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ビタミンC誘導体(3-Oエチルアスコルビン酸)の接触皮膚炎

VCエチル02

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美里康人
「3-Oエチルアスコルビン酸」
いわゆる「VCエチル」
HAKUにも使われた美白の有効成分
でも、皮膚トラブルの症例が・・・

まず、正確に理解すべきこと

今回のこの記事は、本題に入る前にお読み頂く皆さんに念を押しておきたいことがあります。
これから触れる記事の内容は、いつも通り推論や憶測などは一切なく、事実しか記述していません。

ただし、誤解があってはならないので、これはあくまでいくつかの症例であって、誰にでも起こるトラブルを確定したものではありません。
食品でいえば、お蕎麦を食べるとアレルギー反応を起こす方が一部におられるが、お蕎麦は危険な食べ物とされているわけではないというのと同じような感覚で理解して頂きたいと思います。

いわば、いよいよ始まった新型コロナのメッセンジャーRNAワクチンで、ごくひと握りの方でアナフィラキシーが出ているが、だからといって体に悪い薬剤というのではないというのと同じですね。

これを前提に、本題に入りましょう。

VCエチル01

「3-Oエチルアスコルビン酸」という成分

比較的歴史の新しいビタミンC誘導体として、皆さんも目にされた記憶がおありかもしれませんね。
美白有効成分としてかなり有名になった、VC誘導体です。
「HAKU」(資生堂)の一世代前の美白成分で、一躍クローブアップされたことがキッカケと言えるでしょう。

以前にブログ記事でも少し触れましたが、実は自分自身にとってはこの成分、とってもいわくつき。

というのも、実は資生堂さんがみつけられた前から開発企業さんから資料をもらっていて、非常に興味深いビタミンC誘導体だと、色々とテストをしていた成分なのです。

しかしながら、当時は開発途上のために非常に高価な成分で、到底様々な有効性試験を手掛けられるほどの供給量がなく、エビデンスが滞っていた素材でした。
そしてその一年後、その開発企業さんから「某大手企業さんと独占契約となってしまいました・・・。」と告知があった、いわくつきの成分でした。

つまりこの美白成分は資生堂さん自身が一から開発した成分ではなく、医薬品開発企業さんが開発した成分でした。

まぁ、というわけで技術屋なら誰しもが美白効果に期待するこのビタミンC誘導体成分。その後、資生堂さんが独自で様々な有効性試験を重ねらた結果、非常に有効な美白効果が得られたということで、満を持して美白旗艦製品に採用されたということでしょう。

それまで有効成分として採用されていた糖体誘導体ビタミンCの「アスコルビルグルコシド」を止めて、こちらに切り替えたという資生堂さんの美白アイテムの歴史です。

市場トラブル

さて、そんなエチルアスコルビン酸の歴史ですが、その後に資生堂さんの独占販売契約は外されて、原料として私達も使えるオープン市場に出されています。

私達のようなOEM企業の技術屋なら、この分子構造の小ささと単純さ、そして皮膚に導入されてからの分解メカニズムを考えると、当然ノドから手が出るほど欲しかった美白成分ですので、一気に市場に拡散していきます。
美白アイテムのマニアさんであれば、必ずといって良いほど、一度は手にしていることでしょう。

もちろん、私達もこの成分にすぐに食い付き、あらゆる製品への採用を進めてきたものです。

ところがこの成分、その後に私達の製剤製品の一部で、トラブル事例がポロポロと出てきます
中にはユーザーさんに申し訳ないような症例もあり、その症例を期に皮膚科医の先生と共同で成分特定のパッチテストを行ったところ、やはりこの成分でほぼ間違いない結果が得られています。

つまり私達の中で、このビタミンC誘導体に対しての疑惑へと発展していきます。

その後に各製品は採用を外し、はたまた配合量を少量に減らして対策を講じてきてことなきを得ていますが、この当時から疑念は消えていませんでした。

そしてその当時、こうした治験が他でも事例がないか海外の文献を読み漁ったところ、実は一例だけそのエビデンスがみつかっています。
海外の医療分野の文献からのもので、本文の取り寄せが叶わず内容は要約だけしか確認できませんでしたが、確かにエチルアスコルビン酸のトラブル症例ものであった記憶は鮮明に覚えています。
ごくわずかな症例数の論文であったため、気に留めた程度でその場は終わりましたが、私達にとってはこの成分から遠ざかる、ひとつの治験となっていました。

そして時がたち、その記憶も薄れてきた昨年、ひとつの文献を目にすることになりましたした。

そしてあらたな治験

一昨年の2019年、ヨーロッパで販売されていた「3-Oエチルアスコルビン酸」配合のスキンケアシリーズで、アレルギー性接触皮膚炎の症例が確認された報告が、アメリカの文献で報告されています。

ソースは「Contact Dermatitis 81 巻4号 2019年」で、著作権が設定されいるために内容を転載はできませんが、追試験の成分特定の治験でこのVCエチルが特定されています。

この試験で興味深いのは、パッチテストでは擬陽性となっていますが、その後にROAT試験(Repeated Open Application Test:繰り返し塗布試験)で症状が確認されたのだそうです。
つまり連用することによってはじめて発症する、アレルギー性の接触皮膚炎であることが判明しています。

この症例報告は、まさに私達が数年前に確認したユーザーさんからのトラブル報告と、検証するための皮膚科ドクターによる追試験の結果と、まさに一致します。
アレルギー性があるため、一度発症してしまうと配合量が少なくても同様の症状が出る、濃度依存性があまりない症状ということです。

こうした事例は、どうやら他のビタミンC誘導体でも起きる方がおられるようで、どのVC誘導体製品を使用しても赤みやカブレを起こすユーザーさんが。、一部におられます。
最初に書きましたが、こうした症例が出ているからと、成分としてビタミンC誘導体が危険というわけではありません。
アレルギー性の接触皮膚炎ですので、いわゆるまさに「人によって合う・合わない」の問題です。
むやみに警鐘を鳴らすつもりはありませんが、もしもビタミンC誘導体が高配合された製品でトラブルが出た経験がおありの方は、ビタミンCに対して注意を払われることをお勧め致します。

ちなみに不思議なことに、こうしたトラブルが生じた方に生のビタミンC「アスコルビン酸」を単体でテストを行っても、発症しないようです。
これについては、やはり生のビタミンCは皮膚に塗布しても皮膚内部に浸透しないことによると推定されています。

つまり、やはりビタミンCは誘導体にした成分が皮膚内浸透がよく、そのために美白への有効性も高くなるということのようです。
その分、リスクも高まるというのは理解できそうです。

では、また次週。

by.美里 康人

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