化粧品開発のご相談はビークラボへ >>

“マイクロバブル” お肌にはどうなのか?

マイクロバブル

化粧品開発のご相談はビークラボ株式会社へ

美里康人

流行りのマイクロバブル発生機
果たしてお肌への効果はどうなのでしょう?

ここ数年、非常に微細な気泡を水中で生成させたマイクロバブルがムーブメントになっていますね。
何も調べずにおいて、効果ない・・・とかCMはウソ・・・といった所感を拡散させているユーザーさんもおられるようですが、果たしてその真実はどうなのでしょう?
また、ちょうど2週に渡って水の浸透性や資生堂さんが進めている水の洗浄性能といった話題にも触れましたので、せっかくなので特殊な水としてどうなのか、その辺りのお話をしていきましょう。

そしてさらに、お肌にとって良いものなのかといったところにも踏み込んでみたいと思います。

マイクロバブルとは

最初に、マイクロバブルとはなんなのか、少し解説しておきたいと思います。
というのも、他にもユーザーの皆さんはあちこちで、商品名とともに「マイクロファインバブル」だとか「ナノバブル」といった言葉も目にしたことがあると思いますし、これらとの違いがよく分からないといったところも説明していきます。

バブルは気泡という意味で既にお分かりかと思いますが、「マイクロバブル」という言葉は実はきちんと定義があり、ISOによって以下のように規定されています。

ファインバブルの中でも、直径が1~100μm(マイクロメートル)の気泡

「ファインバブル」というのは“ごく小さな気泡”という意味で、こちらは定義がありませんので曖昧な言葉になり、その中でもこのレベルのサイズに特定した細かい気泡がこの名称で規定されています。
ですので、実は“マイクロバブル”という言葉はこうして定義されているために商品名に使えませんので、市販の商品名には色々とあってワケワカメになっているというわけですね。

そして、さらにこれより粒子の小さなバブルがあって、それが「ウルトラファインバブル」「ナノバブル」という言葉で使われています。
しかしながら、こちらは権威ある機関によって定められた定義がありませんので、実は非常に曖昧に使われて、それこそ市販商品やメーカーの表現は様々で統一されていないのが現状と言えます。

ただ、一般的には1μm以下のnm(ナノメートル)サイズの極微細な気泡のことを指しています。
また、なぜ統一して定義されていないかには理由があり、それはマイクロサイズの気泡と違って目で見えません(水もほぼ透明)し、測定や存在数のカウントができてないためです。
分かりやすい言い方をすれば、その存在すらも確認しようがないから・・・ということになるでしょうか。
研究者の論文によれば、数ヶ月間も大気に放出されずに維持できていると主張する文献もあるほどですから。

まぁ、こうなると怪しい商品や商売、機械も出てくる可能性は容易に予測されることで、そのために冒頭で書いたような効果はウソといったコメントも見受ける事態になっているのかもしれませんね。

ファインバブルの機能

さてこの微細なファインバブルですが、果たしてどのような機能を持っているのでしょうか。
皆さんもよく目にするTVCMでは、油性マジックやメイクがこれだけで落とせるといった映像もご存知のことでしょう。
果たしてあれは事実なのでしょうか?

先に結論を書いてしまえば、あの機能そのものは事実と言えます。
これはISOで定義された2017年頃からすでに学術的な研究が進んでおり、油脂成分などの洗浄機能を持つことがきちんと確認されています。
既に工業分野ではこれを発生させる機械を用いてあらゆるものの洗浄に利用され、さらには超音波と組み合わせて電子部品などの洗浄に活用されています。

ただ、ああいったCM通りの性能が発揮できるかどうかは言及しませんので、誤解なく。
また、保湿だとか美白効果などといった効果まで標榜されているPRもあるようですが、そのような機能はないはずですのでご注意下さい。
周りで導入された方がみつかれば、また実験してみようと思いますが。

で、話は戻りますが、ではどういったメカニズムで普通の水だけではあり得ないあのような洗浄機能が発揮できるのか、解説していきます。

メカニズム

実は、あのような油脂成分の除去効果があることは認められているのですが、その洗浄機能の確かなメカニズムはきちんと解明されていません。
今のところ、微細化された気泡が帯電(イオン化)されて油脂汚れが吸着し、物理的にはがれ落ちていくと考えられています。
他にも、極微細なバブルが汚れと対象物との間に入り込むことで物理的に剥離されて落ちる挙動と論じる学説もあるようです。

