美里康人
ニベアクリームの成分は面白い!?
ニベアクリームといえば、花王さんの商品ですね。
前回に続いて花王さんの話題か。。。ってお話ですが
まぁ、処方設計技術としては
プロの技術屋をうならせる製品が多いので、どうかお許しを。
さて、今回のテーマとなるニベアクリームは
“化粧品技術としても凄い”という内容ですので
ちょっと知識のある方なら
「ほんとだ! なんで??」となるお話です。
余談ですが、ニベアクリームには、缶入とチューブの商品がありますが、
どちらも中身は同じです。
Q.「ニベアクリーム」のチューブと缶の中身は同じなの?
A.「ニベアクリーム」には、缶(大・中)とチューブの2タイプの容器がありますが、同じクリームを各容器に充填して製造しています。
(花王HPより)
花王HPより/リンクは→こちら
この記事の目次
ニベアクリームの全成分
さて、その本題ですが
まずは現行処方の全成分を見て頂きましょうか。
ムーブメント作ろうと顔出し
他社商品の成分みて、鑑定だー!だのと
専門家きどりのおにいさん達と一緒にされるのはイヤなので
なんだか少々筆(?)が重いですが…
まぁ、皆さんにしっかりその花王さんの技術を理解頂くために列記します。
ニベアクリームの成分分類
ニベアクリームの“ヒミツ”を読み解くために、
全成分をざっと機能ごとに分類して、分かりやすくしてみましょう。
なお、微量添加の美容成分や香気成分は今回のお話とは関係ないので
製剤ベースに関わる部分だけを抽出します。
水と水性成分
- 水
- グリセリン
オイル成分
- ミネラルオイル
- ワセリン
- 水添ポリイソブテン
- シクロメチコン
- マイクロクリスタリンワックス
- ラノリンアルコール
- パラフィン
- スクワラン
- ホホバ油
- オレイン酸デシル
- オクチルドデカノール
感触調整剤・色成分
- ジステアリン酸Al
- ステアリン酸Mg
- 硫酸Mg
これがリアルな「処方解剖」です。
わかりやす~い若手技術者が作ったような処方なら
だいたいもうこの時点で
「ハイ、分析終了!」
となることが多いです(^_^;)
でも、設計技術を駆使した商品なら
フツーはこれだけで何も分からないですね。
「まさに現場経験則の有無」がモノを言います。
なぜなら、界面活性剤やその補助剤など
たかだか1%で「異なるモノ」になるのは
常識的なことですから。
なので、%が読めない基本ベースで設計されていると
一気に解剖が困難になるんですね。
今ではクリームを設計するのに
界面活性剤は1%以下で設計できますから。
なので、実際の原料で検索をかけたり
実際に試作してみて探りをいれるといった
具体的作業に入るわけです。
と、お話がまた逸れそうになりました…(汗)
珍しいニベアクリームの成分構成
さて、上記の成分の分類をみて
弊社のアカデミーをご卒業されたユーザーさんは
「あれ?? おかしい…。」
と気付かれた方が、おられるのではないでしょうか?
概略をイメージ化すると
主たる3つのトータルオイル量が読みづらいですが
およそ40~45%といったところでしょうか。
あとは微量の添加剤・香料
そして残りは水と多価アルコールのグリセリン。
保湿剤の有名人~その8:グリセリンとは(FILE No.021)
さてさて、何がおかしいのでしょうか?
フツーのメーカーさんのクリームならば
必ず配合されているモノが…あれれ??
そして、ちょっと不可解な分類がありますね。
「感触調整剤・色成分」
さて、これの意味するところはいかに?
この2点に、この製品の処方技術の面白さが隠されています。
ウチのアシスタントや新人クンも見てるはずなので
もったいぶる訳じゃないですが
この答えは次回にさせて下さいね(^_^;)
ごめんなさい!
というか
アシスタントも新人クンも
この答え分からなかったらどうしよう…(苦笑)
では、また。
by.美里 康人