本日こそ[「美白の主役【ビタミンC】秘話06」続きで
AG(アスコルビルグルコシド)の行く末をお届けします。
いよいよS堂が美白路線のフラッグシップとして
商品化に乗り出したビタミンC配糖体(AG)。
企業としてのその後の方向性すら示唆する事になる
その大きな問題点とは
一体なんだったのでしょうか!?
様々な面で過去のビタミンCと比較すると
メリットが多く、
問題点も解決されたかに見えた
新開発の糖をくっつけたこのビタミンC素材「AG」。
当然、業界でも注目の的となり
ユーザーにとっても
大きな期待のかかるところです。
もちろん、
このまま美白有効成分の未来を担うか
とさえ、思われました。
それは、業界最大手Sの主力製品に
次々と採用が決まり
一斉に市場投入された事に
よく表れていました。
しかしながら、実は本当にビタミンCの研究を
手掛けた事のある研究者なら
既にこの素材の顛末・未来は
見えていたのです。
後に、業界最大手としては
あり得ない大失態とも思える結末を迎える
その核心に迫りましょう。
この素材の致命的とも思える問題点は
2点ありました。
まずその一点目。
1.浸透が遅い
「浸透」とは
皮膚への浸透性の事を指していますが
なぜこの素材が浸透しにくいかと言うと
それはあまりに分子構造が
大き過ぎるのがひとつの要因です。
分かりやすい言い方をするとすれば
リン酸タイプのビタミンC誘導体が
こぶしのグーだとすれば、
このAGタイプのビタミンCは
手を広げたパーという感じでしょうか。
つまり、大きく手を広げているために
邪魔になって
皮膚の中に入りにくいというイメージです。
それでも、ただこれだけの事であれば
これに取って代わるよほどの新素材が
開発されない限り
この問題は闇に葬られていたかもしれません。
しかしながら、次の2点目の課題は
そうして無視できるような
問題ではありませんでした。
2.生のビタミンCへと分解するための酵素の問題
以前より、説明している通り
薬剤として安定な状態するために
ビタミンCに何かをくっつけたビタミンC誘導体は
皮膚の中に浸透した後に
再度、生のビタミンCへと分解されなければ
美白有効成分としては
機能しません。
そして、このAGが生のビタミンCへと
分解させるのは
グルコシターゼという分解酵素が
になうとの理論でした。
もちろん、
こうした効果は理論だけで
通用するものではありません。
それを検証するために
ラットやマウスといった動物によって
実験を繰り返されたのは
言うまでもありません。
データを見る限りは、
その結果も良好であった事が公表されています。
ところが後々、
ここに大きな穴が存在した事が判明します。
それはつまり
ヒトの皮膚の中に
グルコシターゼそのものが存在するのか
という点です。
現段階において
これに対する正確な答えは
知り得ていませんが
少なくともラットやマウスなどの
試験動物に比較すると
はるかに少量であるか
もしくは、全く存在しないのではないか
との情報さえ伝わっています。
いずれにしても
リン酸タイプの誘導体を
分解するフォスファターゼと
存在数が比較にならないのは歴然で
のちにS堂はこのAGのデメリットを
『持続型ビタミンC』と謳いましたが
私達研究者の間では
『遅延型』だと囁かれたのでした。
こんな大失態とも思える
政策を取ってしまったS堂の美白商品群。
当然の事ながら
自ら撤退の末路を選ばざるを得なかったのは
言うまでもありません。
消費者の皆さんが知る由もなく
市場から一切の姿を
消してしまったという訳です。
しかも、ただそれだけでなく
これがいわくつき美白素材と
判明した時点で
一斉に他社中小メーカーに
原料として販売を開始したのでした。
このS堂が捨ててしまった成分
「アスコルビルグルコシド」
この成分名が配合されている
中小メーカーの美白コスメが
貴女のお手元にありませんか?
次回に続く。