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低刺激な洗浄成分はどれだ!

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美里康人

カラダへの安全性も高く
環境との共生も考えた洗浄剤とは?

この話題も今回が最後ですが、前回の記事で取り上げたような洗浄剤やそれをうたい文句に販売されている製品の、いずれも否定をするつもりはありません。
私達もその業界で生きているわけですので。
とはいえ私達化学屋は、人体にとって安全かどうか、そして地球環境を未来への永年のスパンで思慮して方向性の指針は持っておかないといけないと思うのです。
もちろんそれは今やれることを正しく認識し、まだ達成できないことへのチャレンジや夢に向かって努力していかないといけません。

そういう意味で、今やれることを達成しているあらたな洗浄剤も存在していますので、製品を見て頂いて分かる成分名とともに取り上げていきます。

低刺激な洗浄剤とは

私などのような生まれもってひどいアトピー体質な人や、ひどい乾燥肌や皮膚厚の薄い体質の方、そしてまだ皮膚が成熟していない乳幼児をお育てのお母さんなどには、それ相応に刺激の少ない洗浄剤が必要とされます。
当然、これらに対応する市販製品はそれなりにしっかりとしたエビデンスを踏まえて、皮膚への安全性や低刺激性が担保された洗浄剤が使われているべきです。
これは言い切ってしかるべきことのはずで、製品が売れるとか売れないとかの問題とは別のところにあります。

実際に私のケースでも数十年前にさかのぼりますが、アトピーの症状が極限にひどかった年代の頃は、皮膚科医の先生に「石けんで洗ってはいけませんよ。」と怒られたことがあります。
そりゃそうです。 水道水のシャワーに含んでいる塩素だけでも、カラダに掛けただけで飛び上がるほど痛くて、涙が出て毎日の入浴が困難だったほどですから。
いわば火傷を負って傷口がむき出しになった皮膚と同じレベルですので。
でも、ボディソープでカラダをガシガシ洗いたいのです。

もちろんこの頃から業界の技術者でしたので、同じような疾患の方たちに何を提供すれば良いのか、実に悩ましい日々でした。

今はそれなりに技術者として工夫した生活をし、症状が悪化しないようにメンテナンスを怠らないライフワークができるようになりましたので、そこまでの難は逃れていますが。 それでも、ちまたで言われているような安全をアピールする製品など使用しようものなら、皮膚コンディションのよくないシーズンにはひどいメにあいます。

もちろんメーカーさんに文句を言う筋合いはありませんが、心の中ではその企業さんの代表に「あんた、私達の立場になって一度使ってみたらどうだ?」と投げかけてあげたくなります。
夏場でもお肌を晒せずに、患部部位を隠してオシャレができない女性が周りにもたくさんおられるのです。
そのような方々は、少しぐらい高価だったり、泡立ちや泡質、そして使用感に問題があっても、自分に合う洗浄剤を使った製品を探していることを忘れてはならないと感じます。
この先も、そんなスタンスで成分の見極め術のお話を進めていきます。

アルカリ性と酸性、そして弱酸性の意味

最初に基本的なことに触れていきますが、ちまたではよく“弱酸性がお肌に良い”といった文字を見かけるかと思います。
これは洗浄製品についても同様で、決して間違っているわけではありません。
もしも
「お肌にはpHの調整機能が備わっているんだから、それは問題にはならない。」
と主張される方がおられたとしたら、間違いに気づいて欲しいと願ってなりません。

では、アルカリ性の製品は全て悪いのかと問われれば、そうとは言えません。
ここ、非常に大切なことで研究者でも化学のメカニズムを誤解している方が多いので、よく理解しておいて下さい。

以前にアルカリ電解水の解説でpHについて説明していますが、石けんを含むアルカリ性の洗浄剤はお肌に安全だと主張される方もココを勘違いしています。

『お肌によくないのは塩基性物質や酸物質を含んだアルカリ性・酸性であって、pHが高い・低いだけで決められるモノではない』

ということです。

つまり、「pH」という数字で示される液性の値とアルカリ性・酸性は深い関連性はあるけれども、全てが危険度と同じにはならないということですね。
数字にともなって液性の強さが上下はしますが、それが皮膚やカラダへの危険度とは一致しないというわけです。

