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氾濫するカルトな出版物(FILE No.022)

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◆◆FILE No.022 / 2006年9月配信◆◆

氾濫するカルトな出版物

今回は、コスメやビューティに関する書籍について、カルトな話題を取り上げてみます。

最近、この手の書籍の売り上げは大変好調で
女性の美への深層心理をくすぐる事から
かなりの書店のコーナーを占拠しています。
さらには
ベストセラーブックまで出てきています。

以前にも取り上げましたが
元外資系BAを勤めたエステサロンオーナー
“佐伯チズ”氏の書籍の大ヒットは
皆さんもよくご存知かと思います。

確かに美容理論やスキンケア法についての切り口は斬新で
ユーザーにとってためになる内容も多いために
売れに売れたようです。

しかしながら
一部には知識の範疇外である化粧品の中身にまで内容が波及し
消費者が誤解を招くような内容も
多く見受けられました。
また
同様の内容を散りばめるだけで何冊もの本を出版する手法は
印税確保と疑われても仕方のないところでしょう。
今では信仰者とも言うべきユーザーも多く
その責任は大変重い事も認識して欲しいところです。

さて
こうして内容の一部に問題が見受けられる書籍は別として
もともと出版の目的からして
とてもユーザーの育成とは考えられない書籍類を
紹介していきましょう。

これには、いくつかのタイプに分ける事ができます。

1.政界関係タイプ

NPO法人である消費者連盟の活動の一環として出版しているが
実は裏では政界婦人会と連結し
結局は政治活動の一部となっている。
環境問題と取り組んでいるかのようなアクションをするため
石鹸メーカーとタイアップしているケースが多い。

『危ない化粧品』(シリーズ)

2.ジャーナリスト売名タイプ

全く化粧品に対する知識がないにも関わらず
ジャーナリストとして名声を高めて印税を手中にするための
一執筆活動のケース。
一般書籍や情報本から情報を収集し
環境問題にひっかけて消費者に危険性を広報する事で
名声を狙うのが目的。
様々なジャンルに目をつけ
消費者の「危機感」を煽って興味をひく手法で
アピールする切り口になっているのが特長。

『買ってはいけない化粧品』
船瀬俊介 著

*
環境問題評論家。
生協に在籍していた。
この方が、ただそれだけでなぜ化粧品の判定ができるのか、全く意味不明。
*

『不良化粧品一覧―資生堂よ、反論せよ』
平沢正夫 著

*
京大文学部出身。
フリージャーナリスト。
この方に至っては、問題提起に対する根拠が全く見えない。
*

3.自社化粧品広報活動タイプ

自社の商品を売らんがための苦肉の策。
特定の成分や他社製品に対して
危険性を標榜する事で自社商品の正当性をアピールする手法。

『あなたは「石油製」化粧品を肌につけている!?』
『化粧品選びであなたの人生が変わる』

南部昭行 著

*
アスカ「アスカコーポレーション」の社長で創業者。
外資石油会社にて航空燃料の開発に携わる。
アスカについて・・・
化粧品に対する知識は皆無なため
自社に化粧品製造設備は持たず
OEMメーカーに全て依存している。
実は天然素材に対する考え方は全く無尽蔵で
合成原料であっても天然由来成分が一部でもくっついていれば
天然素材と勝手解釈してユーザーを欺く。

<配合成分解釈一例>

トリオクタノイン→ヤシ油
カルボマー→オリゴ糖
ペンチレングリコール→植物ゼラチン
フラーレン→炭素
BG→植物デンプン
オクチルドデカノール→植物デンプン
HEDTA-3Na→エタノール
オクチルドデセス-2→ヤシ油
*

『化粧品毒性判定事典』
『バカがつける化粧品』
『きれいな肌でいたい!化粧品をどう選ぶ?』
『それでも毒性化粧品を使いますか?』


小澤王春 著

*
株式会社ゼノア(ゼノア化粧料本舗)社長。
執筆の際には法人を装うためにゼノアを隠し
「東京美容研究所」という社名を使用する。
またこの別会社の社名は
もともと医学的な機関をにおわせる
「東京美容医学研究所」という社名を使用していたが
消費者に誤解を与えるという理由で行政指導を受け
現在の社名への変更を余儀なくされる。
講演やビデオ作成などゼノアの広報活動に執心するあまり
化学に対する知識はちんぷんかんぷんで
自社製品に配合している成分は全く無尽蔵。
最近は「化学物質を使用しない」とは言わず
「最低限使用し・・・」という表現に変わってきている。

<配合成分一例>
ワセリン
ブチルパラベン
ミネラルオイル
DPG
オクチルドデカノール
オレイルアルコール
アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム


今回は、カルトな書籍や出版物について具体的に取り上げましたが
いずれにしてもこうした美容本を手にした際には
その執筆者のバックグラウンドや経歴を
きちんと調べる事をお勧めします。

特にメーカーの影が見えたなら
消費者を誘導するための論理ツールを駆使していると思って
間違いありません。

そして、どこまで美容や化粧品に対して知識を有しているのか
きちんと情報を収集するクセをつけましょう。
この情報過多の時代
なにより大切な事は
「情報の選別」だという事を覚えておいて下さい。

潤うのは貴女のお肌ではなく
執筆者のフトコロとメーカーだけですよ(笑)

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