◆◆FILE No.091 / マイナスイオンドライヤーの真実とは?~その2 / 2008年12月配信◆◆
この記事の目次
マイナスイオンドライヤーの効果は科学で証明できるのか?
今回は、マイナスイオンドライヤーの続きですね。
さて、panasonicが発端になって
一大ブームともなったマイナスイオンドライヤーですが
果たしてその効果のほどは
科学で証明できるのでしょうか。
結論から先に言いますと
実はよく分らないようです・・・。
と言うのも
論理的に考えるとこのドライヤーは
水分を非常に細かい粒子にして噴霧し
まるで霧が舞っているかのような
滝の下のイオン発生の現象を再現しています。
滝の周りや森林でマイナスイオンが発生しやすいというのは
非常に細かい霧のような水の粒子に空気中のイオンが帯電し
包み込まれた状態で浮遊する事から
その大気中にいる事で精神的な効用が認められています。
一時流行したマイナスイオンを発生するとされた加湿器や空気清浄器も
この原理を応用したモノでした。
ただしこの原理には欠点があり
空気清浄機から吹き出された霧状の水分が漂う場所
つまり吹き出し口から数十cmの範囲にしかイオンが存在しない事が指摘され
誇大広告だと大きな問題となりました。
以降、大手の家電メーカーを含め
市場から全てこうしたマイナスイオン機器が
撤収されたという一大事がありました。
ドライヤーのマイナスイオン効果は測定できるのか?
話を戻しますと
こうした理由により、マイナスイオンが維持されるのは
水の細かい粒子が漂っている範囲だけという事になります。
森林や滝の周辺には
そこらじゅうに霧状の水分が漂っていますので
マイナスイオンが維持されているというわけです。
さてでは本題のドライヤーにあたってはどうでしょうか?
確かに吹き出し口から細かくナノ粒子にされた水分には
空気中のイオンが帯電する可能性が高いでしょう。
そして、ドライヤーは過去の空気清浄器と異なり
吹き出し口からごく近い距離で髪に接することになりますので
直接髪にマイナスイオンが吹き付けられると考える事ができます。
とすると
このドライヤーの場合はマイナスイオンの効果が認められるのかも?
となります。
ここで早まってはいけません。
なぜなら、ドライヤーの場合はそれを邪魔する
大きな要素があります。
それは、「強い風」と「高い温度」です。
あれだけの非常に高い温度は
どう考えても水分を飛ばしてしまいますので
果たして髪にあたる風に水分が存在するのかどうか
非常に怪しいと考えざるを得ません。
さらに風力が強いために
それはさらに助長されます。
こうした疑問が拭えない条件ですが
ならば存在を証明するために
イオン量を測ってみればよいといういう事になります。
ところがここに大きな穴があります。
さきほど書いた「強い風力」は
イオンの測定することを拒んでしまうからです。
そりゃそうですね。
一瞬にして通り過ぎてしまう風の中にあるイオンを測定することなど
不可能に近いと言わざるを得ません。
しかも、温度が高いために一瞬で水分が蒸発してしまうとなれば
どうにも測定しようがないということになります。
マイナスイオンドライヤーの実感による効果とは
これらをトータルして考えると
推論としてはイオンの存在を確定するのは肯定できない
という結論になります。
実際に、前回書かせていただいた物理学の権威である菊池教授は
実証はできないが過去の検証をもとに
かなり否定的な立場で見解を書かれています。
でも、にも関わらず私が「よく分らない」と書いているのにも
実は理由があります。
この教授の方々は論理から検証しようとしますので
それがない限り実証とはしない傾向が強いですし
実証されないことには絶対に信用に値いしません。
でも私が知る限りにおいてのユーザーの声は
「実際に効果がある。」
なのです。
確かにこの先生方が
第三者から耳にした「効果があった。」といった使用感の声を
どうしても実証として信用し得ないのはよく分ります。
でも私がユーザーの方々から耳にする声は
バイアスがかかっているかどうかを判断することができますし
その声を多数集めることで
実証に匹敵する材料とすることができます。
ということで、私が現状知りえる限りの情報では
「何かは分らないが、実際になんらかの効果はある。」
が正しいと思っています。
その声は
・静電気が起きにくい
・髪の落ち着きが全く違う
といったものです。
それが本当にマイナスイオンの効果で静電気が封鎖されているのか
単に水分が付着することで過乾燥が防がれ
静電気がたまりにくくなるのかは分りません。
でも実際に効果があるのは間違いなさそうです。
ちなみにここで注意しておかねばらないのは
市販されているマイナスイオンドライヤーの中には
全くメカニズムの異なる
『コロナ放電』を利用した商品が存在する点です。
これについては全くメカニズムも条件も異なり
論理の不条理を埋める要素がみつかりませんので
yesとは言いかねると
付け加えておきましょう。