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ソープレスソープとは?~その1

あらためてになりますが
弊社には新規で化粧品ブランドを立ち上げられる個人の方や
既に商品を販売していて新しい製品を開発したいメーカーさま
はたまた名の知れた中堅どころブランドの
企画や開発を担っておられる方々と
様々な化粧品開発や企画のお話が持ち込まれます。

やりがいのあるビジネス

そんな中、弊社の場合は企業のポリシーとして
大量の数(ロット)の商品をできるだけお安く・・・といった
いわば格安商品の企画案件に関しては
弊社は仲介せずにそういった化粧品生産がお得意な
OEM会社さんや工場さんをご紹介して差し上げています。

そんなところに弊社が介在しても
得意先の方にとっては利益になりませんから
長年のコネクションを利用してご紹介し
弊社は間に入らないようにしています。

これは私自身のポリシーでもありますが
そういった棚ボタビジネスで利益をあげようとも思いませんし
なにより、仕事として面白くないからですねぇ。

と、そんなわけで
むしろ逆に個人のベンチャーなビジネスで
新規のブランド起業ということで
少ない数でも面白い企画であれば
むしろその方が意欲が出てきます。
利益度外視で、私自身がワクワクしてきますね。

研究者としてこんなことばかりしていたら
またアシスタントに怒られますがね。。。

あらたな洗浄剤製品

とまぁ、そんな中でつい先日
あるルートから非常に面白い企画の案件を
お持ち込み頂いたのです。

それは、すでにアシスタントがブログ記事で予告しているように
「新しい固形石けん」の企画でした。

いや・・・ちょっと言葉に誤解がありますね。
「固型石鹸」ではなく
「石鹸ではない固形石けんバー」とでもいえば良いでしょうか。
海外での呼ばれ方に言い替えれば
「ソープレスソープ」ということです。
※以降は普通の固形石鹸のことを「石鹸」とし、これとは製剤が異なるものを「石けん」と表記分けします

つまり、固型石けんと言えば昔からある「石鹸」のことですが
日本において昔から文化として根付いた
いわば洗浄剤の代表。

しかしながら一方で
どうしてもアルカリ性であるために目に入ればしみて刺激がありますし
私のようなひどいアトピーなんかを患っていると
さすがに飛び上がるほど痛くて、使えません。
ドクターにも「使っちゃダメだよ・・・」
お叱りを受けますし。

あとは、どうしても水道水に含まれるミネラル分(カルシウム)と反応し
石けんカスがお肌に残るのは避けられません。
私自身も顔に残るあの石けんカスの「ギシギシ・・・」
たまらなく、どうにもいけません。

こんな固形石鹸ですが
もう100年にもおよぶこの文化は化粧史にも示されている通り
いまだ改革されていなのが現実です。

私自身もアトピー体質でなければ石鹸は嫌いではなく
弱酸性で刺激の少ない石けんができないものか、と。
長い化粧品研究者人生における永遠の課題といっても
過言ではないですね。

ということで今回のご依頼は
これを打ち破った新しい石けんバーが作れないだろうか?
というのが課題でありました。

しかも、少々なんらかの難点があったとしても
付加価値の高い製品として市場を獲得したい、と
なんとも嬉しいお言葉を頂戴した依頼でありました。

ソープレスソープはあるのか

で、今回の話題は私がどんなものを作るのかというのではなく
(さすがに開発ノウハウですので、期待された方は申し訳ありません・・・)
市場にこの「石鹸ではない固形の石けん」があるのかを
話題にしてみようと思います。

結論から先に言っちゃえば
ご存じの方も多いと思いますが、きちんとあります。

列記してみましょう。

1.イセチオン酸系ソープ

これは海外で売られている製品に多く
代表的なのはご存じの「ダヴ」(ユニリーバ)です。

ココイルイセチオン酸塩をベースに固めた石けんで
日本でも輸入されたものが売られています。

イセチオン酸は成分名からはわかりにくいのですが
いわば合成界面活性剤になることから
日本ではあまり人気がありません。

これが合成界面活性剤の硫酸系の仲間であることは
意外と知られていません。

で、この製品が海外で使われているのには理由があります。
それは、日本よりもはるかに硬度の高い硬水の国が多いため
いわゆる固形石鹸では泡が全く立たずに使えないからです。
つまり硬水でも使えるように開発された
石けんバーということになります。

この石けんのメリットはほぼ中性なところで
この観点からは
目に対する刺激が緩和されています。

2.ラウリル硫酸塩ソープ

洗顔向けの石けんではなくシャンプーバーなのですが
皆さんよくご存じの海外から入ってきた
「LUSH」がこれですね。
こちらも海外の硬水地域では使えない
固形石鹸の代替として産まれたものです。

ちなみに、お顔やボディに使用する石けんは
固形石鹸になっています。

後ほど書きますが
これはちょっと書きたい利点が見当たらないというのが正直なところ。
その昔問題となったラウリル硫酸は
刺激が強すぎるので入手は止めました(苦笑)

いまだに、この製品も石鹸だと誤解されている方が
多くおられるようです。

3.アミノ酸系ソープ

最後は日本独自の技術で作られたアミノ酸系で
有名なのは「MINON」

これはとにかくアミノ酸系界面活性剤特有の
敏感肌向けの低刺激がウリで
赤ちゃんでも安心して使えるのが特長です。
また、天然由来と言えるアミノ酸系というのも
ユーザーさんに安心感を与えてくれますね。

pHもダヴと同様にほぼ中性で
アルカリ刺激が苦手な方はオススメです。

ただし、後ほど列記していますが
難点が多いためになかなか市場を占めるところには達せず
実に残念なところです。

実は息が長くすでに歴史は20年を超え
その中で改良の要望は強かったのですが
これ以上処方的に手をつける余地はなく
コアなファンが続いていくものと感じます。

* * *

ということで、次回は固形石鹸が絶対超えられない
このソープレスソープのひとつの特長
弱酸性、もしくは中性と言われるのが本当なのか
検証してみる実験と
なぜこれが売れないのかに触れてみたいと思います。

ではでは。

by 美里 康人

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