ビークラボ株式会社のサイトはこちら

ミネラルオイルの現実

ミネラルオイル03

週一で仲間ブログの記事も更新されます
チガウがワカル!? 新米コスメ技術者のドタバタ奮闘記

週3で異なる目線の美容記事をお届け


美里康人
ミネラルオイル・ワセリンの安全性
もう疑う方も少なくなりました
とはいえ、油断は禁物というお話

 

本当か?とあらためて詰問されると・・・

今回は珍しく、ミネラルオイルを含む鉱物油の話題です。

いろはねクンが前回のブログ記事で書いてくれ、私もブログでもすいぶんと以前から書いてきている通り、今はよく議論される天然成分のアレルギーリスクと比べると、むしろ非常に安全性が高く昔のような問題は全くないとお伝えしてきています。
そんなお話は、ユーザーさんとのコミュニティや講義でもよくお話ししてきました。

しかしながら、あまりにこうなってくると、真実をきちんとお伝えしないといけない使命感に駆られてくるのです。

医薬品用のワセリンのように、全てのミネラル系オイルが99.999%アップの究極品質として担保されているかどうか、無視してはならないと感じます。

そのお話に入る前に、ちょっと重要な復習をしておきましょう。
ミネラルオイル、ようはきちんといえば原油から作られる「鉱物油」ですが、化粧品の全成分で表される「ミネラルオイル」だけでなくその他の鉱物油もありますので、全体的なお話を進めていきます。
でなければ、鉱物油の全容がきちんと理解できずに正しい化粧品への評価を見失ってしまうことになりますので、踏まえて読み進めて頂ければと思います。

まず、鉱物油とは

上で書いたように、ユーザーの皆さんにとっては、化粧品の表示名称である「ミネラルオイル」が頭に単独で思い浮かんでしまうでしょうから、全体として原油から分留・生成される「鉱物油」の背景がうまくリンクせず、正確な評価に繋がっていないと思います。

ですので、まずはこの鉱物油とはどの素材にあたるのか、復習しておきましょう。

最初に覚えておいて頂きたいのは、どこでも通用する正確な素材の名称で、鉱物油は総じて「パラフィン」と言います。
※化粧品表示名称の「パラフィン」と混同しないように注意

で、パラフィンにはいくつかの種類があります。
化粧品の表示名称であげていきます。

①ミネラルオイル
これは正確に素材でいえば、いわゆる「流動パラフィン」
液体のパラフィンですね。
原油を温度で分留していく過程で、300℃以上のところで分けていく部分がこれにあたります。
その中のもっとも温度の低いところが流動パラフィンに該当し、化粧品の表示名称では「ミネラルオイル」と指定されています。
ここからさらに高温のところは固形になりますので、以下の素材に分かれていきます。

ちなみに300℃付近ギリギリで取り出したものは同じ流動パラフィンでもサラサラで、これを「軽質流動パラフィン」と呼び、少し高温のところで分留すると分子量が大きくなって粘度がトロンとしますので、これをさらに分けて「重質流動パラフィン」と呼びます。
クレンジングオイルやベビーオイルなどには、ほとんどがこのサラサラの軽質流動パラフィンが使われています。

②ワセリン
流動パラフィンよりさらに高い温度のところで取り出すと、分子量が大きくなっていよいよ粘度が高くなり、ペースト状になってきます。
これが医薬品の軟膏ベースによく使用される「ワセリン」です。
業界では、ペトやペトロラタムとも呼ばれます。

今では薬局でも販売されており、ユーザーさんでも普通に買うことができますね。

昔は精製がよくなくて色が少し黄色い素材も流通していて、これを「黄ペト」と分けて呼び、精製を高度にした質の良いワセリンは「白ペト」と名付けられていました。
一般的な化学通称名と化粧品表示名称は統一され、ワセリンとなっています。

③パラフィン
化粧品では素材の名称がそのまま表示名称になっていますが、正確には「固型パラフィン」「パラフィンワックス」のことで、化学の世界で呼ばれる全体的な「パラフィン」とは指しているモノが異なります。

ワセリンよりもさらに高温のところで取り出したのがこの固型パラフィンで、ここまで分子が大きくなるともう常温では固形状で、ロウソクやクレヨンといった製品にも使われるワックスになります。
化粧品に昔はよくミツバチの巣から得られるミツロウがよく使われていましたが、ハチミツ同様にアレルギーを持つ方もおられることから、このパラフィンワックスがリップスティックやバーム、そしてクリームの粘度調整によく使われています。

以上の3つがいずれも同じ鉱物油に該当し、今回の話題を理解する上で重要な意味をなしてきます。

安全性が高い鉱物油とは?

