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石けんフリー洗顔 ソープレスソープとは

ソープレスソープ

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美里康人

石けんフリーの洗顔のメリットは?
全成分から見極める方法と、利点のお話。

ここ数年、石けんを使わない洗顔フォームやボディソープが市場に増えています。
昔はアトピー症状のひどい方や、赤ちゃん向けのベビー用低刺激製品に限定されていた傾向がありましたが、低刺激な洗浄製品を求められる市場もより大きくなり、製品の種類も増えてきています。
また、以前であれば製品も中堅以下のニッチなブランド製品が多かったのですが、ここ数年で大手ブランドさんやトイレタリーブランドも個別に市場を展開されるようになりました。

石けんの文化は歴史も古く、さほど硬度の高くない(軟水が多い)日本では特に市場専有度が高く、それこそ子供の頃から慣れ親しんでいることもあって、あの洗浄後の“キシキシ”とした肌感は、いわば「サッパリと落ちた」証しのように記憶が浸透しています。
その慣れ親しんだ文化は大人向けの洗顔製品やボディソープにもしっかり根付いていて、市販製品のほとんどに石けん系の洗浄剤が用いられています。

それがここへ来て、低刺激を求める市場を中心に変わり始めているのだろうか?というのが、今回の話題です。
また、そういった製品をお探しのユーザーさんには、具体的に全成分からそういった製品を探す方法をお伝えしていこうと思います。

あらためて”石けん”とは?

ちなみに話題に入る前にあらためて念を押させて頂きますが、あまり化粧品の成分を気にされない方の中には、私は石けんなんてとっくに使っていませんとおっしゃる方がおられたりします。

こういった方々がイメージされておられる“石けん”とは、まず間違いなく箱や袋に入って販売されている「固形石けん」のことと認識されておられるはずです。
確かに石けんの代表的な製品というとアレになりますが、処方設計上の石けんは何も固形に限らず、まず間違いなく総国民全員がそれと知らずに一度は使ったことがある液体・ペースト・クリームも全てを含めての、石けん処方設計製品のことを指しています。
ホテルや旅館などで手を洗ったり入浴すると、常備されている製品はほぼ100%が液体石けんやペースト状のボディソープですので、間違いはほぼありません。

そのようなユーザーさんに説明しておきますと、ここで述べている石けんとは「固形石けん」のことだけを指しているのではなく、ボディソープや手洗い石けんの「液体石けん」も洗顔クリームの「クリーム石けん」も全て同じ設計というお話ですので、これを機に認識しておかれて下さい。
ボディソープに至っては石けん系ではない製品をリアル店舗では探すのが大変なほどですので、まだ疑っておられる方も読み進めて頂ければ理解できると思います。
成分からそれを見極められる方法も、この後で触れておきます。

これらは簡単いえば石けん濃度が異なるだけで、もっとも石けん濃度の濃いのが固形石鹸と考えておけば良いですね。

石けんフリーに求めるもの

さて、前置きにも少し触れましたが、固形石けんから液状やペースト状に歴史的進化があったとはいえ、それこそ数十年に渡り長年続いてきた「石けん」の文化をなぜあえて避ける必要性があるのか、この背景を少し解説しておきましょう。

石けんは非常にコストもお安いこともあって、ユーザーさんにとってはお財布の重さにも影響しますので、ここはなんらかの意味がなければ石けんを避ける必要性はありません。(私自身も、いまだボディソープは石けん系ですし)
選択肢としては意味がなければ持続可能な文化にはなりませんので、ここは明確にしておく必要があるでしょう。

で、石けんを変える選択をするユーザーさんにはそれなりに意図があると思いますが、もっとも大きな要因はやはり前置きでも触れた「低刺激」への拘りになるでしょうか。
一番分かりやすいのはpHで、石けんはなんだかんだ言ってもアルカリ性質ですので、いくらお肌には中和能があって時間とともに弱酸性にしていってくれるとはいっても、できればここを避けたいというニーズ。
これは目に入るとシミる経験をされている事実がその証しで、動物実験で行う安全性試験の方法にもある通り、目に入ってシミるのは刺激が皆無というわけではないことを表しています。
ご経験がおありのお母さん方はご承知のように、乳幼児などは目に入ると痛がって泣きわめくことになりますので、できるだけ刺激の少ないソープを選ぶことになりますね。
目に入ってもシミない石けんはありませんので、ここは否定のしようがありません。

だからと、お肌に悪いというイコールにはならないのですが、私自身も過去に長く悩まされた、アトピーといった患部がむき出しになった状態の患者さんにはこれは死活問題ですので、仕方なく探さずにはいられないということになります。

次の課題は、“石けんカス問題”です。
これはニキビに悩まされる方にとっての死活問題。
当のご本人は清潔が一番と一日に何度もお顔を洗顔されたりするのですが、皮膚上に残る石けんカスが微生物のエサになってしまうとなると、これは相反することを実行していると言わざるを得ず、これもやむを得ず石けんではない洗顔フォームを探すことになるわけです。

