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シリコン?シリコーン??その2(FILE No.026)

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◆◆FILE No.026 / 2006年10月配信◆◆

シリコン?シリコーン??その2

さて今回は、シリコンについての続編です。
前回挙げた4点の特長の中で、今回は特筆すべき4.の部分のお話です。

一応、再度あげておきます。

化粧品にシリコンが使われる理由
  1. 生理的に全く不活性であるため、生体に対しての安全性が非常に高い。
  2. 構造が単純なので、化学的に非常に安定である。
  3. 無機物のポリマーであるため、他の物質に影響を受けない。
  4. 非常に高レベルな撥水性を有する。

この4.の耐水性は
化粧品にとって活用されるシーンがたくさんある事は
お分かり頂けるかと思います。

そう
日焼け止めのように紫外線防止効果を長時間維持するためには
汗や水で製品が流れてしまわないようにする必要があります。

そしてメイクものでは

・ファンデが長持ちするような剤型。
・落ちない・移らない口紅。
・お肌に着いて落ちないパウダー。

となります。
皆さんの感覚では、油でいいんじゃないの???
と思われるかもしれませんが
残念ながら、人間のお肌は皮脂膜に覆われ
なおかつどんどん分泌してきますので
油だけではいつのまにか落ちてしまうんですね。

そこで
水にも油にも溶けないシリコーンの登場となってくるわけです。

今ではシリコーンは、広く使われています。

シリコーンの使用例
  • 日焼け止め剤型のベース
  • メイク下地剤のベース
  • パウダーファンデに使われるお粉や酸化チタン・酸化亜鉛の表面処理
  • 口紅のベース
  • チークなどの粉成分の表面処理など

また
シリコンと言えばもっとも重要なのはヘアケアです。
死んだ組織である髪の毛は
外気や外部からの物理的なダメージから
きちんと保護してあげなければならないからです。

なぜなら
お肌のように、「荒れた」といって自然修復を期待できる組織ではありませんから。
ここでも、オイルを使えば良いという意見が聞かれますが
オイルこそ髪に厚い皮膜を作り
髪をベッタリと重くしてしまいます。
その割に
保護効果は頭皮から分泌する皮脂に負けてしまいます。

おまけに
櫛やブラシによる摩擦係数の緩和能力は
オイルとシリコンでは雲泥の違いがあります。
それは
昔体験したワックスをかけた車の表面を
思い出していただければ分かるかと思います。

昨今
このシリコンを使わないヘアケア商品を売りにしているメーカーもいくつか存在します。
しかしながら
その変わりとなる保護効果を発揮する素材を
きちんと配合している商品をみかけた事は皆無です。

もっとも、そういった優れた素材が他に世の中に存在しないので
当然の事なのですが。


ここまで述べてきて
皮膚に対する影響の問題で、懸念すべき重要な問題点がある事に気付きます。
つまり、デメリットです。
よく一部の自然派の方々が非難する
シリカ(Si)のポリマー形状がもたらす撥水性の皮膜
という事になります。
これでこの方達が心配するのが
「皮膚呼吸の妨げ」です。

しかしながら
しっかりと化学の進化に目をむけて下さい。
ようするに、車のワックスのシリコンのままで
化学の進歩は止まっていると錯覚してはなりません。
いまやシリコンは、劇的な進化を遂げています。

進化するシリコンの一例
  • 室温で徐々に揮発していくシリコン
  • アミノ酸との化合シリコン
  • 油に溶解しやすいシリコン
  • 水に溶けるシリコンエマルジョン
  • 網目のように穴だらけの皮膜でありながら毛穴の凸凹を埋めるシリコンポリマーなど

ようするに
単にお肌の表面に水も空気も通さない
ビニールのような皮膜を作るシリコンの時代は
既に終わっています。
もちろん、そういったシリコン「ジメチコン」も
用途によって使われる事もあります。

ただ
それは皮膜を作るほどの量を製剤中に配合するのではなく
少量を油と混合する事によって
全体的に皮脂への耐性を持たせるといった使い方をします。
現実に成分表示を見ても明らかなように
前から三番目までに
昔からの「ジメチコン」が表示されている事は
皆無なはずですね。

お肌に対して一切悪さをしない善玉成分を
悪者扱いしてはなりません。

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