◆◆FILE No.028 / 2006年11月配信◆◆
チタン・亜鉛って・・・その2
さて、FILE No.024からの日焼け止め関連のテーマでしたが、今回が最終章となります。
前回は
酸化チタンや酸化亜鉛の粒子の大きさが技術のポイントであるという事と
さらにきちんとダマにならないよう
その大きさに分散できる技術力があるかどうかが
品質のカギである事をお伝えしましたね。
この酸化チタン・酸化亜鉛
まだその他にもUV遮蔽機能に大きく影響する隠れたポイントがあります。
その一つは、コーティング(被覆)です。
皆さんは、酸化チタンが持つもっとも顕著な性質をご存知でしょうか。
いきなりお答えを書いてしまいますが
それは『光触媒作用』です。
「光触媒ってなに???」
一般の方にはあまり耳慣れない言葉ですね。
光触媒とは
光が当たる事によって化学反応が誘発される性質の事をいい
酸化チタンの場合は
強い酸化作用を示す事がよく知られています。
例えば
酸化チタンを水に入れておいて光を当てるだけで
水が水素と酸素に分解するほど強い酸化作用を持っています。
一般の工業では
この性質を抗菌・防汚・消臭などの目的で活用しています。
ちなみに
新幹線の外板を酸化チタンでコーティングする事で
汚れ防止効果の実験がなされているのは有名です。
話が反れましたが
この酸化作用がお肌に対して及ぼす影響は
当然皆さんわかりますよね。
アンチエイジングでいつも話題にあがる「抗酸化」から分かるように
もちろん皮膚の老化・シワ・シミの一番の原因になってしまいます。
つまり、紫外線による老化への影響を守るための素材を使う事が
本末転倒となってしまうんですね。
ですから、化粧品に使われる酸化チタンは
必ず何かでコーティングをしてあげないといけないわけです。
それが、シリコンであったりシリカやアルミナなんですね。
そしてもう一点大切な点は
この酸化チタンがお肌にいつまで残っていてくれるか
という問題です。
そう、つまり水や汗や皮脂で流れ落ちてしまってはなんの意味もありません。
ここまで来てもう皆さんも分かりましたね。
日焼け止めがなぜ水系の処方になっていないか
そしてなぜシリコンベースの製剤がほとんどなのか。
- 一次粒子にまで分散できる溶媒
- 酸化チタンの光触媒作用を避けるためののコーティング剤
- 皮膚にしっかりと残すための素材
この三つの条件を同時クリアできるのは、今のところ世の中にはシリコンしかないからに他なりません。
どこかで見た事がありませんか?
水系の乳液処方に配合されているような
「簡単に洗い流せる」日焼け止めを。
特に、水が多いと光に当たるとどうなるかは・・・
上にも出てきましたね。
ご注意あれ。
カルトですよ、カ・ル・ト。