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奥深い石鹸(FILE No.054)

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◆◆FILE No.054 / 2007年6月配信◆◆

奥深い石鹸

石鹸といえば
皆さんおなじみの家庭におけるレギュラーアイテム
でも、その石鹸も作る側にとっては
実は色々と秘話があるという
そんなお話を今回は致しましょう。

* * *

このメルマガを購読されている方
そしてcosmetic-webのサイトをご覧になって下さっている方々は
もうすでに十分に石鹸の事をご存知かと思いますが
石鹸にも皆さんが子供の頃からお風呂場で使っていた固形のものから
化粧品メーカーから販売されている
洗顔クリームのようなクリームタイプのものまで
色んな形のものがあります。

もちろん固形石鹸は皆さんよくご存知のはずですが
意外と洗顔クリームが石鹸でできているという事を
ご存知ない方は多いかもしれませんね。
石鹸というのは、油脂や脂肪酸をアルカリ剤で
中和する事で作られるものです。

コンビニやドラッグストア
そして高級コスメを扱う制度品カウンターまで
市販されている洗顔クリームの大半は
石鹸タイプの処方でできています。

もちろんMAPの花王や
アミノ酸系のカネボウやダヴなど
独自の洗浄剤を使用しているものは別として
相変わらず洗顔クリームの主流は
石鹸タイプとなっています。

その辺りの詳しい事は
サイトの方の『洗顔の基礎知識』に書いていますので
そちらに譲るとして
今日は石鹸の裏話などをお教えしましょう。


参考
洗顔の基礎知識cosmetic-web

皆さんも
ご家庭で石鹸を手作りされてる方々がおられる事はご存知でしょう。
昔は、町内会で廃油を使って
石油缶などに石鹸を作る活動があったりしましたね。

そんな古い話は知らないなどと
冷たい事はおっしゃらないで下さいね(苦笑)

この家庭での手作り石鹸ですが
個々に皆さん作り方が異なると思うのです。
コールド法(加温しないで鹸化する方法)といった方法など
もともと製法も何種類かありますし。

そしてそれだけでなく、アルカリ剤の量の決め方も
人によってさまざまのようです。

さて
ではこれで毎回きちんと同じ品質の石鹸ができているのでしょうか???
家庭で使っているはかりで
そして、家庭でできる範囲の作り方で、という事です。

実はこれが
かなり適当な状態になっているという事ができます。

今週はこんなところに焦点をあてて
お話をしていきます。

*

皆さんは
市販の洗顔クリームを使っていて
「おや???前のものとちょっと状態が違う???」
こんな経験はありませんか?

実はプロである石鹸メーカーさんも
この油脂とアルカリの反応には
色々なノウハウを用いています。

例えばアルカリの量一つとっても
その時の油脂の品質などで
微妙に変わってくるんですね。
当然それが固さなどに影響してきますから
そこは製造している方の長年の勘をフルに導入し
その時のアルカリ量を決定します。

熟練の職人になると、その時のアルカリ量は
舌で舐めてみて調整をするのだそうです。
アルカリが舌を刺激する度合いによって
中和度が分かるというわけです。

他にも大切なのは温度
未反応物を残さない石鹸を作るノウハウとして重要なのは
この温度条件です。

中和という化学反応は
その反応が起きる際に必ず熱が発生します。
という事は、アルカリを加える速度によって
温度が上がる速度も変わってきます。

もともと石鹸は温度を加えて作る上に
この反応熱が加わります。
そしてやっかいなのは
水の沸騰点は100℃だという事です。

という事は
うまくこの温度をコントロールしないと
グツグツと沸騰してしまって釜から石鹸が泡だち
あふれてしまう事になるというわけです。
これでは失敗ですね。

この、いかに100℃前後の温度を維持するかというのが
未反応物を残さない
そして安定した品質の石鹸を作るための
ノウハウとなります。

さてさて、石鹸メーカーさんは本職ですから良いとして
化粧品メーカーさんが作る洗顔クリームは
もともと石鹸専門の会社ではありませんから
その条件はまた各社さまざまです。

特に化粧品を作る装置というのは
100℃以上に加温する事はありませんから
まずこの温度条件がキーとなります。
もちろん
アルカリを加える速度や量によっても
全く固さやテクスチュアが変化してしまいます。

そしておもしろいのは
アルカリを高濃度の状態で反応させるので
部分的に混ざりの悪いところがあったりすると
その部分だけ固い固形状の石鹸が
できてしまったりしてしまいます。

おまけに石鹸の中和反応というのは
一晩、二晩かけてゆっくりと進んでいく
そんな性質を持っているからやっかいなものです。

数日たってみないと失敗かどうか分からない
そんなやんちゃなヤツなんですね(笑)

市販の洗顔クリームを購入し
前に使用していたものと違うといった印象を受けるのは
こうした製造上のバラつきが
品質や状態に影響している事がよくあります。
ここが各社化粧品メーカーの
ノウハウといったところになります。

あえて油脂に大量のグリセリンを混ぜておき
アルカリが急激に反応しないようにする手法も
そんなひとつのノウハウ。
そう、洗顔クリームでグリセリンが多量に配合されているのも
実はこういった理由があったからなんですね。

最近はこうした技術を駆使しなくても
安定した品質の石鹸が作れるように
あらかじめ最初から高濃度で反応させて作られた
石鹸メーカー製の石鹸のチップを水で溶かして薄め
そしてそれに添加剤を配合して洗顔クリームを作る
そんな方法も多くなってきています。

特に大手メーカーは
お安い洗顔クリームを作らないといけないので
いちいち油脂から反応させて作る
そんなコストはかけていられません。

お安くて、安定した品質の洗顔クリームが作れる
そんな一石二鳥の手法が最近増えてきています。

「ミリスチン酸カリウム」
こんな表示成分が水の次に表記されている洗顔クリームをみかけたら
それがまさにこの手法ですね。

最後になりましたが
家庭で作られる手作り石鹸も
こんな難しい技術が必要とされるものだという事を
キモに命じておいていただければと思います。

実は石鹸の中では
目に見えない色んな事が起きているんですね。
今回はちょっと長いお話になってしまいました(苦笑)

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