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保湿剤の有名人~その8:グリセリンとは(FILE No.021)

メルマガアーカイブ

美里康人

2006年にスタートしたメールマガジンのアーカイブページ。
『コスメの真実・裏側』は、このメルマガがきっかけで出版された書籍でした。

◆◆FILE No.021 / 2006年9月配信(2021年9月加筆)◆◆

保湿剤の有名人~グリセリンなど

さて、この保湿の有名人シリーズ(笑)も
いよいよ最終回となりました。

グリセリンとは

最終回を飾るのは
もちろん超有名人のグリセリンです。

といっても
私が書くのにフツーのお話ばかりでは納得がいかないでしょうから
化粧品には前の方によく表示されている
BG」や「DPG」などの保湿剤も含めてとりあげてみましょう。

化学構造式から見るグリセリン

今回は早々に化学的なお話になってしまいますが
なぜグリセリンを「BG」や「DPG」と同じお話で扱うかという点について
説明していく事にしましょう。

まず、BGとDPGの正式な名称を明確にしましょう。

BGは「1,3-ブチレングリコール」

DPGは「ジプロピレングリコール」

でも、これだけではいったいなんのことやら分かず、共通点みたいなものは見つかりませんね。

そこで、これら成分を化学構造式にしてみましょう。

グリセリンの構造式

グリセリンの構造式

グリセリンは、グリセロール(glycerol)とも呼ばれ、
驚かれるかもしれませんが、実はいわゆるアルコールの一種です。

悩む茶トラ

え? グリセリンがアルコール???
その通りなんですが、早合点しないでくださいね。その理由は、美里所長さんに教えてもらいましょう!

ゆっきー

詳しい説明の前に、まずは、BGとDPGの化学構造式を見てください。

BG(1,3-ブチレングリコール)の構造式

BGの構造式

DPG(ジプロピレングリコール)の構造式

DPGの構造式

いかがでしょうか?

上記の構造式をよく見てもらうと、共通点が見つかると思うのですが、
それは、赤で囲んだ「OH」(水酸基)の部分です。

このように、構造中に「OH」がついている素材を「アルコール」と呼びます。

一般的に「アルコール」と言われ、認識されるエタノール(エチルアルコール)も、構造式を見ると「OH」がついています。

エタノール(エチルアルコール)の構造式

エタノールの構造式

構造式を見て、気付かれた方もおられるでしょうか?

「OH」のついた素材は全てアルコールの仲間で、
必ずその化学名の後ろに「〇〇〇ール」とつくという訳です。

このOHが、グリセリンは3個、BGとDPGは2個ついてますね。

そこで同じアルコールの仲間でも、
3個のものを「トリオール」、2個のもの「ジオール」と呼んで、区別をしています。

そう、この用語は、化学の世界ではよく出てくるギリシャ語の数字から来ています。

1 mono モノ
2 di
3 tri トリ
4 tetra テトラ
5 penta ペンタ
6 hexa ヘキサ
7 hepta ヘプタ
8 octa オクタ
9 nona ノナ
10 deca デカ

1から10までを一覧にしましたが、6くらいまでは化粧品の成分名にもよく出てきますので
覚えておくと便利です。

テトラポット

ちなみに身近な言葉では、
・防波堤にたくさん積んである「”テトラ”ポッド」(4本の足)
・アメリカの国防総省の呼び名が「”ペンタ”ゴン」(五角形)
・六角形は「”ヘキサ”ゴン」
・タコの俗称が「”オクト”パス」(8本足)などがあります。

こうして身近なものと結びつけると、化学名も大して難しくはないでしょう!?
きっと、化学アレルギーも、出てこなくなりますよ(笑)

ちなみに、この数字のことをもっと詳しく知りたい方は、「倍数接頭辞(ばいすうせっとうじ)」と検索してみてください。

さて、話を戻しますが、もっと大きな分け方で、
2個以上のOHがついたものについて、「ポリオールという言葉を使用することもあります。

「ポリ」には、「たくさん」という意味があり、
例の「”ポリ”マー」(高分子)も、たくさんの分子がくっついたものという意味になります。

OH(水酸基)と保湿性能

「グリセリンの保湿とは」という今回のお話と、
このOHがついていることが、どのような関係があるかというと
以前にも出てきた、皮膚や髪などのケラチンがもつ水素結合との関わりを思い出して欲しいのです。

メルマガアーカイブ保湿剤の有名人~その1:尿素(FILE No.011)

OHがついた成分は、水素結合との関わりで水分とくっつく性質をもつというお話です。

ジオールやトリオールとOHが複数くっついていることで
水分を保持する能力を持つということになります。

ということは、OHを持っている成分は保湿剤としての役目を果たすというわけです。

その中でも、グリセリンはOHが3個もくっついていますので
他のものと比べて保湿力が高いことになりますね。

他にもグリセリンとなると
グリセリンの倍の6個のOHがつくことになりますから
もっと保湿力が強くなります。

さらに、ヒアルロン酸や糖類などは、もっともっとたくさんのOHがくっついているために
水を保持する能力が大変高いというお話につながりますね。

「ジオール類」の裏話

さて、これで穏便に終わってしまうと、この「コスメあら!?カルト??」なお話にはなりません。

ここまでは、保湿剤という成分としてのお話を進めてきました。

各メーカーの成分説明でもそうなっているはずですね。

しかし、ここにも実はユーザーに隠されているカルトな裏話が潜んでいるのです。

グリセリンの説明をする際、比較する成分としてBG・DPGを紹介しましたが、
同様にこのジオールの仲間として最近よく化粧品の成分中に出てくる名前があります。

それが、「ペンチレングリコール(ペンタンジオール」や「ヘキサンジオール」ですが、
実はパラベンの代替の防腐剤としてよく使われています。

特に、無添加系や自然派系と呼ばれるアンチパラベンコスメに頻繁に使われています。

パラベン未配合の代わりに、防腐剤としてこのような成分を代替に配合しているのです。

つまり、1個のOHがついた皆さんよくご存知のエタノール(エチルアルコール)みたいなものは殺菌力があり、
2個のOHがついたジオールの類いの成分にも、同様に菌を殺す力があるということです。

多くの市販コスメに使われているBGやDPGはそんなに強くはありませんが、
ペンチレングリコールヘキサンジオール、そしてもっと強いカプリリルグリコール(オクタンジオール)などは、
その能力が非常に高く、微生物に対する強い殺傷能力を持っています。

ここでよく認識する必要があるのは、
微生物の生命に影響を及ぼす=人によっては皮膚になんらかの影響を与える可能性がある」ということです。

実際上この三つの成分に対しては、刺激を訴えるユーザーの報告が多く聞かれています。
無添加コスメのおそるべき実態がここにあったという訳です。

もちろん、人によってどの成分が合わないかは使ってみないことには分かりませんが
とりあえずパラベンフリーだからと安心ではないということを
きちんと認識しておいてください。

その化粧品に使われている防腐剤が何で
そして自分にはどれが合うのかを見極めることが
もっともコスメ選びの重要なポイントということになりますね。

「グリセリンとは?」から、保湿剤の役割だけではなく、パラベンフリーコスメの秘密のお話でした。

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