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ロハス(LOHAS)ビジネス(FILE No.087)

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◆◆FILE No.087 / 2008年9月配信◆◆

ロハス(LOHAS)ビジネス

さて、もう皆さんご存じない方はおられないほどに浸透した言葉
『ロハス』です。

でも以前より私はこの言葉の使い方が
どうにもうさん臭い方向に誘導されている気がしてなりませんでした。
なぜなら
あきらかに言葉の解釈を間違った使い方が多いからです。

例えば
スローフード・スローライフなライフスタイル。
自然派志向の食品や化粧品。

一見すると、まさに典型的なロハスと勘違いされがちなのですが
もともとLOHASの語源は
社会学のポール・レイ博士著「The Cultural Creatives」
という本の中で命名されました。
LOHASは、このカルチュラル クリエイティブから派生した言葉で
独特の世界観を持った人たちのライフスタイルを指しています。

このライフスタイルを
ひとことで言い表すのは非常に難しいのですが
その代表的な思想をいくつかあげると

・地球環境について意識が高い
・商業主義の快楽には興味を持たない
・心と体を統合した健康を考える
・人間関係を大切にし、ネットワークに意欲的
・自分達が持つカルチャーの存在を意識していない

こんな感じです。

こうして見ると、確かに共通項もみられるのですが
どこか違和感のあるズレを感じますよね。

そこで事情をさらに詳しく調べてみると・・・
出てきましたねぇ・・・カルトな側面が。

実際にはこの思想の一部を特化して抽出し
このLOHASという言葉を商業化してしまった人がいたのです。

皆さんもご存知、雑誌やショップ『ソトコト』で有名な
株式会社トド・プレス社長の小黒一三氏。
この方がこの言葉は商業的価値があると判断し
登録商標を取得してしまったのです。
そして、このLOHASという言葉を商品の宣伝に使う
もしくはこのショップで扱うには
会費を納めて会員にならなければならない、と。

つまり
マーケティング政策の道具にしてしまったのです。

さらに、2005年にはこんな事件まで起きています。

「LOHASのタネ入っています。シャープの家電」
シャープがこのように無断でLOHASという言葉を使ったということで
トド・プレスと三井物産から警告を受けたのです。
トド・プレスの小黒社長は
「宣伝活動に無断で使っており、断固やめてもらう」
と、言ったと
当時の記事にあります。

だんだんロハスの本質が見えてきました。

例えば、ロハス思想の人たちが購入する代表的なクルマとして
地球環境に優しいハイブリッド車がありますが
トヨタは、ロハスという言葉を使うことを
好まないのだそうです。

他にも、ダムや高速道路の建設に反対する運動を行っている人たちを
ロハスとは言いません。

最近CMをにぎわすCO2の排出低減など
地球環境を考え、公害の削減や省資源のために
最先端の技術開発に取り組む企業
そしてその開発技術者達を
ロハスな人たちと呼びません。

(ここより、フェアトレードショップ「ふぇあうぃんず」を経営する、斉木隆男さんのサイトhttp://fwinds.jp/からの引用)

つまり、本気で環境について考え、行動している企業は
ロハスという言葉でくくられることを好まないのです。
環境保護に熱心で、いちはやくペットボトルのリサイクルプラスチックで
不リースを作ったアウトドア用品メーカー”パタゴニア”では
ロハスと言う言葉を自社のマーケティングに使ったりはしていません。

『パタゴニアのカリスマ創業者イヴォン・シュイナードに聞く
死んだ地球からはビジネスは生まれない』
(2005年10年1日 週刊東洋経済 )

という記事があります。
これには下のようなインタビュー記事が載っています。

日本でも今、LOHASという言葉が流行し始めていることはご存じですか。

アメリカではさほど知られていないと思う。よくわからない。

――わからない? あなたの会社をLOHASと定義づける
米メディアも多いのですが。
LOHASとは距離を保っているのですか。

パタゴニアはLOHASと関係ない。
パタゴニアの顧客とLOHASの顧客は同じだとは思うが
私たち自身は他のどんな時流の流れにも乗らない。
パタゴニアは非常に真剣に環境保全に取り組んでいる。
一方、多くの人たちがLOHASの流れに乗ろうとしているが
その一部は必ずしも真剣ではないと思う。
LOHASは単なるマーケティング用語だ。

私も以前から提言していますが
例えば、植物や自然の素材を使った自然派コスメは
環境破壊を進めていることに他なりません。

つまり
環境を守る活動とはかけ離れたライフスタイル
ということです。

地球環境を守るにはどうすればいいのか。
真の意味でのLOHAS思想と
商業によって利用されているロハス商品の販促とは
きちんと切り離して考えなければなりません。

ちなみにこのトド・プレス社が取得した
LOHASの商標登録は
後に取り消されることになったそうです。

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