化粧品開発のご相談はビークラボへ >>

ナノコスメを知る 2020年版 その3(最終回)

新型コロナウイルスは
都内での感染が非常に多くなっています。
満員の公共交通機関を使うときは
細心の注意を払いましょう。
マスクだけでなく、つり革からの感染予防に
手袋はオススメですよ。

さて、本題です。
今回はこの話題の最後、最新事情のまとめですね。

ナノコスメを知る 2020版のまとめ

さてさて、2020版のこの話題も
大詰めとなりました。
一つめに上で課題としていた

「なぜ高圧ホモジナイザーがなくてもできるんだよ!」

内緒・・・としましたが
実は高圧ホモジナイザーを使う目的は
「リポソームを作るためではない」から、です。

ここを大半の化粧品技術者の方々は
誤解をしているからこうなってしまうんですね。

ま、もちろん仕方ありません。
こんな技術は医薬品の業界でもない限り
特に必要ではありませんし
上でも書いたように
特に化粧品の付加価値として認知されないですから・・・。

言及すれば、高圧ホモジナオザーを使う目的は
リポソームカプセルの被膜になっている
脂質二重膜を作るためのメイン成分「リン脂質」
水にも油にも溶けないからです。

実際に、医薬品の業界ではこんな機械は使いません。
化粧品では絶対に使わない有機溶媒に溶解するからです。
そしてそのあと
厳格にその有機溶媒を除去するプロセスを経て
設計されます。

ということは
これを溶かすことが可能な溶剤さえみつければ
こんな機械を使わなくても
設計できるということになりますね。

と、これ以上はごかんべん願えればと思います。

そして、次にユーザーの皆さんが
価値あるリポソームコスメを見極める方法です。

ひとつは既に上で書いたように
品質が劣化するのが宿命のこのリポソームの特性。

これは経験した技術者ならば分かるのですが
それはもう、おそろしい状態になることを知る必要があります。
しかも、想像しえないほど少量しか添加していなくても
起きる現象はおぞましいモノになります。

一例の画像がコチラ。

左側は、まさに綿を水の中につっこんだ感じ。
気持ち悪いです。。。
そして右側は、内包の美容成分によってカプセルが壊れて
白い粉様に成長して真っ白になっています。

これって、できあがったリポソーム液を
数%レベルしか配合していません。
120~150ナノサイズでしたので
ほとんど無色透明な化粧水・美容液でした。
にわかに信じられないと思いますが
それがこんなことになっちゃうんです。

しかも、「先週まではほとんど違和感なかったのに・・・。」から
一気にこんな具合に進んでしまいます。

これは、リン脂質そのものがもともと
結晶性のパウダー状脂質だからです。
ここが、コーセーさんや私達が長年苦しんだ大きな要因です。

微細粒子であるがゆえに表面積が大きくなるため
集まり始めると一気に進むというわけです。

とはいえ、こんなのはなかなかユーザーさんで見れることは難しい。
となると、次の見極めポイント。

これは表示成分名称で「〇〇レシチン」という言葉です。
レシチンそのまま表記のものもあります。
これがどこまで前に配置されているかで
ある程度その付加価値が判断できます。
絶対に1%以上にはなり得ない
植物エキスより前にあることが絶対条件です。

そして化粧水や美容液の場合の見極めポイントの最後。

上で書いたようにリポソームは
ナノサイズの微細粒子です。
とはいえ、目で見えないか?といえば
実は高配合して光に透けさせると
本当にうっすらと濁りが見てとれます。
超微細粒子特有の非常に上品な薄い濁り感で
高級感にも通じる特有の現象です。

この現象、コーセーの「モイスチュアリポソーム」
見ることができます。
これが見てとれれば
高付加価値商品の可能性があります。

まー、逆にいえば
完全に無色透明な製品であれば
原料供給会社から入手した既成のリポソーム液を
微量配合しただけのPRコンセプト製品の可能性が
高いということになります。

また開発に取り掛かるのだ!

