◆◆FILE No.070 / 2008年1月配信◆◆
複合素材の現実
さて、2008年の第一弾は、昨年末に予告しました業界における「複合素材」の現状です。
で、「複合素材」って何???
まずは最初にこれを説明しておかないといけないですね。
本来厳密には
業界用語では「複合」と「混合」は区別しなければなりません。
複数の素材を踏み合わせる事で互いに影響しあい異なった新たな機能を持つ事です。
つまり
1+1=2ではなく、3にも4にもなるという意味。
ここには化学反応が含まれる事もありますし、物理的に異なった機能を持つ場合もあります。
基本的に、単に複数の素材を混ぜ合わせただけの場合を言います。
1+1=2という事ですね。
複合と混合の違いは、なんとなくお分かりいただけたでしょうか?
さて、今回掲題に書いた「複合素材」というのは
基本的には「複合効果」を持った素材という事になります。
つまり、複数の素材が混ぜられた状態で
もともと持っていた素材に新しい機能が加わった素材という意味です。
本来、化粧品の新しい機能性を追求するために
化粧品会社の研究者が能力と時間を費やしてこの目的を果たします。
当然ですね。
でもそれを、素材そのものを開発している
原料メーカーがしてしまい
それを化粧品会社に供給するのが
この「複合素材」というわけです。
つまり
原料メーカーは同じ素材を化粧品会社に提供して商売をするのであれば
よそには真似できない新機能を付与してあげる事で
同じ素材を作っている他の原料メーカーに差をつけれるというわけです。
対して化粧品会社も
研究にかかる手間を省けるために
相互にメリットが出るという仕組み。
ただここで問題なのは
こういった素材を入手する事で
誰にでもカンタンに同じ商品が作れてしまうという点です。
当然、その素材はどこの化粧品会社でも入手可能ですから。
各社で採用してくれない事には
開発した原料会社は儲かりませんものね。
もちろん、その素材が悪いという事ではありません。
その新しい機能や使用感は
消費者にとっても、商品価値の高いものだからです。
ただし、それを使ったコスメの機能や使用感は
どの商品も「金太郎飴」という事になります。
※金太郎飴→切っても切っても同じ絵が出てくる飴の例え。
さて、最近流行のこの「複合素材」ですが
もともとは研究機能を持たない小さなOEM化粧品会社や
弱小の化粧品会社がよく活用する素材でした。
当然のことですが
大手のメーカーやブランドの商品は金太郎飴じゃ困りますので
こういった素材を使う事はまずありませんでした。
ところがここ1~2年の間で
大手メーカーにおいてもこういった複合素材を採用し
商品化しているのをよく見かけるようになりました。
しかもなんと
上位ブランドにまでそれが及んでいるとなると
聞き捨てならない事と感じます。
その真意のほどは分かりかねますし
それが良いのか悪いのかは別として
ユーザーとしてはちょっと気になるところでしょう。
ましてやそれが高価格アイテムとなると
思いは複雑となりますね。
今回は、それを見極めるための方法を
一気に大公開です!!
さて、こうした複合素材で作られたコスメを
どうやって見極めればいいか?
実はカンタンな事で
成分を見ていくとすぐに判断ができます。
そう、複合素材は必ず同じ成分の構成で成り立っているからです。
これがさらに珍しい成分だと
すぐに判別が可能となります。
今回は市販コスメでよく見かける
その典型的な例をいくつか紹介します。
*
ズバリ、下記の成分が全て含まれている複合素材です。
【パターン1】
・ ポリアクリルアミド
・ 水添ポリイソブテン(または(C13,14)イソパラフィン)
・ ラウレス-7
・ ポリアクリル酸アンモニウム
・ 水添ポリイソブテン(またはイソヘキサデカン)
・ PEG-40ヒマシ油
・ (アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
・ スクワラン
・ ポリソルベート60
※スクワラン→イソヘキサデカンのケースもあり
以上がちまたでよく見かけるパターンですが
複合素材中どれか一つでも欠けているとそれとは異なりますので
誤解なきようにお願いします。
それにしても
時には大手ドメブラでみつけて驚かされる事もあります(苦笑)
おまけに商品の価格は
ピンからキリまで存在するのも事実です。
また、外資系の高級ブランドに大変多いのも特徴です。
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今回は新春版という事で
業界震撼のちょっとヘビーな内容となりましたが
くれぐれも、商品の良し悪しを問い正す意味ではない事を
ご承知おき下さいませ。