これを利用してアルカリ性の洗浄剤でも安全性は高いとおっしゃる方もおられるのですが、それは間違いです。
やはり塩基性成分を含んだアルカリ性の洗浄剤は、お肌に刺激を与えるのは間違いありません。

水酸化ナトリウムは皮膚を溶かしますし、塩酸や硫酸は皮膚に火傷を負わせます。
これは変わりようもない化学の事実です。
ですので、石けんはNaやKを多く含み、なおかつ電気化学的にpHが高いので刺激があります。
合成と言われるラウリル硫酸Naも同じ理屈になります。

この解説は、身の回りの分かりやすい例で理解しやすくなります。
酸性の方の「酸」が身の回りには多いので、ピックアップして説明しましょう。

皆さんがお口にされる“酢の物”のpHは、どれ位がご存じでしょうか。
酢を配合する量にもよりますが、少なくてもpHの値はとかになります。
こんなにpHが低いのにフツーに食べているのですから、これはどういうことでしょう? 他には、クエン酸が入ったレモンジュースや酸っぱい炭酸飲料、そしてレモンや柑橘系の絞り汁はどうでしょう。
いずれもpHの数字は知れば驚く値です。

自分のラボで測定すればよいのですが、ちと多忙で手が足りないので横着しました(笑)

酒・酢・ソース・レモン・炭酸水・洗剤のpH濃度を測定

「東京バイオテクノロジー専門学校」様HPより

まずは食用の酢のpH

酢のpH

続いてはレモン汁のpH

レモンのpH

ようは、同じ強酸性であっても「塩酸は反応性の強い酸だから危ない」、一方で「クエン酸やアスコルビン酸(ビタミンC)は反応性の弱い酸だから危険性はない」というわけです。
でも、pHの数字はそれほど大きく変わりません。

対してアルカリの方は、pHが11を超えるほどのアルカリ温泉が日本にもたくさんあって分かりやすいですね。

都道府県 温泉地名 pH
長野県 白馬八方温泉 11.5
長野県 生津温泉 11.3
埼玉県 都幾川温泉 11.3
岩手県 新山根温泉 10.8
山梨県 桃源天恵泉 10.6
埼玉県 秩父湯元武甲温泉 10.6

10.5を超えるのを取り急ぎでピックアップしましたが、10の前半はズラズラとあります。
これだけでも、これで顔を洗って目にも入っていたのか!と驚かれたかと思いますが、もっと身近なものでこれなどいかがでしょう。

「こんにゃくじゃーなる」様HP
リンク先:http://konnyaku-j.jp/?p=5046

こんにゃくのpH

こんにゃくのpHです。
メーカーさんによるとpH12前後だそうで、他にもワカメといった海草、そしてほうれん草もpHの値は10前後あるのだそうです。 むしゃむしゃ食べていますが、胃やカラダの方は大丈夫か心配になるでしょうか。

つまり結論としては、以下の2点を満たしていることが、危険度とリンクしてくることになるということです。

①強い塩基性物質(アルカリ物質)や酸物質を含むこと
②物質含有量が多いこと

これはpHの数字とは完全一致しません。
が、ある程度リンクはしていることから勝手にpHの高い低いと危険度が同じにされてしまったのです。

というわけで説明が長くなりましたが、pHの高低と皮膚への危険度は必ずしも一致はしませんが、少なくても洗浄剤は①に該当して危険性が全くないアルカリ性物質でできているのではありませんので、危険性の高はさほどでなくても、やはり弱酸性の洗浄剤がベストであることは言うまでもありません。

低刺激洗浄剤とはどれ?