長くなりました。

そういえば、今回の予告には
「新たな製剤開発」としていましたね。
いえ、決して忘れたわけではありません。

私自身はもうリポソームとは長いお付き合いですので
今回の話題で今から何か
出がけることはないと思っていました。

基礎ベースは長年の取り組みで完成されていますので
オリジナルなリポソームの開発事案があったとしても
もう「内包する有効成分と相性が合うか?」
テストするだけですので。

では、今回の記事のメインとなった
目的はなんだったのかというと

「高濃度セラミド製品がリポソームで達成できないか?」

これですね。
私達も趣味でやっているわけではありませんので
大きな興味はあっても時間をとることはありませんでしたが
小林製薬さんの「ヒフミド」をみて

「なに、なに? これをリポソームでやれば面白いんじゃね?」

とは胸中で思っていましたが
タイミングよろしく
お客様から具体的な開発案件が舞い込んできましたので
これ幸いと、嬉々として
「やってみるべー」となった次第です。

特許技術のクレンジング以来の
わくわくどきどきの嬉しい事案です。

小林製薬さんが生セラミド4%ですからね。
これを上回らねば納得がいきません。
そしてこれをリポソームに仕上げる。

いやぁ、やりがいで胸が爆発しそうです(笑)
もちろん、可能性のないことが推定されることは
一切手掛けません。

生のヒト型セラミドは
水にも油にも溶けにくく
これまでは業界内でもせいぜい0.3%が限界
言われてきました。
もちろん、ほとんどの市場製品はこれ以下です。
(全成分をみればすぐに分かります)

しかもタチの悪いことにセラミドは
リン脂質と同じく結晶性の脂質素材です。
溶けていたのが析出してくると
上の画像と同様にこれまたとんでもない
製品の劣化を招いてしまいます。

それ位非常に至難の技術ですし
リポソームなんて繊細な製剤にこれを取り入れるなんて
そんな無謀なチャレンジには誰も手を出してきませんでした。
もしやるのならば小林製薬さんのように
普通に乳化技術を使ってクリームすればよいことですし。

でも、実は業界の裏をチラリとお見せすると
こんな素材が原料会社にはあるんですね。

◆高砂香料社HPより

はい、こちらはヒト型であるセラミド2を
2%リポソーム化したプレミックス素材です。

これはスゴイです。
そして、私達が仕入れる原料としての価格も
ものスゴイです(笑)

原液コスメとして生詰めすれば売れそうですが
セラミドだけのうたい文句でこの価格
製品化は到底成り立ちません(苦笑)

しかし、リポソーム製剤化できることが
これで分かったのです。

そして最近はよく一般の方でも目にするようになった
こちらも目をつける一候補の原料ですね。

◆日本精化社HPより

最近はこれを使ってリポソームを設計する
OEM工場さんが一気に増えました。
なぜなら、こちらの技術資料には
簡単にリポソームが設計できる製法まで公開されているためです。

あ、ちなみに化粧品を製造する特殊な機械は使いますので
皆さんが手に入れられても作ることはできませんよ。
簡単には水に溶けません。
そこは誤解されませんよう。

こちらの原料には
もっとも使うことが困難だったリン脂質に
ヒト型セラミドを複合化させた素材です。
これを使えば、生セラミドのリポソームが
どちらの工場でも簡単に作れます。

「おぉ! これを使えば誰でも高濃度を作れるじゃん!」

と思った方はチーン・・・。
なぜなら
この原料中のセラミド含有濃度は
20%以下だからです。

「いやいや、この原料を一気に25%配合すればできるぜ!」

残念ですが
そう感じた技術者の方がいたとしたら
その時点でリポソームを開発する技術者として
アウトー!となります。

なぜなら、リン脂質というのは
水に3%以上も溶けた時点で高濃度のミセル状態となり
ゲルゲルになってしまうためです。

ましてや、この原料
何十万円もする高価な素材ですので
そんな高濃度で採算がとれるわけもありません。

こういった背景の中でやり得るとすれば
もう自社開発のリポソームしかありませんね。

じーさんの老いた脳にムチ打ちながら
新人いろはねクンを使って
色々と新しいチャレンジをさせていきます。

新時代を築くためにちょっと頑張ってみますかね。
いつできることやら
いや、できるのかどうかも分かりませんが・・・。

カタチになればいろはねクンが
嬉しそうにブログで報告してくれるかも、ですね。

今回のシリーズはこれまでとします。
では、また。

by.美里 康人

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です