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保湿剤の有名人~その5:ワセリン(FILE No.018)

メルマガアーカイブ

美里康人

2006年にスタートしたメールマガジンのアーカイブページ。
『コスメの真実・裏側』は、このメルマガがきっかけで出版された書籍でした。

◆◆FILE No.018 / 2006年8月配信◆◆

保湿剤の有名人~ワセリン

さて、今回の題材はワセリンです。

鉱物油という事で、まだまだ避けられている方も多いようですが、ここ1~2年、皮膚科や病院で保湿治療に使われている事がクチコミで広がり、特にアトピー体質の方は薬局で購入されているケースも多くなってきました。

ではいつものように、「ワセリンって一体なんなんなの?」というところから説明していきましょう。

ワセリンとは

ワセリンというのは
石油から分留された炭化水素(CH)の一部だというのは
皆さんご承知の事かと思います。
(分留とは、揮発温度によって各成分に分けていく事)

石油は
発掘後に灯油、ベンゼン、ガソリン、アスファルト
そしてこれらのワセリンパラフィンなどに分留されていきます。

という事は
それぞれに揮発温度が異なる事がここから分かります。
そう
ガソリンなどは常温でもモワ~っと
どんどん揮発しているのは皆さんご存知の事だと思います。

そしてこれは化学的に言うと
炭化水素の数によって変わっていくという事になります。
中学の化学の時間に習いましたね。
メタン・エタン・プロパン・・・というアレです。
つまり
炭素の数が増えていく事で、揮発温度も高くなるという事です。

メタン→CH
エタン→C
プロパン→C
ブタン→C10


と、こうなっていきます。
揮発性の高いエタノールがCOHですから
それもこれでお分かり頂けるかと思います。

で、石油を分留していって
最初の方のC5~C7辺りまでは揮発性も結構高く
溶剤としてドライクリーニングなど
速乾性の必要なものに使われます。
そしてC6~C12位までは
燃料としてガソリンに使われ、まだまだ揮発性もある状態です。
この辺りまでは、分子の大きさも小さいので
皮膚内部にまで浸透する事もあり
お肌に付くと良くありません。

C12~C20位になると揮発性もかなり影を潜め
この辺りは灯油や軽油といった燃料として利用されます。
ここまでは揮発性もありますので
すごい臭いを記憶されている方も多いかと思います。

で、ワセリンは
C16~C20辺りの全く揮発しない部分に入ります。
これ以上の部分が、固形パラフィンなどに該当する事になります。
ここまで来ると室温では全く揮発しないので
臭いも全然ありませんし
皮膚に浸透することも全くありません。
もちろん、溶剤としての危険性も皆無です。

こうしたワセリンと同じような炭化水素系の素材は
ミネラルオイル・高融点パラフィンなどがあります。
ローソクに使われているのが
この高融点パラフィン(パラフィンワックス)です。

鉱物油はお肌に悪いの?

ここまでワセリンについて簡単に説明してきましたが
ではなぜこれまで
「鉱物油はお肌に悪い」
という事が切々と語り継がれてきたのでしょうか?
それは、ここまでのお話にヒントがありました。

そうです。
分留していく際に残っている
C(炭素数)の少ない成分の問題です。

昔のワセリンやミネラルオイル(パラフィン)には
溶剤や燃料に使われるようなCの少ない分留成分が
不純物として残っていたからですね。

こうした燃料に使われるような揮発性の高い成分は
皮膚内部にまで浸透し、悪影響を与えるのは当然だったのです。

しかしながら
既に現代では精製技術が進化し
限りなく100%に近いピュアなワセリンやミネラルオイルが作られるようになり
こうした心配は全く皆無の品質が得られるようになりました。
それが、『白色ワセリン』であり
局方規格として薬局で買う事ができる
医薬品向けのサンホワイトという製品名である訳です。
それを証明し、確認するのはごく簡単な事です。
揮発点の低い低分子留分の成分は、上記で書いたように独特の性質を持っているからです。

そうです。
「揮発温度が低いために、存在していると異常な臭いがする」事です。

高融点パラフィンであるロウソクが臭い刺激臭を放つのは
精製が良くなく
この揮発性の低分子留分が残っているからなのです。

他にも、低分子留分は光に弱く酸化されやすいため
色がすぐに黄色く着色します。
これが、昔に存在した「黄色ワセリン」という
品質のあまり良くないワセリンです。
今の白色ワセリンでは
紫外線下に何日放置しておいても
臭いも色も全く変化しない事が、それを証明しています。

以上が、ワセリンについての過去の歴史と安全性についてのお話でした。

保湿成分「ワセリン」のまとめ

ワセリンは
薬剤や天然の素材ではありませんので
特に薬効がある訳でもなく
皮膚に有効な効果を与えるものでもありません。
しかしながら
全く皮膚に浸透しないその性質から
外気から皮膚を守り
皮膚内の水分の蒸散を防いで保湿を求めるには
もっとも優れた成分と言えます。

特にアトピー体質の方のように
保湿が症状に多大な影響を及ぼす方には
大変有効な成分ですね。

良い薬効もない変わりに
逆に悪い影響も一切及ぼさないというところが
もっともこの成分の重要なポイントと言えます。
ただし注意が必要なのは
毛穴を隠蔽してしまう事で肌トラブルを招く体質の方もおられますので
ワセリンやミネラルオイルだけで皮膚トラブルを起す方は
こうした肌質なのだと理解しておく必要があります。

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