さて、上を踏まえていよいよミネラルオイルの安全性についての核心に入っていきます。
鉱物油といえば、ここ数年で「ワセリン」は安全性が高いということが一般ユーザーさんの間で広まり、それまでは鉱物油を避けようとされる風評が一気に覆される市場に変化をしてきました。
もちろんこれは非常に良いこと、そして正しい評価で、この安全性の非常に高い医薬品向けのワセリンを製造されている「日興リカ」さんが、高度な精製技術を広く広報されていたその功績と言えます。
つまり、ユーザーさんの間で広まる石油由来素材への偏見を、きちんと正してくれる大きなキッカケとなったわけですね。

これは、日興リカの工場さんの技術によるもので、その昔は皮膚に使用するには不安がぬぐえなかった品質のワセリンを、精製技術を高度にして極限まで不純物を取り除いたワセリンを使っていることが、その理由です。
まさにジャパンクオリティと呼ばれ、海外でも日興リカさんのワセリンが次々に採用されることとなりました。

ということは、上でも書いたように、この背景は液状であるミネラルオイルも、固型であるパラフィンワックスにも同じことが言えるといことになります。
つまり、同様にミネラルオイルもパラフィンワックスも、高度な技術を用いて精製を極限まですることで、お肌に安心して使える素材ができてきた、ということになります。
それが、ジョンソン社のいわゆるベビーオイルであったりということになるわけです。

さぁ、ここまではおそらく皆さんがお持ちのミネラルオイル・ワセリンに対する評価と一致しているのではないでしょうか。
事実に間違いはありません。

疑う余地はないのか

ということで、ここまでは私自身もユーザーさんに向かって正しいこととして広報してきましたし、全く異論はありません。

しかしながら、ならば「盲点は全くないのか?」と問われると、そこは「ちょっと待って」と言葉をさえぎらなければなりません。

なぜなら、そもそも論として上でも書いたように、ワセリンがユーザーさんの信頼を獲得できたのは、日興リカさんの功績という背景を忘れてはならないからです。
つまりは「限界まで高度に精製された鉱物油」が大原則になるわけです。

なら、果たして市場の全ての化粧品に使われているミネラルオイルが、そこまで高度に精製された原料ばかりなのでしょうか?というのが論点なんです。

というのも、実は10年も前であればこのミネラルオイルは、高度な精製原料であっても非常に値段がお安く、化粧品用のオイル原料としては破格にコストがお安かったのです。ゆえに、例えばドラッグストアコスメといわれる低価格帯製品にも大変使いやすく、むしろ低価格製品にこそよく使われていました。

一方で、プチオイルショックが始まったことで原油価格が一気に高騰してきていることは、皆さんもよくご存じのことと思います。
それは燃料のガソリンの価格をみて頂ければ簡単に分かりますね。
昔はリッターあたり70円台で買えたのが、今では120円を切ることなど皆無になっているのが原油相場です。
ということは、当然のことながら原油を原料とする素材は、すべてが高騰するという流れになるのは当たり前のことなのです。

実際、ユーザーの皆さんにはほとんど影響していないのでご存じないと思いますが、保湿成分として有名な「BG」もほとんどが石油合成原料ですので、実際に大きく値段が高騰しています。
「DPG」なども同じです。
化粧品の場合は、まさかこうして原料が高騰したからといって商品価格を値上げするわけにはいきませんので、ユーザーの皆さんには知らされていないだけですね。
工場さんは、製品の価格から考えれば些少となるため、ジっとガマンを強いられているわけです。

さて、まとめに入りますがもうお分かりですね。
ミネラルオイルも、めちゃくちゃ高騰しているのです。

とはいってもBGと同様に、ほとんどの化粧品製造会社さんは、これまで使用していた高度精製のミネラルオイルが高くなったからといって製品を値上げするわけにもいかず、ガマンをされています。
特にそこそこの規模で生産をなさっている工場さんは、責任が重いので仕方ありません。

ところが・・・です。
お安い価格帯のクレンジングオイルを製造していたり、小さな工場さんであればガマンも限界があります。
なにせ、昔に比べれば1.5倍に価格が跳ね上がっていますから。
企業としての苦しさは、手をとるように理解できます。

