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【特集】セラミドクリームはオールOK?~後編

セラミド保湿力

美里康人
今週はセラミドの保湿性能のお話

ただ配合されているだけで

性能が発揮されているのか?

前回は、保湿クリームには意外とバリア保湿機能が少ないケースもあることをお伝えしました。
もちろん、処方設計によっても違いがありますし、一概には言えないことでもあります。

とはいえ、広く市場にある一般的な市販製品とそんなに大きく変わりませんし、保湿クリームに高い付加価値を求めるならば、なんらかの創意工夫が必要なことは間違いありません。
ここはユーザーさんにとっても、商品を選ぶ大事なキーポイントになりそうです。

またここまで言い切るのも、この後話題にする乳化技術によって大きく差が得られたことが、それを指示してくれたからです。

セラミド実験 まずは配合濃度の検証

セラミド構造

実は昨年に行った今回の検証実験の目的は、記事の掲題にしているセラミドの保湿性能を保証したかったためです。

またその背景には、セラミドは角質層のもっとも重要な保湿要素と長く語られてきていますので、その保湿性能の真意を確かめたかったのです。
つまり、きちんと角質層のセラミド濃度を考えて配合すれば、実質的な保湿力が得られるのではないかと。

以前にも記事で触れましたが、昨今はセラミド高配合をPRの文句として使われている化粧品も多く、消費者の方々や化粧品企画の方からも、本当に謳われている濃度が配合されているのか、よく質問を受けます。
それには、もともとヒト型のセラミド(生セラミドなどとも言う)は目ん玉が飛び出るほど非常に高価な原料で、お安い価格帯の商品への高配合は考えにくいことがユーザーにも認知されてきたためです。

さすがに原料の原価をここで公表するわけにはいかないのですが、普通は多くても0.1%程度しか配合されないヒアルロン酸の、軽く2倍はするお値段とイメージしていただければ良いでしょうか。
それをヒアルロン酸の10倍以上の数%も配合するのですから、普通にコスト的に困難なお値段といえます。

実際、中には本当に生セラミド(セラミド2)を5%という高濃度を達成されているメーカーさんもあり、その真意を知りたいとご質問頂いたこともありますが、間違いないと確認できるとよくあのお値段で達成できたものだと、メーカーさんには脱帽しかありません。

ということで前置きが長くなりましたが、今回の実験はこの高濃度を達成できれば保湿性能に何が起きるのか、確かめたかったのですね。

角質層の基本に立ち返る

さて、セラミドを高配合にする必要性については、ヒアルロン酸などと違って皮膚の構造そのものに根拠があります
それは角質層の設計をみれば一目瞭然で、細胞間脂質の20%もの比率がセラミド質であることが、語ってくれています。
つまり、乱れた細胞間脂質でセラミドが欠損している皮膚をきちんとケアするには、たくさん補ってあげた方がより良いということですね。

ということで今回は、業界最高濃度となっている5%をメドとして実験を試みます。
コスト的に製品化なんて度外視の、基礎試験みたいなもんですね。

ただ、ここでもうひとつ考えたいことは、前回に実証されたセラミドを乳化させる配合ノウハウの問題です。
角質層の本来の姿を考えず、ただ配合するだけで良いのか?という問題です。

というのも、セラミドというのは以前に記事にした通り、水にはほとんど溶けない結晶物成分なんです。

〈参照〉→久しぶりの、市販品評価「キュレルのセラミドミスト」~後編

なので、普通にクリームや乳液に無理やり配合しても、セラミドは結晶のまま皮膚の表面に残ってしまうことになるからです。
これでは、いくらたくさん配合しても角質層には届かず、全く無意味になりますからね。
このブログ記事の時には配合量を記しませんでしたが、実は種明かしをすれば両方ともに5%で設計していたのです。

実際、ただのエマルジョンでオイル層に溶解して配合しただけでは、目でみても分かりませんが顕微鏡で観るとボコボコと結晶物のままで存在していることも確認しています。
ここも、今回は検証したかったのです。

そういうわけで、私達は前回実験したような普通の保湿クリームではなく、これまでどこもやってこられなかった細胞間脂質の構造をそのまま再現した乳化技術をあらたに開発し、この技術を使えば理論通りの保湿性能が得られるのか、確証を得たかったのです。
もちろん、そのためには合成ポリマーを使ってしまっては意味がありません。

まぁ、誰も取り組まなかったそんな絵に描いた餅のように理論通り簡単にいくわけもなく、風前の灯火のようなわずかな可能性に賭けたというわけですね。
いやはや、普通にOEM会社ならそんな金にもならないことに労力を費やしていたら、即刻クビにされるお話ですね(苦笑)

でも、なにごとも、理論に確信と根拠があるならやってみるもんです。
1年掛かりでいろはねクン達とともに取り組んだ結果、それなりにカタチになりましたね。

実際、その浸透性能は使ってみた人全員が明確に感じていましたので、これをデータで実証できれば…というのが今回の目的でした。

そして結果は

ここまで2週に渡って引っ張ってきましたが、ここで衝撃の事実をお伝えしなければなりません。

実は前回公開しました保湿クリームの保湿性能データは、生セラミドの「セラミド3」を5%配合したクリームだったんですね。
なんと、普通に保湿クリームに配合しただけでは、例え5%という超高濃度にしてもほとんどお肌の保湿機能の改善には加担していないという結果になったわけです。