また、あまり報道されませんが、そうでなくても石けんカス問題は環境問題とも繋がっており、水道水の鉱物と反応して生成されてしまった石けんカスは、環境に流されていき微生物によって生分解はするのですが、今度は大量の微生物のエサとなってしまうことでプランクトンが増えすぎてしまう要因になりかねないのではないか?という課題を残しています。
これはまだまだ検証が進んでいないために明確な結論は出ていませんが、過去にも洗濯用洗剤のリン(P)問題もありましたので、近い将来には無視できない課題になる可能性を持っています。
海のアオコ・赤潮問題は、これに繋がっている可能性も否定はできていません。

今どきは化学工場なども環境対策が厳しくなってきて海がキレイになってきた時代になりましたので、次の課題として取り上げられることになるかもしれませんね。

というわけで、こういった石けんを使っていない洗浄剤は「ソープレスソープ」と言いますが、海外ではその昔から代替の洗浄剤を使う文化が頻繁でした。
なぜなら海外には非常に硬度の高い生活水のお国が多いために、石けんは日常生活では使えないためです。
海外では石けんを使わずにお肌に影響を及ぼさない洗浄剤の開発は、早くから進んでいたのですね。

ただし、一部の偏ったネット情報によれば、ソープレスソープという言葉を「合成界面活性剤」と勝手解釈されていることがあります。
これは間違った意味ですので、こちらをご覧になられている皆さんは誤解を解いておいて頂くようにお願い致します。

タイプ分類

ソープレスソープ

さて、今回は石けんの是非を問う企画ではありませんのでそれはさておき、まだまだニッチではありますが、市場に増えてきたソープレスソープについてのお話に進んでいきましょう。

まず、この10年ほどでソープレスソープに対応する洗浄剤がどんどんと増えてきました。
とはいえ、これらの洗浄剤はいくつかのタイプに分けることができ、最初にその分類分けをしておきましょう。

 1)アミノ酸系
 2)両性イオン系
 3)非イオン系
 4)弱アニオン系

ちなみにこのタイプ分けに使われている語句の意味は、こういう意味になります。

 ・非イオン(ノニオン)→イオン性がない成分
 ・アニオン(陰イオン)→マイナス(-)の電荷を持った成分
 ・両性イオン→プラス(+)とマイナス(-)の両方の電荷を持った成分

洗浄剤成分にはありませんが、コンディショナーなどに使われる界面活性剤は、カチオン(+イオン)になります。
これら4つに分けられるタイプ毎の特長は、以下になります。

1)アミノ酸系
アミノ酸を骨格にしているために刺激が少なく、弱いアニオン系に属するにも関わらず、中には目に入っても全く刺激のない洗浄剤もあります。
pHを中性にしても弱酸性にしても洗浄力を有していますので、pHもコントロールが可能です。

一方、石けんに比べると洗浄力はあまり強くなく、高濃度にすることが難しいという難点を持っています。
それこそ、固形石けんのような高濃度の洗浄剤にすることはできません。
また、洗浄後のすすぎもあまり早くなく、お肌に残らないようにするためには少しすすぎ時間を要する課題を持っています。
生分解は比較的よく、環境への負荷は少ないと言われています。

昨今はこれらの課題を解決したアミノ酸系洗浄剤も出てきていますので、注目株と言えます。
ただし、まだまだ原料コストが一般的ではなく、どうしても付加価値高い製品にしか採用できないのが大きな課題です。
また、低刺激とはいえアニオン系になっていますので、アラニン系・タウリン系など使われているアミノ酸の種類によっては多少刺激がある洗浄剤もあります。

2)両性イオン系
洗浄剤は石けんを始めマイナスイオン系の“アニオン(陰イオン)系”が非常に多いのですが、こちらはプラスとマイナスの両方のイオンを持った両性イオン系の洗浄剤です。
マイナスイオン系はどうしても刺激が出やすいため、より刺激が少ないのが両性イオン系の洗浄成分です。

シャンプーといったヘアケア製品には以前からよく使われていた洗浄剤ですが、低刺激であることから昨今はフェイスやボディに使用するケースも増えてきています。
両性ですのでpHもコントロールが可能で、中性や弱酸性にも調整できるのが特長です。
ただ一方でサッパリ感という意味ではアニオン系には勝てず、プラスイオンも持っていることからお肌に残りやすい欠点を持っています。
そのため、まだまだこれを主成分として使った製品は少なく、他のサッパリ系の洗浄剤と組み合わせて使われていることが多い洗浄剤のひとつです。
生分解も比較的良い洗浄剤が開発されています。

3)非イオン系
こちらは他の洗浄剤と違ってイオン性がない中性系の洗浄剤になります。
そのため刺激も少なく安全性は高いですが、すすぎ性能があまりよくないことと、洗浄力がさほど強くない課題を持っています。
そのため洗浄剤成分を高濃度で使用する方法で解決が試みられていますが、洗浄剤があまり多くなると石けんまではいかずともさすがに刺激も少し強くなり、まだまだバランス取りが難しい洗浄剤と言えるでしょうか。

