長~いGWも終わりましたが
なかなか仕事脳に切り替えられず
ブログも2週間が空いてしまいました・・・。
気を取り直し、気合入れて更新します!
こんにちは、美里です。
さて、前回からの続きで
クレンジングの処方設計ノウハウについて
後半の平成の時代に入っていきます。
平成に入ると、油成分で毛穴トラブルを招く方や
白ニキビが発生しやすい肌質の方にフォーカスがあてられ
「オイルフリー」コンセプトのコスメが市場に増えてきます。
大手ブランドでは「オルビス」さんが有名になりましたね。
こうなると、オイル系のクレンジングを避けるユーザーが多くなり
ノンオイルのクレンジングが市場に増えてきます。
5.クレンジングジェル(ノンオイルタイプ)
オイルジェル系のクレンジングジェルに代わって
水性のポリマー(主にカルボマー系)を使ったジェルに
メイク落とし成分を加えた
「ノンオイル」のジェルタイプクレンジングが出てきます。
全成分を見れば、以前のクレンジングジェルと異なり
必ず「水」が一番前に位置していますので
見分けやすいでしょう。
メイクになじむ成分としては
界面活性剤や溶剤といったものが使われているのが特長です。
溶剤といっても、アルコールなどといった
いわゆるお肌にリスクのある有機溶剤ではなく
化粧品には保湿成分としてよく配合される
BG(1,3-ブチレングリコール)や
DPG(ジプロピレングリコール)などの
多価アルコールがよく使用されます。
ただ、それではメイクを落とす力が弱いので
ほとんどは界面活性剤と併用されています。
洗浄剤として使われる
泡立ち系のアニオン界面活性剤を使用したものや
油となじみ性の良い非イオン系の界面活性剤を使ったものがあります。
とはいえ、それでもメイクを落とす性能はあまり高くはなく
ロングラスティング系の口紅や
下地・日焼け止めといったメイク剤は
落としにくい傾向にあります。
それをカバーするために
オイルと溶剤の中間的な機能を持つ成分
つまり、合成の油剤を併用して性能を高めた技術の商品も増えています。
6.リキッドタイプ
水性ジェルタイプのクレンジングジェルとともに市場に出てきた
手軽に使用できるリキッドタイプのクレンジングです。
文字通り、こちらもノンオイルが主流になります。
5.のジェルタイプのクレンジングから水性ポリマーを抜いた
もしくは、うんと減らしたものと考えると分かりやすいでしょうか。
というのも、メイクとなじむ成分の溶剤などは
ポリマーの増粘性能(ゲル化性能)を邪魔しまうことも多いため
いっそ、リキッドタイプにしてしまったものと言えば
分かりやすいかもしれませんね。
その分、ジェルタイプよりもメイク落ちは良い傾向があります。
今では、新しいシリコンやオイルをうまく設計し
耐水性の非常に高い日焼け止めも落とせるまでに進化していますね。
7.シート状クレンジング
6.のリキッドクレンジングの処方技術を活かし
不織布にしみこませたものと考えれば良いでしょう。
ですので、処方的にはリキッドクレンジングとほとんど同じです。
8.ポイントメイクアップリムーバー
ちょっと特殊なアイテムですが
マスカラなどのポイントメイクに特化した製品で
主には二層に分離していて
使用時によく振って使うタイプの、液状クレンジング剤です。
「二層に分かれる」という事から分かる通り
水性のメイク落とし剤とオイルとを混ぜたもの
そう考えれば良いでしょう。
界面活性剤を配合して乳化させてミルク状にしてしまうと
それでメイクとなじまなくなるため
双方を分離させたままにしたものです。
つまり、オイルでしか落ちないタイプのマスカラも
水性樹脂系のマスカラも両方落とせる
そんなコンセプトで生まれた商品です。
今では、界面活性剤の技術が進歩し
両方ともに落とせるリキッド系の処方が多くなりましたので
あまり市場価値はなくなってしまいました。
以上が市場のほとんどを占める
おおまかな処方設計分類です。
他にも、ふき取りで使用するオイルだけのオーガニック系や
エアゾール化された商品
はたまた、「お肌に優しいミルククレンジング」となっているのに
ふき取りタイプでお肌にストレスを与えるにも拘わらず
全然メイクが落ちないイメージ先行商品や
ノンシリコンの自然派コスメに特化した石けんといった
特殊な商品も存在しますが
日焼け止めも含め、どのようなメイクにも対応できる製品となると
ほぼ、8パターンいずれかの処方設計によるものと言えるでしょう。
さて、では最後になりましたが
弊社で開発した新しいクレンジングはいずれに入るのでしょうか?
実は、このどれにもあてはまりません。
でないと、新規開発になりませんものね(苦笑)
使い勝手の良いジェルクレンジングでありながら
お肌に負担の少ないノンオイルですし
増粘剤としての合成ポリマー(ゲル化剤)も使っていませんし
もちろん、溶剤も使用していません。
(一応、世界初・・・と、思います^^;)
加えて、水分を一切含まない製剤ですので
防腐剤も要らないという事になります。
「どんな処方設計なんだ?」
さすがに製剤ノウハウですので
ここでは詳しくは書けませんが
「液晶技術の応用」とだけ記しておきましょう。
そう、スマホやテレビの液晶パネルです。
「え?????」
と、驚きを残したまま
この章を締めくくりたいと思います(笑)
皆さんも、どこかの商品で目にしているかもしれません。
商品の全成分をしげしげと眺めて頂いて
「お?」と感じましたら
メッセージを頂ければと思います。
私達はあくまで縁の下の存在ですので
またアンダーグラウンドに潜り込む事に致します。
では、また次回は違う話題にて。
by.美里 康人