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パーマとヘアダイ(FILE No.071)

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◆◆FILE No.071 / 2008年1月配信◆◆

パーマとヘアダイ

今回は、久しぶりに髪の毛のお話について書いてみましょう。

私自身は髪が損傷する原因について
色々な持論を持っていますが
その中の重要な要素のひとつとして
パーマヘアダイによる化学薬剤の影響をあげています。

もちろんこの中には
同様の薬剤を使用する縮毛矯正も含んでいます。

他にもブラシなどによる物理的な影響や
シャンプー時の洗い方などの影響が大きいと思いますが
やはり何よりこの化学反応を利用した薬剤の影響は
かなりの損傷度と思って間違いないでしょう。

今回のお話は
皆さんよくご存知なこのパーマとヘアダイ
これらが髪にどう作用して施術されるのか
少しお勉強してみましょう


まず最初にヘアダイの説明からです。
下図をご覧下さい。

これが薬剤が塗布されていない髪の状態です。
キューティクルが閉じ
内部には髪を黒く見せているメラニン色素が多数存在します。

次に薬剤の1剤と2剤を混ぜます。
1剤はアルカリ性で
pHをアルカリ性にする「アルカリ剤」
酸化されると発色する「酸化染料」が配合されています。

2剤には、1剤のアルカリと反応する事で酸素を発生する
「過酸化水素」が配合されています。
そう。
みなさんよくご存知のオキシドールですね。

この二つを混ぜる事によって過酸化水素は酸素を発生し
髪のメラニンを脱色するわけです。
そして同時にその酸素によって
酸化染料を発色させます。


このようなメカニズムになりますが
まずアルカリ剤によって髪のキューティクルが開き
薬剤が髪の内部に浸透します。

そして図のように
過酸化水素でメラニン色素を脱色し
同時に酸化されて発色した色素が
内部に定着するというメカニズムです。

という事でこの薬剤は
髪のかなり内部まで浸透するという事になりますね。

* * *

では次にパーマ液です。
まず髪のおおざっぱな構造が下記です。
髪の構造は、縦方向の繊維状の繋がりと
横方向の繊維同士の繋がりの2つに分かれます。

縦方向のペプチド(タンパク)としての繋がりは
「共有結合」と呼ばれます。
つまりアミノ酸同士の繋がりでできた繊維ですね。

で、以前にもお話したように
2つ目の繊維の横方向の繋がりには大きく3つがあり
図のように「水素結合」「イオン結合」
そして「シスチン結合」で繊維同士が繋がっています。

パーマ液に関係するのは
この3つ目の「シスチン結合」ですね。
プロセスを簡単に図にするとこうなります。

まず1剤には
アルカリ剤と「還元剤」という薬剤が配合されており
アルカリでキューティクルを開いておいた上で
還元剤を浸透させて髪のシスチン結合を切断します。
この薬剤が「システイン」「チオグリコール酸」です。

最初の1剤を塗布する事で
②の状態になって切断されます。
その状態で円柱のロットを巻く事で髪を変形させ
そして③で2剤を塗布します。

この2剤は「酸化剤」といって
②で切れたシスチン結合を③のように元に戻してくれます。
これで、曲がった状態で固定されるというわけですね。
この薬剤は主に「ブロム酸ソーダ」が使われます。

これがパーマ液の仕組みです。
これは、縮毛矯正も同じです。
ようは、まっすぐな毛を曲げるのか
曲がった毛をまっすぐにするのかだけの事です。

以上が髪の毛を薬剤で施術する仕組みです。


ここで大切な事は
やはりどれも薬剤が髪の内部に浸透するという点。
そして、アルカリでキューティクルが開くという点です。

こうして薬剤が髪の内部に浸透するという事は
やはりそれだけ髪の内部まで損傷を受けるという事。
しかも元に戻すのは至難という事が分かります。

そしてアルカリについては
シャンプーもこれに該当する事になります。

これらの薬剤ほどにはアルカリも強くないため
髪の内部の成分が溶け出してくるほどではありませんが
それでも弱アリカリ性のシャンプーでは
キューティクルは多少なりとも開きます。

それは、のちに酸性に調整されたリンスや
トリートメントなどを使う事でキューティクルが閉じられ
手触りがツルっとなる事で分かります。

これは、アルカリ性の代表である
石鹸シャンプーも同じ事ですね。
酢やクエン酸リンスを使うとツルっとなるのも
アルカリによって開いたキューティクルが
閉じる事によって起こる現象です。

いずれにしても
アルカリ性のシャンプーは髪のキューティクルを開き
髪内部の成分が多少なりとも流出することになりますし
その状態でゴシゴシと物理的なチカラを加えるというのは
決して髪にとって良いことではありません。

という事は
中性~酸性のシャンプーがより理にかなっている事に
間違いはありません。

ヘアケアのご参考までに。

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