◆◆FILE No.065 / 2007年10月配信◆◆
好転反応とは?
今回のお題は、好転反応という言葉についてです。
この言葉、皆さんも何度か目や耳にされた事があるかと思います。
よく目にするケースとしては
コスメを使用した時に出たお肌の反応を
「お肌がよくなる方向に向かう際に起こる反応です」
と説明されていたりしますよね。
これは実は、間違った使い方というのをご存知でしょうか。
Wikipediaではこう定義されています。(引用時:2007年10月)
好転反応(こうてんはんのう)とは治療の過程で起こる予期しない激しい身体反応のこと。
しばしば副作用、不適応を誤魔化すための用語として使われるので、注意が必要である。
もともとこの言葉は
物理的に身体に力を加える東洋医学で使われた用語で
つまり、あんま後のもみ返しや
低周波治療後のだるさやほてりといった状態の事を指しています。
ようは、部分的に筋肉や腱・血管などに力が加えられたことにより
その後しばらくすると部分疲労のような症状を与える事です。
それを利用して
しばしば、化粧品や健康食品の業界で商品のリスク部分
いわゆる副作用や有害反応を
逆手に利用する手段として使われるようになりました。
一例としてはこんなセールストークです。
・この反応は体の中の毒素が一気に排出されるから発生するもので、一時的なものです。
・この反応が出たということは、治療効果がある事の証明です。ここでやめてしまっては、苦労の甲斐がありません。
薬などの薬剤を使用した医療の業界で
こうした症状が現れる事は実際にはあり得ません。
決して、こうした謳い文句に翻弄されないようにして下さい。
そして、こうした症状が出た場合には
必ず医師に相談するなりの措置を怠らないで下さい。
そのまま悪化の一途をたどるケースがほとんどだからです。
仮に体調の変化などで症状が出なくなったとしても
それは体が受け入れたという事ではありません。
特に女性は生理周期などで大変体が敏感なので
体調が一定でない事を忘れてはなりませんね。
思い当たるフシがある方は、ご注意を。
* * *
さて、今回は好転反応に類似した状態として
化粧品などを使用していて
カブれたと勘違いしてしまう症状をいくつかご紹介しましょう。
*
もちろん、これは「好転反応」というのとは全く異なりますので
誤解なきよう、お願いしますね。
まずは
アトピーの症状などがひどい方によく起こるケースです。
アトピー治療のひとつに、軟膏剤による抗生物質治療があります。
この抗生物質治療を極端に否定される方をよくみかけますが
そういった方々がよく陥っているパターンです。
皮膚外用剤の抗生物質の多くは
ワセリンをベースにした軟膏製剤が多いですね。
この軟膏剤を症状の出ている箇所に塗布すると
しばらくするとそこがムズ痒くなってきます。
そしてこのまま就寝すると
寝ている間に思わず掻きむしって
翌朝には症状は悪化している結果となります。
これは
ワセリンによって皮膚が隠蔽される事で
その部分が保温効果や発汗作用によってムズムズとするためです。
もちろん、これが症状が出てない健常な箇所であれば
それはカユミには繋がりませんが
アトピーで症状が悪化している箇所というのは
神経がむき出しになっているためムズ痒さに繋がります。
その結果、その部分をつい掻きむしってしまい
この繰り返しが、アトピーを悪化させてしまう事があります。
これは
その抗生物質そのものがお肌に合わなかったのとは
全く無関係なのですね。
日本皮膚科学会が主催するアトピー対策委員会では
こうした物理的な影響を一切排除した状態で抗生物質治療を行うと
完治はほぼ100%の結果が得られたと報告されています。
もちろん、その際の薬剤の選択は
きちんと患者さんの症状に適応したものでなければならないのは
言うまでもありません。
*
さて、実はこうした事象に似た例は
化粧品にも存在します。
それは、油分や粉成分がお肌に合わないといったケースです。
乳液やクリームなどといった
製品中に油分が配合されている化粧品を使うと
どうしてもカブれてしまう。
クレンジングオイルでも同様の結果になる方。
他には、ノンケミ(紫外線吸収剤未配合)の日焼け止めや
パウダーファンデがどうしてもお肌に合わない方。
こういったパターンに陥って悩む方を多くみかけます。
さてこれは
お肌に合わないコスメを選択してしまっているのでしょうか?
いえ、実は
「油分が毛穴を覆う」
そして
「粉成分が毛穴に触れる」
こうした原因によるケースが多い事があります。
つまり、神経にもっとも近い毛穴部分が
非常に過敏な皮膚体質の方という事が言えます。
例えば私のアレルギー体質はこれが顕著となります。
髪が毛穴に触れるだけで途端にカユミが発生し
蚊に刺されたようにプックリと膨れ上がります。
他には
ウールなどの繊維質が毛穴に触れる事でも
同様の症状が発生します。
これは一種の毛穴に起きるアレルギー症状です。
お話を戻しますが
こうした自分の肌体質を判断できずに
そのコスメやブランドがお肌に合わないと思い込んでしまうケースは
よくある事例としてみかけます。
そうしてあげくに防腐剤や添加剤が悪者と思い込み
自然系のコスメや、無添加系のコスメを買い漁る事で
コスメジプシーの迷路に迷い込んでしますパターンとなります。
過去にお肌に合わなかったコスメの事例を
きちんと見直してみる事をお勧めします。
今回は
コスメがお肌に合わなかった事象を正確に分析するのは
なかなか素人では容易な事ではないというお話でした。