、ここまでのお話では

「それじゃ、アミノ酸がそのまんま配合されてたって意味ないやん!(怒)」

って事になりますし
実はさらに問題として大きな事は

『アミノ酸は高価なので、大量に配合できない。』

という事です。

手にしている商品で
こうした謳い文句を掲げている商品の全成分表示を
よ~くご覧になって下さい。
きっとアミノ酸は
後ろの方の1%以下の成分に位置しているはずですね。
これでは、ケラチンの修復効果にはほど遠いと考えざるを得ません。

という事は
アミノ酸の配合は全く無意味なのでしょうか?

いえいえ
実は皮膚にとって違う役目をはたすアミノ酸が存在するのです。
それが『保湿』です。

例えば
グリシンセリンといったアミノ酸は
皮膚が構成している水素結合に作用するという事が分かっています。
そうです
尿素の時に書いたような保湿作用という事ですね。

尿素ほどではないにしても
グリシンやセリンはこのケラチンの水素結合を緩めて
水分がくっつきやすくなる効果をもたらしてくれます。
グリセリンなどの保湿剤にはないこの保湿機能は
こうしたアミノ酸でしか得られないと言えるでしょう。
ただし
限られたアミノ酸のみが果たせる機能だという事を
決して忘れないでおいて下さいね。

少なくとも
「必須」だのとの理屈で
たくさんの種類のアミノ酸が配合された商品に
あまり意味はない事がお分かり頂けたかと思います。

さて、「アミノ酸型界面活性剤」は、次回に続きます。

 

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