年明けから新春スペシャルの特集記事と題して
第一弾は明るい話題を取り上げましたが
第二弾は気分的にテンションが下がる記事でしたので
気持ちをもとに戻しましょうね。
そう、ユーザーさんが前向きになれる
ためになるお話へ。
そんな、次の記事を書こうとPCに向かっている矢先
技術者同士の交流にはあまり役に立たないと思っていたSNSで
なんと、お若い技術者の方と交流ができたという
嬉しい事態が!
もちろん、業界で講演や技術セミナーをやったりと
業界技術者の方々との交流も多いのですが
そこはなんと言いますか
「社交辞令的・・・・・・・;」
だって、皆さん化粧品会社(もしくはメーカーさん)の社員さんなわけですから
「背負ってるモノ」があって
仮面を被ってらっしゃる(笑)
それでもコーセーさんの品質管理の方から
「結構、菌汚染の問題で苦労させられてますよ・・・。」
なんて、現場の生の声は聞けたりするのですけれどね(笑)
なので大抵は
挨拶を交わし名刺交換とともに駄話をしても
「技術交流とは、名ばかりか・・・。」とがっかり(苦笑)
なので、こうした出会いの場は嬉しいですね。
と、そんな嬉しいことがあって
早速この方、【すみしょう】さんのブログを訪問させて頂きました。
すると、たくさんの面白い記事の中から
こんなのを発見!
【モイスチュアリポソームの成分解析と隠れた効果【元研究職7年が語る】
↑リンクへどうぞ
非常に的確な記事で、
ユーザーさんにとって大変タメになりますね。
なので今回はこのタメになる記事のご紹介とともに
せっかくなので
私の補足記事など書いてみました。
過去にシリーズで書かせて頂いた
【ナノコスメを知る 秘話】では書かなかったさらなる秘話も
綴ってみたいと思います。
* * *
まず、モイリポを使ってみられて
その浸透力だけでなく
インナーが潤ってふっくらする感覚が分かられたのが
さすが、やはりプロですね。
私はよく
「赤ちゃん肌が戻る」という表現をします。
そして、すみしょうさんの記事の中の一文を取り上げ
解説を進めてみます。
>上記3つはリポソームの製造や安定化に必須なので理解できる
この3成分の中にBGとグリセリンが入っていて
その通り、一般的にはリポソームの製造には欠かせない素材です。
これは、レシチン原料の開発メーカーさんも
その手法を公開しています。
ここでせっかくなので
さらに突っ込んだ技術的な裏話をしちゃいましょう。
これはレシチンを水に溶解しやすくするための
つまり、溶媒の役目ですが
一方で、実はこれでは不十分なんですね。
なぜなら、DDS向けのリポソーム開発を行っている
医薬品メーカーさんといった研究所では
これに有機溶媒を使用するから、で
例えば化粧品には到底使用できない危険な
エーテル類など、です。
つまり、正しくは有機溶媒を使用しなければ溶解が不可能で
「レシチンは、BGやグリセリンには完全に溶けていない」
からです。
なので、微細分散させるためには
さらに高圧ホモジナイザーや超音波といった
レシチンを水に分散させる特殊な技術を必要とするわけですね。
はてさて、では
化粧品の場合、BGやグリセリンでなければならないのでしょうか?
それ以外に溶媒を役目をはたす素材はないのでしょうか?
いえいえ、過去に美容業界の展示会で
セミナー発表させて頂きましたが
ないわけではありません。
それどころか
完全にレシチンが溶解され
かつ、化粧品に配合が可能な溶媒をみつけられれば
特殊な機械がなくても
誰でも簡単にリポソームが構築されます。
ここはノウハウなので
ヒ・ミ・ツ
とさせて下さい(苦笑)
では次に
>玉ねぎの断面のような構造をしています。
これをコーセーさんは動画も交えてアピールされていますね。
もちろん、素晴らしい技術で間違いありません。
ただ、ならばこの
「ミルフィーユ状の層は素晴らしいのでしょうか?」
実は、これは結果的にそうならざるを得なかっただけのことといえ
本来は1層の被膜で構成されたカプセル
つまり
【単相膜リポソーム】が正しい姿なんですね。
非常に製造が困難なので
到底、化粧品レベルでは達成できませんが。
だからどうということではありませんが
コーセーさん、あまり玉ねぎ状を大きく謳うのは
自粛しておかれる方がよろしいかと・・・というお話でした。
>現在は、コーセーしかリポソーム商品がないですが、資生堂、ポーラ、花王、カネボウは開発しないのかな?
実は、過去にはカネボウさんも
隠れたリポソーム製剤のコスメを作られていましたね。
昔の「DEW」シリーズがその代表でした。
ただコーセーさんのように
「リポソーム」のネーミングや技術説明を
使用する許可は取得しなかったので
表には出てこずに消えていきました。
ちなみに現在の「DEW」は
この製剤ではありません。
そして次です。
>個人的にはセラミド+リポソーム商品がいいななんて思っています。
ですよね~。
技術屋なら、絶対にここに惹かれますよね。
おそらくご本人はご存じかと思いますが
セラミド複合化レシチン素材がありますので
これをしっかりとリポソームに製剤開発できれば
高濃度セラミドアイテムができるというわけですね。
最後に、せっかくなのでさらに突っ込んだ裏話を。
冒頭で書いた、コーセーさんの品質管理の方が
「工場では、菌汚染で泣かされたりしてるんですよ・・・。」とおっしゃてた
その理由はなんとなく理解できますね。
まず間違いなくその対象商品は
リポ製剤のデコルテシリーズ(AQ含む)と推定されます。
なぜならば
「リポソームは、パラベンもカプセル化してしまうから」
ですね。
きっとコーセーさんも
過去には苦労なされた経緯があったのでしょうね。。。
お察しします(苦笑)
リポソームを製剤化するためには
カプセルの外を個別に防腐する必要があり
ここを知らないと痛い目に合うというわけです。
既成のリポソーム素材をちょびっとしか配合しないコスメは
コスト以外にも、実はここにも理由があるんですね。
「防腐剤がきかねーーーー!!!」
と、お嘆きで諦めた技術者様
参考にされて思考を凝らしてみて下さいね。
と、ここまで書きましたので
さらにさらにさら~に
これまで書いてこなかった「リポソーム」コスメのメリットを。
実はリポソームは
高濃度で製剤設計するのが
もっとも皮膚への効果が期待できます。
それは、コーセーさんレベル以上が効果的!
なんなら、高純度PC(フォスファチジルコリン)の
リポソーム用レシチンは異常に高価なので
そうではなく、低純度のフォスファチジル混合体で良いのです。
これを高配合で使ってリポ化したコスメは
継続して使用することで
皮膚の状態が明らかに変わります。
つまり、脂質二重膜の細胞間脂質層が
明らかに補填されて定着する結果が得られます。
これは、美容整形のPC(フォスファジジルコリン)注射で
皮膚に得られる結果がその一端を示唆しています。
いわば、「塗る美容整形」という理論ですね。
これまでの臨床テストによれば
人によっては一撃で白ブツが発生するほど
明らかに肌の状態に変化があらわれます。
長くなりますので、今回はここまでとしましょう。
しかし、すみしょうさんはyou tubeもアップされていて
凄いですね~。
じじーの私には到底真似できません。。。涙
では、また。
by.美里 康人