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お主、ただ者ではないな・・・クレンジングミルク

クレンジングミルク

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美里康人

今回も引き続き
ユニークな設計の市販製品のご紹介!

前回に引き続き、実はもう1アイテム非常にユニークなクレンジングを見つけましたので、2回連続でなかなか市場ではみられない優れた機能のクレンジングをご紹介したいと思います。
今回の製品も、クレンジング見極め術のカテゴリーからははみ出す異端児と言えます。
では早速本題へと入ります

クレンジングミルクは落ちないあるある

お題の通り、今回の製品はクレンジングミルク
で、このタイプのクレンジングといえば、以前からメイクが落ちない製品がほとんどと説明してきましたね。
大手ブランドさんにも一部ありますが、それもふき取りでないと落ちないという声が多いようで、大手ブランドさんでさえなんとも悩ましい市場の現実ではあります。

では、クレンジング見極め術の記事の時にも少し触れましたが、なぜミルクレにメイクが落ちない製品が多いのか、もう少し触れておこうと思います。

このお答えは簡単な事で、乳液の基本的な設計として、油分はうんと少ない設計になっているためです。
もちろん、ただ単に油分が少ないというだけでこの結論は無謀なのですが、油分が少ない「乳液」という条件がついた時点でこの原則論は確定されると考えてほぼ間違いありません。

最近はこのブログをお勉強の場としてご活用して頂いている方も多いようですので、もう少し詳しく説明しますと。
例えば、油分が少なくても、メイクを落とすための界面活性剤を多くすればいいのじゃないか?といった発想をされる方もおられることでしょう。
ごもっともな発想ではありますが、残念ながら界面活性剤の理論はこれを阻止し、少量のオイル成分は界面活性剤に取り込まれ(可溶化と言います)て、透明になってしまうのですね。
つまり、すでに乳液ではなくなってしまうというわけです。
かといって、界面活性剤を配合しなければオイルだけがフリーになってしまい、水やぬるま湯に乳化させて洗い流すことができません。

分かりやすい例では、2層に分離したポイントメイクアップリムーバー液がその典型的な例です。
オイル成分が分離して2層に分かれてアイメイクが落とせますが、界面活性剤がないために水に乳化させて洗い流すことができず、ふき取り仕様になっています。

とはいえ、可能性としてはゼロではなく、例えばリキッドクレンジングのメカニズムのように溶剤か何かでメイクを落とす乳液・・・というのも考えられなくもありませんが、これも残念ながら溶剤は界面活性剤の性能をお助けしてしまい、乳液ではなくなってしまいます

ということで結果的には、一般的な乳液の設計ではクレンジング力を持たせることは非常に困難ということになります。
そのため、ふき取りといった物理的なチカラを借りてメイク落ちを補助してあげないと、製品としては難しいということですね。

さぁ、そうなるとやはり前回の製品のように、もっとオイルがたくさん使われた乳液を設計すればカタチになりそうですね!
なんだか、乳液である必要性がなくなってきたような気がしないでもありませんが、まぁいいでしょう。
ユーザーさんにとって、”ミルクレ“というカテゴライズの安心感も大事だとも思いますし。

オイルの多い乳液?

クレンジングミルク

ここまで読み進めて頂けると、今回のユニークなクレンジングのイメージが見えてきたかと思います。
そう、つまりオイル成分を比較的たくさん使って設計を達成された、乳液タイプのクレンジングということになります。
書くのは簡単ですが、そうたやすいことでは実現できません。

ユニークな製品を開発されるメーカーさんは、一品だけに留まらない開発力を見せてくれます。
実は今回のクレンジングアイテムも、続いて前回と同じブランドさんの製品でした。

こちら。

クレンジングミルク

ブライトエイジ クリア ミルククレンジング(第一三共ヘルスケア)
https://brightage.jp/stc/item/brightage/clear_milk_cleansing.aspx

そして前回同様に全成分ですが、同じく医薬部外品で順不同が原則ですから、場合によっては配合順ではない可能性もあることをご了承下さい。

<ベース成分>
水、濃グリセリン、イソノナン酸イソトリデシル(オイル成分)流動パラフィン(オイル成分)、BG、トリエチルヘキサン酸グリセリル(オイル成分)、イソステアリン酸POEグリセリル(界面活性剤)、ジメチコン(シリコーン)、POEヤシ油脂肪酸グリセリル(界面活性剤)、ラウロイルメチル-β-アラニンNa液(界面活性剤)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ポリマー)、ククイナッツ油、オレンジ油、天然ビタミンE、ラベンダー油、ローマカミツレ油、月見草油、ヒドロキシアパタイト、ベタイン、水添大豆リン脂質、パラベン、ソルビット液

