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マンナンライフがコスメの救世主に

マンナン

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美里康人

食品で有名なこんにゃくマンナン
化粧品にも今後は広がっていく?

冒頭でいきなり企業名を出してしまいましたが、マンナンライフといえばこんにゃくマンナンを使って作られたゼリー食品が有名ですね。
低下カロリーでおやつにもなる商品として、皆さんも一度は食べたことがある食品と思います。

このこんにゃくマンナンが化粧品の原料としてまた注目を浴びようとしているというのが、今回の話題です。

マンナンって何?

さて、ユーザーの皆さんの頭の中では、おそらく「マンナン=こんにゃく」が定着していることと思います。
もちろん、これは間違いではありませんし、正しいです。 こんにゃくマンナンという言葉も存在していますので。

ただ、マンナンという名称は企業名になっていますが、実はこんにゃくに多く含まれている成分は正確には“グルコマンナン”で、マンナンという言葉はマンノースを主成分とする多糖類の総称のことです。
とはいえいずれも化学成分の名称から来ていて、この言葉の語源は「マンノース」という糖成分の化学名から来ています。
以前にもこの糖類成分の解説を記事にしたところですが、グルコースとマンノースという糖成分が結合したのが“グルコマンナン”と呼ばれています。

Tatoo類?
https://cosmetic-web.jp/column/glucose/

体内に入ってから水分をたくさん吸って数十倍に膨らみ、そして消化されずに排泄されることから、ダイエット食品として有名になっているわけですね。

ここまで読んでこられると、糖類や多糖類って化粧品によく使われる成分と思い浮かぶことでしょうから、これが化粧品に使われるのは不自然ではないことはお分かり頂けるかと思います。
もちろん天然由来成分ですので、人にも環境にも優しいのは言うまでもありません。
では、化粧品でどういった用途に活用されるのか、解説していきましょう。

糖類は保湿成分の勇

以前の記事でもご紹介した通り、糖類や多糖類成分は水分を保持する機能を持っていますので、化粧品では保湿成分としてよく使われます。
お砂糖のショ糖をはじめ、ヒアルロン酸もその代表ですね。

これを踏まえると、マンナンは多糖類ですのでヒアルロン酸と同様にたくさんの水分を抱え込む上に、ベタベタしないのも特徴です。
糖のポリマーですので皮膚表面の潤い保持機能になりますが、ヒアルロン酸のような被膜感があまりないので感触の良い保湿性能が期待できそうです。
自然に存在する多糖類は注目株ですし、環境問題を考えてもどんどん栽培できるメリットは大きいですね。

ゲル化剤としての活用

もうひとつの大切なマンナンの特徴は、あのジェルのような特性です。

化粧品は、美容液や乳液のようなトロりとした粘性や、ゲルやクリームのようなしっかりとした粘性は非常に重要な要素です。
化粧水を除くと全くシャバシャバな水みたいな化粧品は、質感に繋がりません。
シャンプーひとつとっても、水みたいな状態ですと使いにくいですからね。
増粘剤という言葉を使いますが、化粧品の設計にとって粘性を付与するためのカルボマーといったポリマーはなくてはならない成分ということになります。

ナチュラル志向のユーザーさんは、こういった粘性を付与する合成ポリマー成分は避けられる傾向がありますし、廃プラによる環境負荷問題も世界的に広まっていますので、植物由来のこのような天然由来の増粘剤は注目されています。

ただ、これまでにも植物由来といった天然の増粘剤はいくつもありましたし、世の中になかったわけではありません。
合成ポリマーが化粧品に多用されてきたのにはきちんと理由があり、納豆のように糸を引いて腐っているかのような印象を与えたり、配合量が多くなってポリマーカスが出てしまったりといった難点があるために、カルボマーのような合成ポリマーが重宝されていただけのことなのですね。

そういう意味ではこんにゃく由来のマンナンも、すぐにトロミをつける増粘剤として使えるかと言えば、そういうわけにはいきません。
これまでも大手ブランドの資生堂さん等も応用を試みてきましたが、合成ポリマーの代わりになるような便利さはどうしても得られません。
あのゼリーのようなグズグズと崩れる特徴は、お肌に乗せてトロリとしてくれないと化粧品にはならず、この溝はどうしても埋められませんでした。
とはいえこの辺りを解決するため、昨今は色々と素材メーカーさんがチャレンジをしていて、今後はちょうど良いトロミを付与する増粘剤として開発が進んでいくのではないかと思います。

とりあえず、合成ポリマーには1%よりもうんと低い配合量で増粘させる大きなメリットがありますので、1%配合するだけで固いゲルが形成されるマンナンの特徴は、他の天然素材では達成が難しい課題を解決する期待が持てると言われています。

合成ポリマーより優れた機能

ここまでマンナンの持つ潜在能力に、石油由来原料に頼らない増粘剤としての期待をお話してきましたが、実は合成ポリマーに劣るどころかより優れた特徴を有しています。
それは、以前にも少しこちらの記事で解説したことのある、他の成分との相性問題です。

例えばもっともわかりやすいのが、以前にも記事で書いた「ゲルに塩を少しでも入れると水のようになる」といった課題です。
これは美容液や乳液といったトロミのあるコスメも同様で、塩を少しでも入れてやると水みたくシャバシャバになってしまいます
昨今は合成ポリマーを使ったクリームがほとんどですので、おそらくユーザーさんがお手持ちのクリームも、ほとんどが牛乳のようになってしまうと思います。

この問題があるために、世の中にはビタミンC誘導体高配合のゲルや美容液・乳液などが存在しないという解説をしてきました。
ビタミンC誘導体の大半は、「塩(えん)」の化学構造になっていますので、これが原因なんですね。
他にも、pHが非常に低い酸のAHAピーリングには美容液といったトロミのある製品が存在しないのも、こういったpHや塩分との相性が悪いことに原因があるのです。

他にも、熱にも強く物性が温度で変化しないのも、合成ポリマーよりも優れた機能と言えます。

このように合成ポリマーも万能な増粘剤ではなく、化粧品を設計する上で欠点を有しているのですが、こんにゃくマンナンはこうした成分とも相性が悪くなく、増粘剤としての潜在能力を持っていると言われています。

そしてお肌にとっても良い機能

最後になりましたが、こうした自然由来の素材には他にも期待できる機能があり、こんにゃく芋にはお肌にとって重要なセラミドも含有していることも分かっています。
もちろん、マンナンではありませんので作る際の副産物として取り出すことになりますが、こんにゃく芋ひとつから様々な成分が取り出せるという興味深い成分構成は、きっと近未来において化粧品設計の一成分として重要な役割を担う成分になるかもしれませんね。
今回はそんなお話でした。

ではまた次週。

by.美里 康人

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