いずれにしてもイオンの挙動は目でみることはもちろん不可能ですし、機器を使って測定・確認することもままなりませんので、きちんとした論理解明には至っていないようです。
一応、ナノバブルが溶け込んだ水のpHを測定するとpHが8.2程度でアルカリ性質になっていることが確認され、帯電しているのではないかと推測されているようですが、これもpHメーター電極の周りに超微細な気泡が大量にくっついてしまって測定精度が失われていることも予測され、まだ疑問が残っています。

というわけで、現状では機能の検証はしっかりできて活用も広がっているものの、そのメカニズムはまだまだ謎が残されているということですね。

では、あちこちの広告でみられるように、このマイクロバブルをお肌に使って良い効果があるのでしょうか?

お肌への効果のお話

マイクロバブル02

こちらのブログは化粧品に関する記事を主にしていますので、このマイクロバブルをお肌に使うことでメリットが得られるのかどうか、さらにはデメリットはないのかといったことに踏み込んでみたいと思います。
ただし先に念を押しておきますが、あくまで私の個人的な推測・見解にしか過ぎませんので、そこは踏まえてご容赦下さいませ。

で、いきなりこのマイクロバブルの機能評価に入る前に、同様の洗浄機能を持つ昔からの技術として、「超音波洗浄」というものがあるお話を致します。

こちらはさらに歴史は古く、私達化学の研究者は学生の頃から実験器具や機械の洗浄に利用してきました。
こちらも目には見えない“超音波”は、洗剤やブラシといったものが入り込めない繊細な部分にまで及んで器具から物理的に汚れを剥離してくれますので、成分分析といったごく繊細な残留物まで影響がおよぶ器具の洗浄に活躍してくれる機械で、比較的お手軽な洗浄技術です。
実は皆さんも身近で目にしたことがある機械でして、メガネ屋さんや貴金属店でメガネや指輪などをキレイにしてくれるあの器具が、この技術の応用になります。

この超音波、物理的に手が及ばないところにまで入り込んで油脂成分を除去してくれることから、例えば人間の手をもしも入れて洗浄したとしたら、角質層の隙間にまで及んでバリア層を壊すと言われています。
これはメカニズム的に考えても、十分に想定の範囲です。

そこで今回のマイクロバブルにお話を戻しますが、ここまで解説してきたように洗浄機能という意味においては、非常にメリットがあると思います。
広告にあるような効果まで期待できるかどうかはさておき、少なくともボディソープやクレンジングの及ぼない部位にまで入り込んでクリアにしてくれる効果には期待はできるでしょう。
その一方で、超音波洗浄と同様なデメリットの可能性はないのだろうか?というのが、私の懸念点です。
まぁ、そこまでの心配はないにしても、毛穴の奥にまで及ぶことは誰でも想定できますので、角質層が劣化している部分などのセラミド質への影響は気掛かりなところです。

そう考えると、CMにあるようにこのマイクロバブル水を満たしたお風呂に入浴するのはカラダが清潔になって良いとは思うのですが、シャワーなどお顔にアテて洗う行為はどうなのでしょうか。
お顔の皮膚は繊細ですし結構荒れ肌になっていることも多いでしょうから、リスクはないと言えない気がしております。
いわゆる、オイルクレンジングは落とし過ぎてお肌に負担になるという理屈と同様ではないだろうか?と。

以上、ここは推測に過ぎず曖昧な結論になってしまいましたが、お使いになられている方はこの辺りを意識して肌実感で感じ取ってみられて下さい。
特に肌荒れを起こしている時はラメラ層がむき出しになっているケースがありますので、判断がしやすいかと思います。

というわけで、いずれにしても上で書いたきたように「ナノバブル」「マイクロファインバブル」と呼ばれるナノサイズのバブルは、目には見えず認識できませんのでその存在を見た目で判断ができません。
そのため、仮に市場に怪しい器具や機械が存在していたとしても、ユーザーではその真意が判定できません。
産業会があって整合性を保守しようとする業界の動きがありますが、私達消費者も注意を払う必要もあるように感じますね。
あまりお安い器具には手を出さないことも、保守になるように思います。

連休に入りましたが、休暇の方々はくれぐれも良い連休をお過ごし下さいませ。
ではまた次週。

by.美里 康人

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です