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溶解・乳化・分散のちがい(FILE No.047)

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◆◆FILE No.047 / 2007年4月配信◆◆

溶解・乳化・分散のちがい

前回は牛乳を題材に
簡単に乳化についてお話しました。
その際に「油が溶ける」という事とは異なる
という話に少し触れました。

では何がどう違うのか
今回は考えてみましょう。


前回のお話の中で
塩が水に溶ける」と書きました。
これは混ざる事のない油を入れるのとは違って
水に溶ける物質を溶かすので
溶けた状態は透明になりますね。
これを「溶解」と言います。

ところがこの場合
ある一定以上の濃度を超えると飽和状態になり
今度は溶けなくなった塩の結晶が
目で見えて残り
溶けないようになりますね。

こうなると
いくら混ぜても絶対に溶けなくなります。

でもこれは
水に溶けない油を乳化するのとは違い
固形物がそのまま見えています。
ですから
物理的には全く異なる状態という事になります。

なぜなら、ここに界面活性剤を入れても
むしろさらに結晶の量が多くなるだけで
状態は変わらないからです。

これは結局
溶ける溶けないの問題に加えて
液体(水)に対して固体(塩)を配合するという
物質の違いがあるためですね。

それに対して油は固体ではなく液体ですから
「溶ける」事はないにしても
油に界面活性剤を接触させてあげれば
形や大きさを変えて水中に維持しておく事が
可能になるというわけです。

これが「乳化」と言って
溶解とは決定的な違いです。

そして物を溶かすという場合に
実はもう一つのケースがあります。

それは例えば
小麦粉を水に溶かすといった場合で
塩ように水にも溶けず
また物質的にも異なる固体(粉)を配合する時です。

こちらは溶ける事もありませんし
なおかつ固体なので
界面活性剤があっても形や大きさを変える事すらできません。
ですから
粉のまま水の中に見えているという事になります。
この場合は「分散」という言葉を使います。

以上が「溶解・乳化・分散」の違いです。
つまり逆にいうと
乳化というのは界面活性剤がないとできない
という事になりますね。


さてここで疑問が起きる事になります。
化粧水に精油や香料という油を
透明に溶かしてある場合です。

なぜか水に溶けない油が
透明になって溶け込んでいるかのように見えますね。

これは実は
可溶化」と言います。

この場合は
塩が水に溶けているのとはまた異なり
溶けない物質であるにも関わらず
界面活性剤がかなり過剰に使われている場合で
界面活性剤の量の多さから油の粒子が極端に小さくなり
既に油の粒子が目では見えない状態になっているケースです。

お分かりいただけたしょうか?


さて最後にちょっとした不思議についてお話しましょう。

クリームや乳液はなぜ白く見えるのだろうか???

すごい単純で当たり前のような話なのですが
実はふか~い意味があります。

これまでにも書いたように
乳化とは透明な液体の油が
界面活性剤によって小さな粒子になり
水の中に維持されている状態です。

なのになぜ白くみえるのでしょうか。
もちろん
水にも油にも白い色がついているわけではありませんね。

では、説明しましょう。
これは液体の向こう側から入ってきた光が
人間の目に入ってくるまでの間に油の小さな粒のところで
光が屈折してしまう事によります。

可溶化のイメージ

図で示すとこんな感じです。

油の粒が相当大きいですが(笑)
そこのところで光が屈折し
向こうの光がまっすぐに届かなくなってしまうためです。

もちろん乳液やクリームの場合は
油の粒がミクロン単位で目で見えないくらい小さくて
しかも無数にたくさん存在しているため
もう向こうの景色の光は届かなくなるという事になります。

それで、白くなって向こうの景色が見えなくなるんですね。

今回はちょっと難しいお話でしたでしょうか。

次回は少し肩の力を抜いて読める題材にしましょう。
お楽しみに。

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