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手作りコスメを斬る(FILE No.060)

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◆◆FILE No.060 / 2007年8月配信◆◆

手作りコスメを斬る

前回化粧品メーカーにメスを入れましたので
不公平にならぬように今回は
手作り化粧品材料を販売しているショップさんを
ザックリとやっておきましょう。

* * *

コスメティックアカデミーやセミナーではよくお話をしますし
以前にもこちらで少し書かせていただきましたが
俗にキッチンコスメと言われる
手作りコスメ用の材料を扱っているショップは
プロが作っている化粧品よりも
さらにひどい状況です。

*

だいたいショップの会社概要や
運営者の方のプロフなどをご覧頂けば分かるのですが
こうしたショップや講座運営者・レシピの著作者は
アロマセラピスト・石鹸愛好家の方がほとんどとなっています。

ここで皆さんに少し考えを及ばせて頂きたいのです。
アロマのお勉強をなさった方が
果たして化粧品を作るための知識があるでしょうか?
例えば化粧品に関する化学や
防腐に関する微生物に対する知識などです。

さらにもっと言えば
石鹸をご家庭で手作りされている方はいかがでしょう?

お答えは私が書くまでもありません。
全くジャンルが異なりますね。

むしろエステシャンの方々や薬剤師の方は
化粧品を開発するのに必要な皮膚科学の知識や
薬剤の知識をいくらか詳しくお勉強されているので
学問としては少し近い感じです。

こうした現状になってしまった背景には
実はこんなバックグラウンドがあります。

私の講座の受講者の皆さんにも
アロマセラピストの資格をお持ちの方が
たくさんおられます。
さまざまな先生に習われた方がおられますが
数にすると半数以上と言っても過言ではないかもしれません。

この方々が口を揃えて曰く。
「多額の授業料を払って資格を取得したはいいが
活用する場もなく、ショップも飽和状態で職・お商売に繋がらない・・・。」

という事ですね。
もともと正式な国家認定がある訳ではないので
比較的簡単に取得されてしまうために
認定者はもう飽和状態に達してしまっています。
いや、ここではあくまでも
「ショップ検定合格者」と書いておきましょう。

こうした「有資格者」という肩書きがあると
なんとなく何も知らない一般消費者の方々は
天然素材を使った化粧品作りは
その延長線上にあるかのように錯覚してしまいます。
それでその方たちが運営するNETショップなどが
氾濫してしまったわけです。


さて、それは良いとして
こうしたショップさんで購入するコスメ材料に
どんな問題点があるのでしょうか?

手作りコスメでもっとも壁にブチあたるのが
界面活性剤を使用しなければ作る事ができない「乳化物」です。

もちろん、こうした天然素材を売り物にしている手作りコスメは
合成の界面活性剤を極端に嫌います。
では、こうした方々は
きちんと天然の素材で乳化物を作れるように
レシピされているのでしょうか?

それは、クリームや乳液を作るための販売材料を見れば一目瞭然ですね。

各ショップでは
こうした乳化物を簡単に作るための素材や
界面活性剤が販売されています。

<クリームを作るための素材>
・エマルシファイングワックス
・植物性乳化ワックス

<乳化させるための界面活性剤>
・ポリソルベート○○

だいたい決まってこの素材が販売されていますね。
ではこの素材って、何でできているのでしょうか?

乳化ワックスはこういった成分で構成されています。
ステアリルアルコール、セタノール、ポリソルベート60

ここで各成分の説明をしていきましょう。
ステアリルアルコール・セタノールは旧表示指定成分で
リンスやトリートメントなどの洗い流しヘアアイテムの乳化に
よく使われた成分です。
でもそれも表示指定成分を嫌うユーザーが多いために
今では一般の化粧品会社では
ヘアものにさえ、あまり使われなくなりました。

そういえば、某ショップさんには「化学成分によるお肌への影響」というタイトルで、主に旧表示指定成分を一覧にされたものが掲載されていました。

その掲載情報の中にステアリルアルコール・セタノールふたつの成分があり、
本末転倒とは、こういう事を指して言うのでしょうね。

*

次に、乳化用の界面活性剤としても販売されている
ポリソルベート○○です。
これは番号によって違いがありますが
基本は「○○○酸ポリオキシエチレンソルビタン(○○E.O)」になります。

○○○酸のところは脂肪酸の名前が入りますので
まぁこれはどうという事はありません。
そして最後のソルビタンも糖の名前ですので
まぁ天然由来といっても良いでしょう。

問題は「ポリオキシエチレン」のところです。
(○○E.O)のところに数字が入るのですが
ポリオキシエチレンというのは
「ポリエチレングリコール」の事で
合成の界面活性剤の代表的なものに
必ずくっついているものです。
逆に言うと
これがついているものは全て合成の界面活性剤という事になります。
少なくても、界面活性剤の存在を嫌い
天然素材を売り物にしているこれらのショップの方々は
この認識で間違いないはずです。

ショップさんの中には
ご丁寧にこんなデータまで掲載されていましたよ。

<皮膚に悪影響を及ぼす成分>

・ポリエチレングリコール(平均分子量600以下のもの)
飲み下すと、肝臓、腎臓障害を起こす。
発ガン性の疑いがある。
発ガン促進作用もある。
皮膚毒性は弱い。

だそうです。。。

ようはこの方たち
成分名を見てもどれが界面活性剤なのか
自分でもよく理解できていないという事ですね。
まぁ、習いもしないのですから当たり前のお話なのですが(苦笑)

いずれにしても
これらの手作りコスメをお勧めされている方々は
合成素材を非難して天然の素材を推奨し
お肌に安心して使えることをウリにしているので
どこに節操があるのか分からなくなってしまいますね。

ほとんどのショップさんは
「私(子供)が昔から敏感肌で、市販コスメではことごとく合わず
それがきっかけで始めた出作り・・・すっかり改善されました。」
こんなウリ文句がつらつらと書かれていたりで
これは市販のコスメのうたい文句よりも
ことさら節操がないと言えます。

ちなみに
自然素材が好まれる傾向にある市販コスメでは
これらの成分が使われている事は
ほんのごく少数と言って良いでしょう。

さらに言うと
これらの素材は必ず海外からの輸入原料です。

と言うのも
日本の化粧品用原料メーカーさんは
危険性を伴うために
一般消費者にこうした材料を市販する事は一切なく
きちんと責任を負えるプロである化粧品メーカーさんにしか
販売する事は許されていないからです。

いずれにしても物売りで生計を立てているのですから
頭から信用してはならないというのは
市販コスメと同じに考えて下さいね。

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