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保湿剤の有名人~その6:ミツロウ(FILE No.019)

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◆◆FILE No.019 / 2006年8月配信◆◆

保湿剤の有名人~ミツロウ

さて、今回の題材はミツロウです。

ミツロウが一体何なのかは
皆さんよくご存知かと思いますが
念のためにいつも通り説明をしておきましょう。

ミツロウは、漢字で書くと「蜜蝋」。
読んで字の如く、ミツバチが作り出すものだというのは
よく知られている事です。

でも・・・
どうやって作り出すの??
ここは意外と知られていないようです。

ミツバチが、お尻からロウをニュルニュルと出すわけではありませんね。
実は
ミツバチは巣の中でどんどんハチミツを作って貯めていきますが
このハチミツを巣から取り出し
繰り返し繰り返し蜜を作らせていくうちに
例の六角形の巣の壁に
ロウ質のものが蓄積して、分厚くなっていきます。
この蓄積したものが、ミツロウなのです。
つまり、これをガリガリとこそぎ落として
精製するという訳ですね。

*

さて、ミツロウと言えば
ローソクを思い出す方もおられるかもしれませんが
今巷で話題になっているのは
手作りのクリームなどに使われる素材でしょうか。
他にも、ハンドクリームとして活用されている方も多いようです。

このミツロウ
精製度や産地によって様々なモノが出回っています。
精製されていない純品とアピールされているモノから
白く精製されたモノと、種類もたくさんあるために
選択に迷われた方も、多いかもしれませんね。

ただ、アレルギーの問題を考えた時
とりあえず白い「サラシミツロウ」以上の品質のものをお勧めします。
ちなみに
化粧品メーカーが使う品質のミツロウは「ビーズワックス」と呼ばれ
精製度も大変高く
色もほとんど真っ白なもので、においもほとんどありません。

で、このミツロウですが
なぜ手作りコスメの方々の間で評判になったのでしょうか。

一つには天然素材である事
そして、比較的温度で溶けにくく
高温で溶かしてエキスやエッセンシャルオイルと水を練りこむ事で
一見クリームのような状態を再現できるワックスという事が
よく使われる要因となったようです。
そして
確かに皮膚科で使われる軟膏剤にも
ワセリンにこのミツロウが配合されている事も多く
その辺りが、効能を期待する
一つの理由になっているのかもしれませんね。
ようするに
比較的入手しやすく、簡単にクリーム様のテクスチュアのものが作れる
保湿剤といったところでしょうか。

現にこのワックス状のミツロウは
皮膚の表面を覆ってくれる事で水分の蒸散を防ぎますので
保護的な意味合いで
かなりの保湿効果を発揮してくれます。
保湿の用語で言うと
「エモリエント剤」にあたります。

つまり、前回取り上げたワセリンと同様の効果ですね。
しかも体温程度の温度では溶けないために
より隠蔽効果が期待できます。

しかしながら
ここにも実はカルトが潜んでいたのです。

確かに考えてみれば
最近の市販化粧品で
ミツロウを謳い文句にしているような商品はありませんよね?
随分と昔から化粧品原料として使われてきたミツロウが
もしもそんなに有効性の高いものなのであれば
もっとスキンケア商品市場でアピールされても良いはず。
やはり、そこにはきちんと理由があるんですね。

その理由についての第一点目。
それは使用感です。

過去の化粧品業界の歴史を紐解いてみると
その昔、リップや口紅などのメイクアップ製品に使われてきました。
そう
これらは、唇の水分の蒸散を防いで乾燥を軽減するための素材として
使われてきた訳ですね。
そして一部には
スキンクリームなどに保湿剤として配合された事もありました。

でもここでよく考えてみて欲しい事は

こうした、リップに使われるようなワックス成分をお顔に塗布する事・・・。

皆さんは、毛穴を塞いでしまうという素材に対して、抵抗があったはず。
そして、車のワックスに使われているような素材を
スキンケアに使用する事も。

化粧品技術者は
こうしたお肌への欠点を避けるために
皮膚の隠蔽感のない
そして、よりサラっとした使用感が得られる素材へと
移行していった訳です。

という事は
化粧品業界においてはこのミツロウ
随分と前に過去のものとなってしまった素材だったのです。

まして
家庭で作られているミツロウクリームのように
大量に配合して固めたクリームというのは
とても使用感に耐え得るものではないという事ですね。

*

さてさて
実は、もっと重要な問題点が理由の二点目にあるのです。
それは次回の項の後半にお話が繋がっていきます。

ミツロウで関連性があるといえば・・・。
そう。

次回はハチミツです。

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