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塗布方法で成分浸透が変わる

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美里康人
化粧品はパッティング塗布が常識?
これを覆す臨床報告が・・・
今回は詳細をご紹介

 

主流はパッティング塗布論

少し前にtwitterでつぶやいたところですが、昨年の香粧品学会の学術報告で、ちょっとユーザーの皆さんも参考になる興味深い臨床データがありましたので、ここで詳細をご紹介したいと思います。

早速ですが皆さんは、化粧品を塗布する際にどういったやり方で行っていますか?

この問題は、これまでも様々な議論がなされてきました。
とはいえ、手でこするように塗布するとお肌に摩擦を与えてしまう懸念・・・という理屈は物理的にも理に叶っていて、この20年ほどはコスメカウンターでも、いわゆる「パッティング」といったこすらない塗布をアドバイスされるBAさんがほとんどになっていますね。

もちろん自分もそれを否定するメカニズムはあり得ないことからこれを信じてきました。
ところが、これを否定する学術報告が出てきています。

今回はその詳細について触れていきますが、特に化粧水について記していきます。

--いやいや、乳液やクリームについても説明して!

ちょっと困りましたが、決して述べるのがめんどくさいのではありません。
なぜ化粧水に言及するのか、最後に少し触れておきますので読み進めて頂ければと思います。

成分の浸透性を検証

さて、まず最初に記しておかないといけないのは、今回の検証実験は私達のような化粧品開発者や、化粧品メーカーが行った偏りが介在する可能性がない、大学での実験結果だという点です。

前にも記しましたが、論文や学術データというのはこの辺りの信頼性が重要ですからね
ただし、それだけにこの学術報告は著作権が設定されていますので、掲載されている実データやグラフなどは転載できずに私の文面報告だけになりますが、ご了承下さい。

それからもうひとつきちんとご理解頂かないといけないのは、以下はあくまで一実験データからの推測でしかありませんので、さらに追試験が必要ですし、もっといえば試験方法も多角的に検討しないといけません。
つまり結論というわけではありませんので、そこは含んでお読み頂くことをオススメします。

とはいえ、私達が試験方法や検体数・データの内容など拝見しても、かなり信頼度の高いデータと検証であると言えるかと思います。
で、前置きはこれくらいにして本題です。

今回の実験は、化粧品の有効成分とされる有用成分の皮膚内浸透が、使用方法によって変化するのか?といった課題の試験です。
というのも、皆さんもご存じの「茶のしずく石けん」「カネボウの美白成分ロドデノール」による皮膚被害問題について、まだまだ様々な角度から検証が進められていることによる検証実験でした。

そのひとつに、これらの皮膚被害を検証すると部位によって偏りがあったことに由来しています。
つまり、それが何を示唆しているのか?といった疑問への検証実験ということですね。

パッティングは成分浸透しにくい

そしてその検証実験の結果ですが、化粧品は塗布の仕方で成分の浸透量に明確な偏りがあったというデータが得られています。
上の皮膚被害とは関連性がなさそうに思われるかもしれませんが、実は学術検証の中には塗布部位に偏りがあったのはなぜか?といった議論が、いまだ続けられているためです。

さてその検証の中身です。
データを公開できないのが残念ですが、これまでの摩擦を伴わない塗布方法(いわゆるパッティング)よりも、塗擦塗布の方がはるかに成分が皮膚内に浸透していることが判明しています。
しかも面白いことに、毛穴に順方向よりも「逆なで」方向に塗布する方が浸透濃度が高いデータが示されています。
こういうことですね。

塗擦なし<毛流れにそって<弧を描くように<毛流れに逆らって

これはつまり、成分の浸透は毛穴からの浸透も大きく関与しているという推定がなり立ちます。

ただしここで注目したいのは、油溶性成分の場合はほとんどその差はなく、水溶性成分に大きな差異が生じているという結果です。
これは上で書いた「毛穴(毛嚢)からの浸透」を担保する証拠のひとつということになります。(油溶性物質は毛穴への湿潤性が高いことにより、差がなくなる)

なんだか、皮膚の毛に逆らって逆なで塗布をするというのはなんとなく抵抗があるように感じますが、データが示してくれたことはこういうことだそうです。

美容液といった、水溶性の有用性成分がたくさん配合されたアイテムは、塗布方法を見直す必要があるかもしれませんね。

とはいえ、実はあまり落胆する必要もありません。
その後の検証で、120分後には結果的にほぼ同じ成分浸透濃度になっていますので、最終的な終息点は変わりません。
いわば「早く効果が欲しい!」という使用法と考えればよいでしょうか。

そして、今回のお話はこれで終わりではありません。
いよいよ前置きした、なぜ化粧水のデータのお話しかしなかったのか?という結論のお話で締めくくります。
実はこちらの方が衝撃的かもしれません。

クリームが効果が高いのはウソ

今回のこの検証実験、実はほかにも試験が実施されており、ユーザーさんにとってはこの学術報告よりも重大な布石がなされています。

それは、乳液やクリームよりも、化粧水の成分皮膚中濃度がはるかに高かったというデータです。

  --えぇー!! 大枚はたいてるアンチエイジングのアイクリームは・・・

一応、著作権に抵触しない範囲で、その驚愕のデーターをチラっと。

浸透性101

いやはや、圧倒的なので衝撃的ですよね。
こちらも、水溶性成分だけに限られています。

この結果をみると、「クリームよりも美容液や化粧水の方が効果がある」ということになってしまいますね。

まぁ、ただここは私達化粧品技術者の立場から横やりを入れるとすれば、今どきの乳液やクリームはポリマーを使った処方設計が多いので、そういう処方背景が一因になっていないか?という疑問は残されますね。
こういった成分浸透の阻害になる素材を使わずにエマルジョンの設計をした検体で実験を行うと、また違った結果が得られるかもしれません。

--でも、市場のほとんどのクリーム・乳液がそういう処方ですよね?

まぁ、確かに市場の実情は・・・。

というわけで、また次週。

by.美里 康人

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