これをみる限りでも、かなりオイル成分の量が多いことがお分かり頂けます。
さすがに乳液はトロミの調整のために合成ポリマーが使われていますが、きちんとメイク落ちの性能も考えて設計された秀逸な製品と言えそうです。

もちろん、使ってみました。
前回のクレンジングジェルよりは少しメイクなじみは劣りますが、それでも市販でよくみられる水性のクレンジングジェルなどと比べてもはるかに優秀で、オイルクレンジングに迫るメイク落ちをみせてくれます。

とはいえ、前回のクレンジングジェル同様にオイル成分は少ないとはいえそこそこ使われていますので、やはり洗い流したあともオイル成分のしっとり感は残ります。
後に洗顔を使われる方は全く問題にはなりませんが、W洗顔はせずにサッパリとした洗い上りを期待されるユーザーさんだと、若干気になる方もおられるかもしれません。

私見ではありますが、オススメとしてはW洗顔をせずにこのままスキンケアに入るのが良いように感じます。

他社にはないの?

以上がご紹介の製品の解説でしたが、ではこういったタイプの製品も他社からは出ていないのでしょうか?
他の製品ではアドライズ アクティブクレンジングミルク(大正製薬)あたりも同様にオイル分の多い優れたクレンジングミルクを出されていましたが、なぜか公式サイトからはなくなっています。
やはり少し硬くてクリームという印象ですが、こちらはポリマーも使われておらずなかなか優れた製品です。

というわけで、結論的には全く存在しないとは言い切れませんが、川底から金を見つけ出すくらい困難と思います。
それには理由があり、まずは序盤で述べたようにオイル成分をたくさん配合しなければ機能が果たせないことが、設計上で大きな壁になるからです。
なぜなら、オイル成分が多い乳化の設計は、結果的に濃密になってクリーム状になってしまうのが乳化技術のセオリーだからです。
しかもこの状態で、お肌の上でメイクとなじませた時にオイル成分がフリーにならないとメイクが落とせませんので、この時点で「転相」するメカニズムをクリアしなければなりません。
今回とりあげたクレンジングは、乳液なのにグリセリンが異常に多いのが、この部分のキモになっています。

そしてもっとも難題として立ちはだかるのが、前回のクレンジングジェルと同様に「品質の安定性」です。
乳液というのはクリームやジェルと違ってトロミが少なく流動性がありますので、液が動いて分離がもっとも起きてしまいやすい製剤です。
スキンケアアイテムの中でも、乳液はもっとも分離といった品質異常が発生しやすいアイテムなんです。
この状態で何年もの間分離をしない設計となると、それは至難の技術と言えそうです。

どれ位の期間この製品の品質が維持できるのか分かりませんが、薬機法で規定されている3年を担保できているのであれば、素晴らしい技術力と言わねばなりません。
素直に感服致します。

クレンジングのまとめ

今回のご紹介記事は以上ですが、今回でこちらのブログでは、市販されているクレンジング料の設計や技術について、歴史も含め全て公開したと思います。
過去に解説してきた以前の記事と合わせると、おそらくどこの技術専門書や書籍を調べて頂いても、ここまで製剤ごとの処方設計の意図やメカニズムを簡単に解説したものはないと思います。

過去の記事はこちら。

クレンジングの処方設計技術と新規性 その2
https://cosmetic-web.jp/column/cleansing-2/

クレンジングの処方設計技術と新規性 その3
https://cosmetic-web.jp/column/cleansing-3/

信じる者は救われない? その1
https://cosmetic-web.jp/column/cleansing-6/

今回のシリーズ記事とで8本ほどの記事になりますが、まとめて印刷してじっくり読み込んで頂ければ、かなりの知識になるのではないでしょうか
ひょっとしたら、現役の研究者の中にも理解できていない方もおられるかも?(笑)

まぁ、これはジョークとしまして、ひとつの区切りとしておきたいと思います。

では、また次週は違うネタで。

by.美里 康人

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