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保湿剤の有名人~その7:ハチミツ(FILE No.020)

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◆◆FILE No.020 / 2006年9月配信◆

保湿剤の有名人~ハチミツ

今回は、前回のミツロウと関係のあるハチミツです。
なぜ関係があるかと言えば
このハチミツにも、ミツロウが数%含まれているからです。
さてこのハチミツですが

皆さんの中では
大変体に良い甘味料としての食材
といったイメージがあるかもしれませんね。
今回は、ちょっと食品としての切り口からのお話もしてみたいと思います。

*

では、ハチミツは体に良いというお話は
果たして本当に正しいのでしょうか?

私も実は最近までこう信じていましたし
これに疑いを持った事はありませんでした。
ま、苦味が好きじゃないので
興味がなかったというのが正直なところですが(苦笑)

余談は置いといて
ハチミツの成分構成をきちんと調べてみると
実は「ありり???」という事に気付きます。
もちろん、採取される場所によって多少の違いはありますが
その成分構成は平均して以下のようなものです。

 

果糖 40%
ブドウ糖 32%
オリゴ糖 7%
水分 18%
その他の成分 3%

あちゃぁ・・・そうなんですね。
72%はジュースなどに含まれるのと同じ
大変吸収されやすい糖分です。
「え?じゃ、太るやん・・・汗」

と、直感された方は正解です。
体に良いとされるアミノ酸やビタミン類・酵素などは
その他の成分のところに微量含まれているだけです。

まぁ、考え方として
全くの砂糖を甘味料として使うよりは、幾分かマシという程度の認識で
捉えておくのが得策かもしれませんね。

もっとも
最近は「シュガーレス」タイプの甘味料
(デキストリン・マルチトール・キシリトール・スクラロースなどを使用)
がありますので
吸収性やカロリーなど、結局こちらの方が効果としては間違いないようです。

*

さて
前回のお話と繋がる事でもっとも重要な点はここからです。

実はハチミツにもアレルギー性の成分が含まれている事は
意外と知られていない事実です。
お子さんのおられる女性の方はよくご存知ですが
1歳になるまではハチミツを与えてはならないというのは
厚生労働省から警告されている通達です。

これは
このアレルギー物質によるアナフィラキーショック症状での死亡例が
海外でいくつも報告されているからです。
大人の場合でも、発疹を起したりする方は結構おられるようです。

このアレルギー物質は
ミツバチが花から蜜を採取する際に含まれる花粉からハチミツに混入し
それがどんどん巣の中で濃縮されていきます。
成分構成でいうと、上記のその他の不純物のところに含まれています。

そうです
アレルギーはその成分の含有量に関係せず
個々の方がもつアレルゲンによって反応が出るかどうかが決定されますので
アレルゲンを持っていれば、極微量であっても発症します。
自然に存在するのタンパク質物質には
こうしたアレルギーの危険性のある成分が
たくさん存在しています。

こうした食に関する常識のウソ・ホントを
きちんと食品学の観点から情報提供されている貴重なブログがこちらです。

http://blog.livedoor.jp/silflay/

ハチミツに関する記事も掲載されています。

*

さてこのハチミツですが
その糖分の多い特性から
化粧品においても昔からよく保湿剤として活用されてきましたが
やはりアレルギーの問題から「精製ハチミツ」が使用される事がほとんどとなりました。
しかしながら
ごく少量であっても、疑いのあるものは使わないのが業界の常識。
現在は、ハチミツが化粧品に配合される事はほとんどなくなりました。

皆さんも
もしもご家庭で食品用のハチミツを配合して手作り化粧水を作られる際には
この辺りに十分注意を払って下さいね。
でないと、せっかくの手作りコスメの目的が
本末転倒という事になります。

まぁ、もっとも上記に挙げた成分構成を見ると
ハチミツをあえて保湿剤として使う事の意味もどうか
という気がしてきますよね。
よくよく考えてみれば
果糖とブドウ糖で構成されている砂糖と同じなのですから
それで良いと・・・。

ちなみに
果物に含まれる果糖とブドウ糖は
同じ糖でも還元糖の状態
(互いが結合していず、それぞれが反応しやすい状態)
ですので
お肌に塗布するとメイラード反応を起こし
色素沈着を起す可能性がありますので、ご注意下さいね。
(放置しておくと、果物が黒くなるアレです)

*

という事で
前回のお話で保留にしていましたミツロウも
このハチミツと同様
ミツバチが運んでくる花粉に由来するアレルギー物質が混在していますので
アレルギーをお持ちの可能性のある方は
要注意なのです。

そう
どうしてもお使いになりたい場合は
きちんと精製されたミツロウを捜される事をお勧めします。
「一切の手を加えない純天然ミツロウ」
といった謳い文句のミツロウほど、危険性は高いんですね。

まして
色をご覧になってもお分かりのように
不純物成分による油脂の酸化は
シミ・シワというもっともお肌の大敵の原因となる事をお忘れなきように。


最後に、これまでの保湿剤のお話のまとめになりますが
手作りコスメを愛用されている方々からよく
「食材は、口にするものだからお肌につけても安心」
といった安全性の根拠についての言葉を耳にします。
しかしながら
自然の食材にはアレルギーを起こす素材がたくさんあります。
卵(卵白)・蕎麦・小麦・ピーナッツ・牛乳・エビやカニ等々
最近ではバナナもアレルギーの疑いがある食材として
明記を推奨する事になった事は、記憶に新しいところですね。

化粧品業界で使用可能な配合成分の場合
こうした食品としてアレルギーの疑いのある
また症例前例が報告された素材は
自主規制対象とされ、使われる事はありません。

もしくは、今回のミツバチ由来成分の例のように
アレルギーの対象となる不純物成分を取り除き
精製された原料を開発して使用する事となります。
僅かでも疑いのある素材は
使用しないというのが、この業界の基本原則ですから。

よってミツロウも
安全性を追求するために、より使用感が良くて隠蔽性もなく
そしてなにより
不純物によるリスクのない合成のワックス素材へと
切り替わってきたという訳です。

そうです。

アレルギーによる皮膚トラブルを避けたいというニーズは、ユーザーの皆さんの切なる要望だったはずですから

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