ここまでの前置きが長~くなりましたが、手身近かつダイレクトに市販製品と洗浄剤の名称をあげていきましょう。

洗浄剤、つまり界面活性剤の構造として特徴的なのは、成分名の右側にある水に溶ける成分側に何が使われているかが、刺激の少なさのカギになっています。
下であげていく製品をみて頂くのもよいですが、マーキングしているメインの洗浄剤を覚えておいて頂ければ選択の大きな武器となります。 これらをキーワードに探せばよいので。

・アロベビーハンドソープ
リンク先:https://www.alo-organic.com/shop/products/alo_131_1

低刺激ハンドソープ

全成分)
水、グリセリン、ラウロイルアスパラギン酸Naコカミドプロピルベタインデシルグルコシド、ベタイン、ココイルサルコシンNa、ホホバ種子油、オリーブ果実油、ラベンダー花エキス、ローズマリー葉エキス、ユズ果実エキス、ラベンダー油、ローズマリー葉油、BG、クエン酸、EDTA-2Na、フェノキシエタノール、安息香酸Na

そしてボディソープ。

・アロベビーソープ
全成分)
水、プロパンジオール、(カプリリル/カプリル)グルコシドコカミドプロピルベタインココイルグルタミン酸2Na、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、安息香酸Na、カプリル酸グリセリル、ココイルグルタミン酸Na、塩化Na、グリセリン、クエン酸、ウンデシレン酸グリセリル、ラベンダー油、ダマスクバラ花油

次いでシャンプー。

・アロベビーヘアシャンプー
全成分)
水、ジグリセリン、ココイルグルタミン酸TEAコカミドプロピルベタイン、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ペンチレングリコール、グリコシルトレハロース、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、加水分解水添デンプン、ツバキ種子油、ホホバ種子油、キハダ樹皮エキス、(ラズベリー種子油/コハク酸トコフェロール)アミノプロパンジオールエステルズ、グリセリン、シロキクラゲ多糖体、ポリクオタニウム-10、BG、水酸化K、塩化Na、クエン酸、デヒドロ酢酸、ベンジルアルコール、ラベンダー油、ダマスクバラ花油

主成分洗浄剤の解説です。

ココイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na、ココイルサルコシンNa、ココイルグルタミン酸TEA

グルタミン酸・アスパラギン酸・サルコシンといったアミノ酸系の洗浄剤で、アミノ酸と脂肪酸をくっつけて開発された洗浄剤です。
ミノンや花王のメリーズの製品も同じく同系の洗浄剤が使われています。
それぞれにまだ少し刺激が残るアミノ酸があったり、末端の中和剤の選択が少し気になるなど個性はありますが、根本的に低刺激な洗浄剤です。
それぞれの特徴として、洗浄力が弱い・泡立ちがあまりよくない・泡質が荒い・水洗後のヌルつきなど、使用感に難点は残っていると思いますが、低刺激に拘ったと言えます。
サルコシン系は、石けんほどではないにせよ若干刺激を感じる方がおられるかもしれません。

デシルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド

グルコシドという糖を基盤に脂肪酸をくっつけた洗浄剤です。
イメージ通り根本的に刺激が少ない洗浄剤です。 脂肪酸の部分はいくつか種類がありますので、中でもどれが刺激が少ないかは試してみる価値があります。
やはり泡質や泡立ちに課題は残されていますが、プライオリティをどこに置くかで選べばよいと思います。

・アトピタ保湿全身泡ソープ
リンク先:https://www.tampei.co.jp/atopita/ATF/

低刺激ソープ

全成分
水、コカミドプロピルベタイン、PEG-8、ラウロイルメチルアラニンNa、コカミドメチルMEA、ラノリン脂肪酸コレステリル、ヨモギ葉エキス、ラウリン酸、TEA、ラウリン酸ポリグリセリルー10、カプロイルメチルタウリンNa、BG、クエン酸、EDTA-2Na

