前回の「ナノコスメを知る 秘話7ナノコスメを知る 秘話7」の続きです。
さて、前号で
『水は生体内に浸透するか???』
といった質問をして終わりましたね。
「もしも水分がバリアを突破し、カンタンに皮膚内に浸透するなら・・・」
こういう視点で考えると
答えはもうお分かりですよね。
ここでいつも講座で言うセリフです。
お風呂に入ったら・・・
プールや海で泳いだら・・・
ブクブクに水膨れになって、太ってしまいますっ!!!
「お風呂に入って体重が増えた・・・;」
なんてお話は聞いた事がありませんね(苦笑)
皮膚の外から与えた水が角質層のバリアを突破し
皮膚内に浸透なんてするわけはありません。
という事で
分子の大きさが小さいからといって
必ずしも浸透性がイコールになるという訳ではありません。
つまり生体内浸透の理論は
そんなカンタンな事で片づけれらない
様々な角度からメカニズムを理解しなければならないんですね。
ではまず、今回の水の場合のその訳は???
それは
2.の『生体親和性の条件』に合致していないから
です。
このお話をすると、皆さんは意外!とよく思われるようですが
皮膚のバリア
さらには皮膚構造そのものでさえも
実は大変疎水的(水を受け入れない)なんですね。
カンタンに言うと
人間の皮膚は非常に油性な性質なんですね。
ですので、基本的には水性成分は受け入れにくい構造になっています。
つまり、皮膚のコンディションにとって
水分・保湿は非常に重要な要素なのですが
いざ皮膚に水分を供給しようとすると
それは非常に困難な課題で
普通に水分を外から与えてもすぐに蒸発してしまって
それは全くの無意味だという事です。
この基本原則を外して、皮膚の生理は語れません。
という事で
1.2.の条件は両方ともにクリアしなければ
物質は皮膚内に進入できないという
最たる例ですね。
* * *
余談が長くなりましたが
成分の皮膚内浸透を議論する時
まずはこれらの条件をクリアしているどうか
せめて最低限この程度は
きちんと考察する事が評価の第一段階という事です。
ここから先のステップとして
この先どこまで生体内に導入されていくかは
薬学と医学の世界になりますので
専門外の私では到底判断はできません。
*
さてさて
では微粒子酸化チタンの皮膚内浸透を議論するために
まずこの第一段階の条件を満たしているかどうか
です。
次回に続きます。