加えて、トータル的にはまだコスト面で苦しいところもあり、原料メーカーさんの今後に期待したいところですが、最近は台所洗剤にも使用用途が広がっていますので、近未来の洗浄剤となるかもしれませんね。
ジェルタイプ系の洗顔料に多いグルコシド系は、市場にかなり増えてきています。

4)弱アニオン系
石けんと同様にアニオン系の洗浄剤ではありますが、石けんよりもイオン性が非常に弱い洗浄剤になります。
そのため洗浄力や使用感は石けんに近い性能を持っていますが、刺激性という意味では他の3タイプに比較すると少し刺激を有しています。

とはいえpHもさほど高くなく中性系洗剤にも使われていますので、石けんの概念を覆す特攻隊長みたいな位置づけと言えるでしょうか。
まだまだ低刺激をメインにする製品の主剤として使用するには特長を出しづらく、サッパリ感を出すために他の洗浄剤と組み合わせて設計されていることが多い洗浄剤です。

以上、大きくタイプ分けをしてきましたが、実際に使われている製品を探すための参考に、全成分をまとめてみました。
全てを網羅できていないかもしれませんが、現在市場にある製品のほとんどを網羅していると考えて頂いて良いかと思います。

<全成分一覧>
タイプ毎にまとめてみました。

1)アミノ酸系
ココイルグリシンK
 ココイルグリシンNa
 ココイルメチルタウリンNa
 ココイルアラニンNa
 ココイルグルタミン酸TEA
 ココイルグルタミン酸Na
 アシル(C12,14)アスパラギン酸TEA
 ラウロイルアスパラギン酸Na
 ラウロイルヒドロキシエチル-β-アラニンNa

2)両性イオン系
コカミドプロピルベタイン
 ラウラミドプロピルベタイン
 ラウリルヒドロキシスルタイン

3)非イオン系
ヤシ油アルキルグルコシド
 デシルグルコシド
 ラウリルグルコシド

4)弱アニオン系
 ココアンホジ酢酸2Na
 オリーブアンホ酢酸Na
 ココイルイセチオン酸Na
 ラウレス-6カルボン酸
 ラウレス-6カルボン酸Na

以上ですが、これらを印刷して市場製品とにらめっこしてみるとみつけやすくなりますね。

ちなみに、どれがオススメなのかよく聞かれるのですが、あくまで私見で書くとすればアミノ酸系ということになるでしょうか。
理由は、ひとつには低刺激に秀でていることと、さらにこのすすぎ時のヌルつきや肌残りもかなり改善されていますので、もっともバランスが良いという感じているためです。
ただ残念なことにクリーム状やジェル状といった製品はほとんど市場にはなく、泡タイプが主流になってしまうことが難点と言えるでしょうか。

石けんを見分ける方法

最後になりましたが、上の成分名なんて覚えられない!とおっしゃる方には、反対の考え方で石けんが使われていない製品を見極める方法も書き加えておこうと思います。

石けん系の洗浄成分の全成分は、以下の中に含まれている確率が高いと考えて良いでしょう。

この言葉が含まれているのは100%です。

 ・◯◯石けん◯◯

そのまんまですが、石けんという言葉がどこかに含まれていれば、間違いありません。
お次は、こちらが含まれていてもほぼ100%です。

 ・ミリスチン酸
 ・ステアリン酸
 ・ラウリン酸
 ・オレイン酸
 ・イソステアリン酸
 ・ヤシ脂肪酸

ただし、実はこちらは当てはまらない製品がゼロとは言えません。
他のサイトさんではこれにアルカリ素材の「水酸化Na」「水酸化K」がどうだとか、これを一緒にした「ミリスチン酸K」「ミリスチン酸Na」だとかもあるなんて解説もあったりしますが、それらも全て網羅していくと実はアルカリ剤も「TEA」「アルギニン」なんて例外も出てきますので、実はキリがありません。

ただ、それは本当に一般的ではないケースですし例外のほとんどは固形石鹸ですので、いちいち覚える必要もないと思います。
仮にそれもアタりたくないとおっしゃる方は、酷ですが上のソープレスソープの洗浄剤成分名を覚えて下さいね。

今回の話題は以上ですが、ここ数年で石けんを脱却しようという動きが業界でも広まってきています。
それはお肌への安全性をさらに突き詰めようだとか、はたまた環境への影響もさらに進歩していかないといけないだとか、原料メーカーさん・化粧品工場さん・化粧品メーカーさんそれぞれに思惑は様々ですが、少しずつ変わろうとしていることは事実です。

以上を参考にして頂いて、化粧品業界がどう動いていこうとしているのか、注目してみて下さい。
ではまた次週。

by.美里 康人

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