週3で異なる目線の美容記事をお届け
美里康人
キーになる成分はなんなのでしょう?
今回は洗顔フォームの話題です。
中でも、洗顔クリームに使われている成分の技術について解説していきます。
この記事の目次
毛穴クリアの課題
毛穴のお悩みは、@cosmeなどの質問を見ていても分かるように、お肌の悩みの上位にいつも君臨するほど明確な解決になる製品が存在していません。
特に“いちご鼻”と呼ばれる鼻の頭に現れるボツボツは、若い女性にとって大きな悩みの種ですね。
その昔は、鼻の頭に貼り付けて引っぺがすとズボリと角栓が目に見えて抜け、面白さも加わって一大ブームにもなったものです。
後々、これは一時的な効果であって毛穴そのものはむしろ広がってくるといったマイナス面の課題も拡散し、市場から姿を消しました。
とはいえ、これだけ悩んでおられるユーザーさんが多いという証しにもなった、ひとつの社会現象と言えるでしょうか。
そういう意味でこういう指向性のアイテムの中には、「ガスール」といったような泥成分、いわゆるベントナイト系成分が配合された製品もブームになりましたね。
こちらも物理的に毛穴に溜まった皮脂や角栓を除去してくれる期待が持たれて市場に広まりました。
しかしながら、お肌の脂質も吸着されて取られてしまう事から、皮膚の潤いに課題があるということでブームは沈静化しました。
他にもこんな製品もあります。
出典:製品サイトリンク
お肌を極端にクールダウンすることで、毛穴を収縮させようというアイテムです。
いわばこちらも物理的な対策ということになりますので、皮膚温が元に戻るにつれて緩んできて、結果的に一時的な効果ということになってしまいます。
とはいえ、毎日これを繰り返すことで皮膚の活動を促し、いわば後押しする効果が見込める可能性もあります。
そんな「ポアケア」とも呼ばれる毛穴ケアの製品ですが、こういった物理的に除去するのではなく、半永久的な効果として皮膚の生理にアプローチした製品はないものでしょうか。
生理的効果で解決できないのか
この毛穴ケアの課題に対しては、大手ブランドさんや原料メーカーさんも、皮膚の生理に作用させて少しでも毛穴の広がりをリセットに向かわせる効果に期待する成分の研究は進んでいます。
様々な成分がありますが、ブログに取り上げて支障のないところで、大手さんブランドのひとつを取り上げますと、このような成分。
「グリシルグリシン」という、アミノ酸の誘導体ですね。
ユーザーさんでも分かりやすい天然由来ですし、いい感じ。
メカニズムは、ヒトの皮膚細胞には必ず存在している細胞のイオンの出入り口、これを“イオンチャネル”と言いますが、ここから出入りするイオンのプラスとマイナスをコントロールしてやることで、毛穴の開きに関連している不飽和脂肪酸の生成を制御してやろうという試みでした。
もう15年前の論文発表でしたので古いお話ですが、こういう研究もされいるという一例ですね。
しかしながらこれらの成分も、明確に効果が実感できるほどの効果は得られるならば大きなトレンドになっているはず。
なかなか理屈通り、エビデンス通りの実感は得られていないというのが現状でしょうか。
洗顔フォームの毛穴クリア製品
さて、掲題にあげた本題に話は入っていきますが、洗顔は言うまでもなく皮膚を洗浄する製品ですので、毛穴に詰まった角栓や皮脂にもっともアプローチしやすいアイテム。
ならば、このアイテムに毛穴ケアの効果を盛り込むと十分に期待が持てると、お分かり頂けるはず。
確かにそのようなアイテムも市場でたくさん見かけましたね。
上で触れた泥成分や、ツブツブのスクラブ剤が配合された洗顔フォームがそれに値します。
しかしながらこれらの成分は、うっかり目に入ろうものなら眼球を傷つけてしまうといったトラブルに繋がり、使用方法に注意書きを明記する義務が課せられたりといった、警鐘が鳴らされることになりました。
また、素材によっては皮膚を傷つけるリスクもあり、あまりオススメではない手法ということになるでしょうか。
まぁ、いずれにしても物理的な対策ということになってしまうのですが、それでも毎日のことですし、常にクリーンにしておくとだんだんと毛穴が小さくなることに期待は持てるのは想像できます。
なぜかといえば、詰まる皮脂や角栓の除去が不十分だと、どんどん増加していって毛穴を押し広げていくからです。
広がって緩んだ毛穴は元に戻らないと考えると、そうならないようにすれば進行しないわけですから、最小に見積もっても予防にはなるということになりますから。
数か月程度のケアで改善される劇的な効果は期待できませんが、数年スパンで気長に継続していけば、気付かぬうちに必ず結果が出ているのは間違いありません。
さて、こうして固形の物質で強引に古い皮脂や角栓を掻き出してくれたスクラブに問題があるとなると、その後の進歩はないのでしょうか?というのが今回の話題です。
また終わりごろに本題に入るような展開ですが、解説が簡単なのでサラっと説明していきますよ。
PEG?
「PEG-〇〇」
最近、洗顔フォームにこの成分名をよく見掛けませんか?
〇〇のところは、数字です。
PEGは「ポリエチレングリコール」の略ですが、界面活性剤の成分名表示にもよく見掛ける文字ですね。
エチレングリコールがたくさん連なってポリマーになるその数が、この数字で表されています。
言うまでもなく、数字とともに分子も大きくなるというわけです。
石油由来のエチレンガスを原料として製造されますので、どうしてもこの名称がついていると合成と言われがちですが、まぁ石油由来素材なのでそれは致し方ないとして話は置いておきましょうか。
で、これまで書いてきた通り、市販の洗顔クリームはほぼ全てと言い切っていいほど石けんがベースで作られていますが、そんな製品になぜこのような成分が使われているのか不思議ではありませんでしたか?
この通り。
大手ブランド4社さんの洗顔クリームを網羅して、全成分の頭だけを拾ってみました。
数字は様々で順位も異なりますが、どのメーカーさんも1%以上は使われていることがよく分かります。
こうして今や当たり前のように配合されているPEGですが、配合目的のひとつには石けんを安定させるために使われています。
以外と石けん系の洗顔フォームを温度で変化しないように維持するのは、難しいんです。
そしてもうひとつは今回のお題にあげた、毛穴クリア効果や石けんカスを作りにくくするために使われています。
特に洗顔クリームは水分が少ないので、多めに配合してあげれば皮脂を溶かしだしてくれる効果が期待できます。
特に前の方に位置している製品、そして数字の大きなPEGを使っている製品は、その効果を特に引き出していると思ってもらって良いでしょう。
その証しに、こういった製品にもその効果が応用されています。
左は「クリア」の言葉が製品名となっているふき取りローション系で、右側はクレンジングですね。
PEGは石油由来なので気になる方もおられるかもしれませんが、もともと長年医薬品に「マクロゴール」と呼ばれてベースに使われてきている無害な成分ですので、むやみに避けるよりも、気になるいちご鼻が改善されていく効果の方に期待したいところですね。
こうしてひとつずつ、成分をみてそれぞれがどんな目的で配合されているのか、皆さんの学びになれば幸いです。
ではまた次週。
by.美里 康人