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お肌の画像解析技術の進歩(FILE No.066)

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◆◆FILE No.066 / 2007年11月配信◆◆

お肌の画像解析技術の進歩

ここ数回は、大手メーカーによるお肌の研究成果にスポットをあて
ここでとりあげてきていますが
結構評判がいいようなので、今回もそうした話題です。
もちろん最新の研究成果で
皆さんが知りえない情報を綴っていきます。

今回は、加齢とももに皆さんがもっとも気になる
シミやお肌のキメなどについて
最新の研究成果をお伝えしていこうと思います。
特に今回はお肌の画像を解析して
様々なデータを収集する技術にターゲットを絞ってみました。

まず最初に、花王さんが学会に向けて最近発表した
シミに対する実態調査の知見です。

データ採取のために使われたシミの解析技術には
・「色彩値計測」
・「色彩画像計測」
・「画像からの色素画像計測」
・「分光情報からの色素計測」
これらの方法を導入してデータを収集したそうです。
分かりやすく言うと
あらゆる方向からお肌の上で表現されている肌色を
分析しようという試みです。

もちろんシミといってもスポット的にできた黒斑もあれば
老人性色素斑のような薄く広がったものもあり
当然それぞれに色の組成が違う事になりますので
細かな色分析が必要とされるわけです。

そんなデータの中で大変興味深いのは
実はシミは季節によって変化があるという実態です。
データ解析によると
シミの面積は6月に有意に大きくなるという事です。
またその濃さに関しても
冬から3月にかけては薄くなり
そこから6月にかけて濃くなる事が判明しました。
この原因はまだはっきりとはしていませんが
おそらくは紫外線による影響が大きいのでしょう。
もちろん
加齢とともに冬にかけての薄色化は
少なくなってくるのは言うまでもありません。

つまり
シミの戻りが遅くなるという事です。

次に、資生堂のお肌のキメに対する知見報告です。
こちらもビデオマイクロスコープを使って
お肌表面の皮溝や毛穴の画像を解析し
お肌のキメや毛穴の実態調査をした結果です。

余談になりますが

従来このお肌の表面解析に
もっともよく用いられていた方法はレプリカ法といって
接着剤のようなものが付着したフィルムをお肌に貼り付け
はがした後にフィルムに転写された皮膚の凸凹形状を
顕微鏡や画像解析で皮膚の状態を解析する方法です。

ただこの方法は
粘着性のフィルムをお肌からはがす際に
どうしても表面の角質層が損傷するという問題があり
連続して同じ場所からデータを取れないという難点あがありました。
そこでこうしたマイクロスコープのように
非破壊の状態で解析する方法が進んできたというわけです。

しかしながらマイクロスコープの場合は
今までは非常に再現性が悪く
データとしての信憑性に欠ける欠点がありました。
そこで今回の研究は
それを画像処理技術によって色成分を抽出することによって
その精度を高める事に成功したという事です。

さてその結果明らかになった事実ですが
まず加齢による変化について

これは今まで一般的に言われているとおり
20代からはどんどんキメに変化が表れるそうです。
・キメが粗くなる
・毛穴が大きくなる
・皮溝が深くなる
・キメのバラつきが大きくなる
これらが20代から表れてくるそうです。
よく「お肌の曲がり角」として25歳を境いに例えられますが
まさにそれを検証する結果となったようです。

さて次に、季節による変化です。
こちらも皆さんがなんとなく感じておられるように
冬季に変化が大きくなります。
・キメが粗くなる
・皮溝の幅が太くなる
こうした変化が検証されています。
これはつまり温度や湿度に関係している事になり
やはり冬場はお肌が荒れ気味になるという実証データです。

そして最後に非常に興味の深い検証データとしては
皮脂量の多い人が、むしろ皮丘の細かさが減少し
実はキメが粗い傾向がある事が分かっています。
推測される事としては
やはり外気に分泌された皮脂は酸化を受け
お肌にとってよい結果をもたらさないという
その検証となっています。

まとめですが
今回のこうしたデータ解析を見て
皆さんは何を感じたでしょうか?

ようは女性は日々において
肌状態に変化をもたらしているという事です。
それは加齢だけでなく
過去にも何度か触れてきましたが
温度・湿度・季節・生理周期
これらによって乾燥状態や皮脂分泌量に変化があり
それが顕著に肌状態に現れるという事です。

つまり、日々起きる変化をしっかりと認識し
あまり細かい変化を気にしないという事です。

いえいえ。気にせず放っておけという事ではありませんよ。
それよりも長いスパンで自分のお肌がどう変化してきてるのか
それをきちんと掌握する事が大切な事という意味です。
データ解析で言うところの
細かいバラつきの量は長い曲線の中では無視するべきバラつきで
その全体が描き出す曲線の方向性が重要だという解釈です。
その上で
自分に合ったケアをしていくという事が重要というわけです。

この放置でもなく
そして気にし過ぎでもなく
ちょうど良いスタンスで自分の肌質を知るという事は
大変難しい事ですが
ここはもっとも重要視しなければならない事と思います。

特に肌診断によるデータは
ひとつのデータで一喜一憂するのではなく
長いスパンできちんと自分なりに記録を取り
回数を重ねて整理する事が大切です。
もちろん
その時の自分の生活状況や生理周期など
詳細にメモっておくのは大変重要な要素です。

以上、参考になりましたでしょうか?

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