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固形石鹸とボディソープのお話

石鹸
今、これを売るために合成洗剤が徹底的に叩かれて久しいですね。

その昔
価格競争のあげく市場の平均価格が
1個50円と暴落してしまった固形石鹸

結果として中小の石鹸メーカーは
この価格では全く採算が取れなくなり
次々と淘汰の波に晒されるされる事になります。

加えてシャワー時代を迎え
ボディソープといった液体モノが広がり
そしてさらには大手石鹸メーカーまでもが
倒産寸前のところまで追い込められた事実は
以外と消費者には知られていません。

なぜこうなったのでしょう?

石鹸業界の事情をもう少し詳細に分析すれば
その構図が浮き彫りになってきます。

~~~

昭和30~40年代
各家庭の押入れには必ず
ギフトでの頂きモノの固形石鹸が
常に5~10ケースは常備されている状態でした。
*ケースあたり、6~12個入り

そう、この頃のお歳暮やお中元は
判で押したように固形石鹸の詰め合わせだったのです。
これがそこそこの役職の家庭になると
その時期には5ケースも10ケースも
ギフトを頂く事になるわけです。

加えて結婚式・お悔やみ事などなど
行事がある毎に
石鹸のギフトは利用されました。

石鹸業界は順風満帆。
こぞって製造設備を導入し
石鹸を大量生産します。

しかしながら
各家庭でお風呂や手洗いに毎日使用しても
固形石鹸は年に数個しか消費しません。
結果的に何十個という数の石鹸が
各家庭の押入れの肥やしになってしまう事になります。

そして昭和50年代にシャワー時代を迎え
さらに事情は悪化の一途を辿ります。

そう。
固形石鹸を液体にした
大変使い勝手の良い液体ボディソープ
TVCMを席巻します。

ここで誤解があってはならないのは
この液体ボディソープへの進化の歴史を
合成洗剤の進化と一緒にしてしまう人がいます。

いえいえ、現代でも市販のボディソープのほとんどは
液体石鹸である事に間違いはなく
単に固形状の石鹸を使わなくなっただけの事です。

しかしながら、ここで石鹸業界は大きな問題を抱えます。

「固形石鹸」のみを作っていた工場は
その工場が稼働しなくなったわけです。
つまり
固形石鹸と液体石鹸では
機械設備が全く異なるためです。
液体石鹸は作るのに特殊な設備を必要としないため
これまで石鹸を作っていなかった化粧品メーカーまでもが
どんどんと液体石鹸(ボディソープ)の
大量生産に入ります。
そして価格競争・・・。
これは、市場の常識的な企業原理です。

ただでさえ固形石鹸は
各家庭の押入れに山のように積まれているのに
追い風のような液体ソープの登場で
ほとんど消費される事がなくなってしまいます。

現在でも新たに固形石鹸を購入する家庭は少なく
その頃から引きずっている固形石鹸を
今だに消費している家庭は少なくありません。

当然、固形石鹸の設備のみで稼働していたメーカーは
エンドを迎えるしかありませんでした。

* * *

そんな進退の憂き目にあった石鹸の工業会が
業界再建のために取った最終手段とは?

合成洗剤や合成界面活性剤を
叩いて潰しにかかったのは
いったい誰なのでしょうか?

ここから先はあえて述べません。
これ以上、生死をかけた攻撃的な業界に対し
一石を投じるのは止めておきましょう。

ただ一つだけ。
これだけは、皆さんにお伝えしておきましょう。

現在市場に1個千円以上もするプレミアムな石鹸があります。

手作りでもない限りこのような価格商品は
存在し得ない事を覚えておいて下さい。
これまで書いた経緯を踏まえれば
1個あたりの単価が幾何のものであるかは
おのずと判断がつきます。

ちなみに私は固形石鹸が好きですし
おそらく死ぬまでその生活様式は変わらないでしょう。
ただし
私は1個100円の石鹸を選びます。

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