と、誤解を招いては困りますので正しく説明しておきますと、クリームの保湿性能・水分バリア力そのものが無意味だったのではありません。
この実験は、両方ともに2時間経過してから塗布したクリームを洗顔で落とし、「お肌自身の保湿機能が改善されたか?」という試験です。
つまり、お肌がよくなったか?というのが焦点ですので、誤解なきよう。

これは、前回の保湿クリームそのものの性能に続いて、二重の驚きでした。

セラミドは使い方で化ける

そしてドキドキ期待…私達が開発した乳化技術エマルジョンのデータ解析です。

以前の記事にも書きましたが、このデータが試験機関からあがってきた時には、私達は雷が落ちるような衝撃を受けました。
なぜなら、比較対象にした前回の保湿クリームは、保湿となるオイル成分や保湿成分は同じとはいえ、界面活性剤や皮膚表面を保護してくれる他の成分も多くてコクがあり、テクスチャ的にも圧倒的にこの濃厚な保湿クリームに勝てないだろう…と思っていたからです。

その水分蒸散量のデータが、これ。

セラミドの保湿力101

これは頬の部位のデータ。
次いで、ほうれい線部位のデータです。

セラミドの保湿力

ピンク色のグラフが新技術のセラミド5%クリームで、紺色のグラフが一般的な乳化のセラミド5%クリームです。
各棒グラフの左側の色の薄い方が塗布前で、各右側が塗布後のデータになります。

驚きの結果になったと言われても、これではちょっと分かりにくいかもしれませんね。
なのでこのデータを、塗布前をゼロとして塗布後にどれだけ蒸散量が増減したかのグラフに整理し直します。

セラミドの保湿力123

以前に頬の方をアップしましたが、ほうれい線部位も加えています。
左側の青色が新技術のグラフで、右側の黄色が普通の乳化クリームです。
で、水分が蒸発する量ですから、下のマイナスになっている方が水分が蒸発する量を抑えているということになります。
前回も解説したように黄色いグラフの方は、プラス側に出ているデータ(つまり、お肌の状態が悪くなった)もあるくらい、お肌の保湿維持能力が高まっていないことが分かります。
対して青い方は、どの被験者のどの部位においてもセラミドが高配合された効果がいかんなく発揮されていて、2時間を経過してもどんどん加速して水分蒸散量が抑えられていることが見てとれます。

推測されることは、まさに角質層の深部にセラミドが浸漬し、皮膚の保湿機能そのものが改善されたと解釈できます。

皆さんがセラミドに期待する保湿性能は、まさにこれと言えます。
時間がたつほどに、インナーが潤う皮膚の性能が改善されたという実証が得られました。
これならば、あり得ないコストを掛けてでも化粧品としての価値は感じてもらえるでしょう。
なかなか、こういった皮膚の機能改善は医薬部外品的な効能として謳えるわけではないので訴求ポイントとしては難しいところですが、データや使用実感で差別化していくしかないですね。

なにより細胞間脂質の構造を再現した乳化技術ですので、界面活性剤や合成ポリマーは一切使わずに設計されていることで、お肌への成分リスクはないことも商品として大きな訴求力を持たせられるでしょう。
データの一部には、界面活性剤を使った一般的なクリームだとむしろ皮膚の保湿機能が悪くなっている数値も出ていますので、にわかに信じたくはないですが、界面活性剤が皮膚の機能に障害を及ぼした可能性も検証しないといけなくなりました。

とまぁ、一応仕事としてなんとか成り立ちましたね(笑)

というわけで、やはりセラミドが凄いのは間違いありません。
きちんと角質層に入っていくように設計さえしてあげれば、皮膚の機能がしっかり改善されるのは確定しましたし、合成とはいえ花王さんがずっと高濃度配合に拘り続けておられるのはよく分かりました。

しかしながら、ただ高濃度にしただけでは全くの無意味。
いかに細胞間脂質に届けて定着させるかが、化粧品としての性能の大きな課題ということになりました。

ということで今回の記事の〆になりますが、なぜ界面活性剤もポリマーも使わずに細胞間脂質を再現しただけで乳液やクリームができるのか?という疑問が残ると思います。
この答えは、もともと設計に閃いた思惑にあります。
それは、セラミドを化学構造をよくよくながめると、水に溶けないのに水になじむ部分が存在していることがキーポイントですね。

ここまでのチャレンジ技術がカタチになりましたので、その説明はこちらに掲載頂いています。

リンク→HC-R乳化の技術解説

これ以上はノウハウになりますので、ヒミツということで記事を閉じたいと思います。

このセラミドを乳化設計にしっかりと取り入れた新しいコスメを、早々にとあるメーカーさんにプレゼンしたところ、高級クリームを作りたいとの要望でこう言われてしまいました。

 ーおタクの高付加価値な保湿クリームの技術には、もうひとつ高濃度リポソームクリームがありますよね?
  あれとこれと、どっちがオススメ?

思わず腕組みをして悩んでしまいました…。

ではまた次週。

by.美里 康人

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