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よく分からない”医薬部外品”~その1(FILE No.072)

メルマガアーカイブ

美里康人

2006年にスタートしたメールマガジンのアーカイブページ。
『コスメの真実・裏側』は、このメルマガがきっかけで出版された書籍でした。

◆◆FILE No.072 / 2008年2月配信◆◆

よく分からない”医薬部外品”~その1

化粧品の販売店で商品を裏返してみて
この『医薬部外品』の文字を見るとみなさんどう感じるでしょうか?

まず間違いなく
「お?この化粧品は効くのかな?」
というのが第一印象でしょう。

でも、果たして本当に効くコスメが
こういった称号を与えられるのでしょうか?

結論から先に言うと
効くとも言えないし
かといって効かないとも言えない。
う~ん・・・。

今回は、こうしたところの謎解き話。

* * *

NET上や雑誌には色んな事が書かれていて
「厚生労働省に有効性が認可された商品。」
もしくは反対に
「医薬部外品という言葉など宣伝文句の一部に過ぎない。」
などなど

医薬部外品というのは良い方か、もしくは逆に極端に悪い方か
なんだか怪しい偏った情報しか見つけ出す事はできませんね。

いずれにしても
どちらも何かを売りたいがための
一方は過大広告
そして他方は他社のバッシングという事でしょう。

そこで今回、「医薬部外品って何?」っていうところを
きちんと学んでしまいましょう。


まず商品に「医薬部外品」という称号をつけようとすると
下記の条件を満たす必要があります。

医薬部外品
  1.  厚生労働省より、医薬部外品の認定を受けた工場・設備で製造をする必要がある。
  2.  各アイテムごとに、厚生労働省に承認を受ける必要がある。
  3.  厚生労働省に有効性の承認を受けた薬剤が、規定量配合されていなければならない。
  4.  謳ってよい効能・効果は、有効性の承認を受けた薬剤の効能だけを謳う事。

これだけでは一体なんの事やらさっぱり分かりませんね。
ひとつひとつカンタンに説明していきますが
その前に

「医薬部外品」と書かれていない
普通の化粧品の場合はどうなるか
各項目にあてはめて書いてみましょう。

化粧品
  1. 化粧品の認定を受けた工場・設備であれば、製造できる。
  2. 都道府県庁所在地の薬務課に販売名を届け出るだけでよく、承認(許可)を受ける必要はない。
  3. 特に有効性のある薬剤を配合する必要はない。
  4. 有効性があるかのような、効能や効果を謳ってはいけない。

と、普通の化粧品の場合はこんな感じになります。

上の医薬部外品に比較して全体に甘いのが分かります。

ここで認識をきちんとするために
それぞれに薬事法で定められたカテゴリー分けも覚えておいて下さい。
薬事法では
有効性によって法的に以下の3つの部類に分類されています。

・医薬品
・医薬部外品
・化粧品
皆さんが日常的に「化粧品」と呼んでいる呼び名は
実はこうして薬事法で定められた分類名称なんですね。


さてさてお話を戻しまして
上で挙げた4項目について
もう少し掘り下げてわかりやすく解説していきましょうか。

1.厚生労働省より、医薬部外品の認定を受けた工場・設備で製造をする必要がある。

実は、化粧品と医薬部部外品を作る工場は
厳密にいうと微妙に異なります。
例えば原料を計るはかりの精度にはじまり
作業場の清潔度・各行程毎の作業場の隔離状況
そして原料の保管場所など。
おおざっぱにいうと
医薬部外品の認定工場の方が
より規制が厳しいという事になります。

こんな感じで、化粧品<医薬部外品<医薬品と
条件が多くなります。

でも図からも分るように化粧品工場<医薬部外品工場ですから
いまどきはどこの化粧品会社でもいずれも生産が出来るように
医薬部外品の認可工場として許可を受けることがほとんどでしょう。
確かに認可を受けるのに少々手間がかかりますが
医薬部外品の認定工場として認可を取得するケースが多いですね。

ちなみに、これが医薬品となると格段により厳しくなり
医薬品製造工場の認可を受けようとすると
大変な設備と費用が必要となります。

2.各アイテムごとに、厚生労働省に承認を受ける必要がある。

上でも書いたように化粧品の場合は
新製品が決まったらきちんと販売名を決め
工場所在地の都道府県庁にある薬務課に
その名称を届けさえ出せばその日から生産ができる事になります。

もちろんその際に有効性のあるような名称や
固有名詞になっていないような場合は却下される事もありますが
まずここで門前払いになる事はありません。

つまり、各商品の処方や仕様・品質は
製造会社での管理に任されています。

当然の事ですが
だからといって薬事法に違反するような内容物であったり
宣伝広告であったりすると
都道府県や厚生労働省の薬事指導部からチェックが入り
薬事法違反として取り締まりを受けることになります。

また、数年に一度は都道府県の薬事指導係官が
工場監査に立ち入り検査を行い
各種の書類や工場を調査しますので
違反行為があればここで発覚します。
もちろん検察庁へ書類送検され
犯罪として裁かれることも往々にしてあるわけです。

では医薬部外品はどうでしょうか?

こちらは届出を済ましてすぐに生産というわけにはいきません。
まずはこのような書類を作成しなければなりません。

・工場のレイアウト・管理方法
・中身の試験や分析を行う機器などの詳細
・工場責任者の名前と過去の履歴や学歴
・販売商品に対する試験・分析方法
・規定した分析方法に基づいて行った販売商品の分析データ
・内容成分の処方・配合量
・謳い文句とする有効成分の分析方法
・実際に配合された商品に含まれる有効成分を分析した実データ
同有効成分が過去に市場で使用された生産実績

化粧品と違って大変な量の書類ですね。

しかもこれを化粧品と同様に
都道府県の薬務課に提出するのですが
こちらは都道府県庁ですぐに許可が出るわけではありません。
そこから厚生労働省の薬事指導部に書類が行き
そこで書類審査が始まります。

さてここからが大変で
少なく見積もっても半年から9ヶ月
書類に不備や字の間違いがあったり
不審な点があるとそこから返送されてやり直しとなり
1年も2年もかかる事も往々にしてあります。

さらに重要なのは最後に書いたアンダーラインの項目
有効成分が過去に市場で使われた実績があるかどうか
ここが大きな分かれ道

この有効成分が全く新規で開発された成分だとすると
これはさらに大変な事になります。

そうです。
大手さんが美白有効成分などで
自社独自の成分を市場に出すケースです。

例えば最近の美白成分でいうとこんなところ。

・花王のカモミラET
・資生堂のトラネキサム酸
・コーセー系列のコウジ酸
・カネボウのマグノリグナン
・ライオンのエラグ酸

こうした新規な有効成分で
医薬部外品として効能を謳おうとすると
承認がおりるまでに何年も
そして何億という費用もかかることになります。

同じ医薬部部外品商品でも
どこのメーカーでも使える有効成分と
自社独自というのとでは大きな違うがあるという事。

それは認可がおりる期間
そして開発・承認にかかる費用も莫大な差という事です。
もちろん、小さなメーカーとなると
この有効成分となる薬剤の開発すらできませんね。

* * *

この辺りを含めた残り3・4項目目の説明と
医薬部外品が本当に有効性が高いのかどうか
全体のお話に繋げて次回に譲りましょう。

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