主成分洗浄剤の解説です。

コカミドプロピルベタイン
ベビー用としては有名なピジョンの製品も同タイプの洗浄剤で、アニオンとカチオンの両方の性質を併せ持つ、低刺激シャンプーにもよく使われる刺激の少ない洗浄剤です。
コスパのよいジョンソンのベビー用ソープもこの洗浄剤が主成分になっています。
「ベタイン」という名称が、この類の洗浄剤のキーワードになります。
イオン性が強くないので刺激が緩和されていますが、それに比例して水洗に少し時間が掛かるのが残された課題でしょうか。

ラウロイルメチルアラニンNa
こちらもアラニンというアミノ酸を利用したアミノ酸系洗浄剤です。
他のアミノ酸系よりも比較的さっぱりとした洗い上りが特徴ですが、その分だけ刺激の面ではほんの少しだけ強めと言えるでしょうか。
ミノンのボディソープ(さらっとタイプ)にも使われています。
さっぱりとした使用感とのバランスが非常にいいとされる洗浄剤です。

・まも肌 ベビー泡ソープ
リンク先:https://www.jmeneki-shoken.co.jp/item/mamohada/

低刺激ソープ

全成分
水、グリセリン、ソルビトール、BG、ココイルグリシンNaコカミドプロピルベタイン、パントエアバガンス/(リンゴ液汁/ウメ果実)発酵エキス液、グリチルリチン酸2K、セテアリルアルコール、イソマルト、イソステアリン酸、塩化Na

ココイルグリシンNa
こちらもグリシンというアミノ酸を利用した、アミノ酸系洗浄剤です。
ロートのケアセラなどにも使われています。
私自身もこの洗浄剤の低刺激性と使用感が好きで、自分ではこのタイプの設計をお顔に使っています。
泡立ちと泡の濃厚さに少し難点はありますが、さっぱりした洗い上りと目に入ってもしみない低刺激が優れたポイントです。

最後に

ここまで、刺激の少ない洗浄成分をピックアップして学びにして頂く記事を綴ってきました。
それぞれに個性があり、低刺激な中でも刺激の強弱にも特徴があります。 また、それぞれに少し所感を記したように使用感的にいいところと難点とがあります。
これまでのオーソドックスな洗浄剤に慣れてこられた方は、使用感でとまどう一面も持っています。
使用感とのバランスで自分の合うモノを使い込んでいくと、色々と学びにもなると思います。

そして、いずれの素材も自然に存在する、安全性の高い天然由来成分を取り入れた新しい試みで設計されていることにも気付かれたことでしょう。

ただし一方で、こういった天然由来成分は前回までの記事で書いてきた通り、どういった素材を原料として生産されるかは大きな課題です。
植物の伐採といった、それによって地球環境が破壊される影響に繋がるのであればそれは理論破綻となります。
人間のために自然が存在しているのではありません。
そういう意味では、「植物由来」という言葉にはまだまだ大きな闇が存在していることも、とりあげてきました。

今後は発酵といった微生物が作り出すバイオ技術で生産が可能になる原料が選ばれていく時代へと、そう遠くなく変革していくと言って間違いないでしょう。
悪玉ではない微生物は、永久的に存在し得る生物ですので。
ユーザーの皆さんも、この辺りに意識を置いて成分の選択をされてはいかがでしょうか。

以上、市販製品を例に洗い出して記事を進めてみました。
他にもこれまでのオーソドックスな洗浄剤より低刺激な洗浄剤もありますが、洗浄剤の歴史とともに比較して先進性のある洗浄剤を中心にピックアップしてみました。

最後に再度念を押させて頂きますが、今回の話題は洗浄剤について取り上げてきました。そのため、決して記載した製品をオススメしているのではありません。
洗浄剤以外の成分も見た上で、自分に合った製品をみつける参考にされて下さい。
例えば香料や精油、キレート剤といった添加剤も配合されている製品もあり、防腐剤も人によって合う合わないがあるでしょう。

低刺激な製品を探す見極めの参考になることを願って、今回の記事を終わらせて頂きます。

では次週はまた違う話題で。

by.美里 康人

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