そして、ここからが問題です。
海外からの輸入原料メーカーさんからは、「安いミネラルオイルがありますよー」と営業にきてくれます。
かなりの外資系ディーラー企業が、日本の工場さんに営業に来ています。

ここで思い出して下さい。

日本の素晴らしい技術を持つ日興リカさんが、安心して使えるワセリンの高度精製を達成したのだ、という事実を。
もう背景はお分かり頂いたかと思いますので、これ以上は書かないでおきましょう。

質の悪いミネラルオイルとは

いよいよ最後になりますが、では質のあまりよろしくないミネラルオイルは、どれだけお肌に影響を及ぼすのでしょうか。

さすがにこれに関しては、厳密なことは私にも分かりません。
それこそ私の若き時代の頃のように、目で見て分かるほどに黄色かったり、はたまた常温でも異臭がしたりといったひどい品質のミネラルオイルは、さすがに流通していません。
原料を作っている工場さんによって品質も違いますし、それは本当に微々たる不純物成分のことだけなので、どう違うかなんて公開されませんし分かる手立てがありません。
もちろん、全て取り寄せて成分分析でもかければ明白になりますが、私達は天然成分中心の開発をしているためにまず使用することがありませんので、費用を掛けてやってみることに意味もありませんし。

ただ、現場経験がある人間だけが知る事実は、何かを物語ってくれます。
現場経験といっても、研究や品質管理の立場では分かりません。
なぜなら、扱う量がたかだか知れているから、です。
いわば、化粧品の製造現場作業にたずさわり、素材に対して意識をした人間だけが体感できる事実なんです。

それは、大きな化粧品製造のタンクに顔をつっこみ、原料の臭いを嗅いだ人間だけが知っています
なぜなら化粧品の製造は、この原料を何百キロもの大量にタンクに投入し、80℃の高温にまで加熱するからです。
ごく微量しか含まれていない不純物成分のことですので、このレベルにならないと判定はできません。

つまり、低温で分留して除去されるはずの低分子成分が過熱によって揮発し、鼻をツく異臭を発するためですね。
精製があまり高度になされていないミネラルオイルやワセリンは、この時に鼻をキョーレツに刺激する低分子成分が揮発して、凄い異臭を放ちます。

実はユーザーの皆さんも、この現象は生活の中で体験されています。
それはローソクです。
上で説明したように、ローソクはパラフィンワックスでできていますので、ミネラルオイルの分子量の大きいものです。
このローソク、部屋の中で灯すと鼻をツく刺激臭がしますね。
あれが、不純物の低分子成分が揮発した時の特有の臭いで、雑貨のローソクは精製度が低いために、熱せられることであぁいった刺激臭を放つんですね。

ということであらためて正直に言いますが、自分はこれを製造立ち入りで何度か体感していますので、「全ての市場のミネラルオイルがスペシャル精製とは言えない」と言い切ります。
30秒たりとも顔をつっこんでいられず、顔がピリピリとする異臭を放つミネラルオイルを多数知っています。
まぁ、こうした品質のミネラルオイルをお肌に塗布したからといって、どれだけ影響があるのかは私には判断できませんし、少なくても化粧品原料としてパッチテストは十分になされているはずですので、騒ぎ立てるほどの問題ではないとは思いますが。

ちなみにで言うと、雑貨でもきちんと高品質の化粧品グレードのミネラルオイルが販売されています。
〇ョン〇ンさん、ごめんなさい!

ミネラルオイル02

DIYのプロフェッショナルストア PROST社←リンクはこちら

ハーバリウムに使用するミネラルオイルですが、業界人ならば製品名の表記から国内大手原料メーカーさんの精製ミネラルオイルと分かり、プレミアムの品名にウソはありません。
雑貨でもこの品質ですので、普通に考えれば国内の化粧品会社であれば、このクラスのミネラルオイルを使うのが当然のはずなのですが・・・。

今回の話題は以上ですが、原油は当然海外から入ってきますので、高度な精製は大手の国内石油会社になります。
日本国内の高度な精製技術を持つ工場で、高度精製されたミネラルオイルがどれだけの化粧品工場に流通しているか?

ミネラルオイルの安全性の答えは、ココにあります。

ではまた次回。

by.美里 康人

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です