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手作りコスメってどうよ?~後編(FILE No.009)

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◆◆FILE No.009 / 2006年6月配信◆◆

手作りコスメってどうよ?~後編

今回は、ちょっとばかり真面目なお話(前回までは不真面目やったんか?)

前回は、手作りコスメの現状について色々と問題点を取り上げましたが
今回「手作りコスメってどうよ?~前編」は今後の可能性やメリットについて書いてみましょう。

以前から、基本的に化粧品を作る技術については、そこはやはり餅は餅屋
いくらこうして手作り化粧品が流行ったとしても、所詮は一般の方が家庭で作るものは
化学的な知識・皮膚科学・生理学・薬理学の基盤がある訳ではありませんから
とてもプロが作る商品に勝るものではない事をお伝えしてきました。

言ってみれば、処方それぞれに対してお肌への安全性のデータがある訳でもありませんし
処方的に腐敗に対しての耐性があるのか試験もなされていません。
ようするに、いくつかの化学成分の混ぜ物である限り
必ず相乗効果・相殺現象・化学反応を伴う事で、処方個々の性質を持つ事になるからです。
もちろん、防腐剤の使い方も処方によって変わるのが当然です。
単に部品を組み合わせて一つものができる有形の商品とは全く異なるからです。

この基本的な考え方は、今も変わる事はありません。

ただその反面、市販コスメの現状を私達プロの目で冷静に見た時
果たしてプロとしての誇りが持てる処方がどれだけあるのか
大変疑問に感じるところです。
もちろん、業界リーダーとして競争の激しい大手メーカーの場合は
当然対抗メーカーへのプライドや技術力の戦いがありますから、つまらない商品を上市する訳にもいかず
適正な価格設定かどうかは別として、そこはやはりプロなりの仕事という事ができますし
消費者が容易に真似て作れるものではない事は確かです。

*

ところが
中小のメーカーに目を向けるとこの様相は一転してきます。
化粧品という目に見えない商品の特色を逆手に取り
様々な謳い文句を掲げて販売されている高額商品の多くは
目を覆わんばかりと言えそうです。
とりわけそれは、NET販売やカタログ販売などの通販メーカーに特に多く見受けられます。

とりあえずポリマーを使ってトロミをつけ
グリセリンなどのちょっとした保湿剤を加えて
あとはエキスを耳かき一杯添加するだけで美容液ができあがり
一本何千円もする商品が、のうのうと販売されています。
ひどいものになると、ビジュアルで見せればOKってところでしょうか
金箔を散らして、一本一万円もする商品を目の当たりにします。
でも、それでもこれを購入するニーズがある訳ですから
この商売は一度やったら止められないといわれる所以です。
こうなると、既に「女性のお肌を美しくする」「キレイに保つ」という本来の目的などどこへやらですね。

また一方では、欧米の外資系メーカーにも多大な問題点が散在しています。
おおまかにいうと、欧米は製剤技術が実にアバウトなお国柄です。
というのも、もともと化粧品というのは
お肌に効果的な有効成分が配合されているものである、というのが消費者のニーズだからでしょう。
そのため消費者も、少々クリームが分離していようが
「混ぜて使えば大丈夫」なんていう感覚で使うのが通例となっています。
あとは、メイクに関してはとにかく顔を飾るという一点に絞られているからです。
ここには、日本のように
「個々人のお肌に合わせる」
「ブランドバリエーションを増やして、年齢層毎に消費者獲得を狙う」
などといった小細工は要求されません。

その反面、PL(製造物責任)に対する法律の歴史が古いために
明らかに使用に耐えない腐敗などに対する意識は大変高く
消費者から訴えられる事を避ける努力は並々ならぬものがあります。
そのため少々カブレの可能性があっても、防腐剤や殺菌剤は何種類も
そして大量に配合してそれを避けるための製剤努力をします。
当然菌汚染に対する基準も、高い設定になっています。

*

話は反れましたが
こうした背景があるために外資系メーカーの処方は
有効成分や防腐剤に対しては労力を惜しまず技術費用を導入しますが
こと製剤技術に関してはあまり開発費を費やしません。

つまり、いくつかの在り型の処方を転用したり
また、原料メーカーからの参考処方をそのまま流用したりといった事が往々にして存在します。

また最近は、その製剤技術レベルの低さをカバーするために原料メーカーも一助となり
特に製剤技術を必要としなくても簡単に商品の形ができてしまう素材の開発が盛んになっています。
例えば、いくつかの界面活性剤とワックスと油を混ぜた原料を予め作ってメーカーに供給する事で
メーカーは水と保湿剤・そして有効成分を混ぜるだけで簡単に乳液やクリームができあがってしまうという訳です。
特にここ数年は原料メーカーも化粧品メーカーのニーズに合わせるために
この傾向は大変強くなっています。

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