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魅惑の数字は、マジック<原液編> その6

原液コスメ

以前にも幾度かに分けて取り上げました
数字のマジックシリーズ」。

ちまたの化粧品の広告ツールとして
数字で消費者をあざむくトリック明かし
そのような内容でした。

で、最近また新手のやり口がちまたに広がっているようですので
今回はこのシリーズの6作目(笑)となります。

「原液」の概念とは?

化粧品の世界では
「原液」という言葉をよく耳にするかと思います。

普通は一般的に原液という言葉は
「もっとも濃い現物の状態」とイメージされるでしょう。
言い替えると「希釈しない」ということでしょうか。

なので例えばコラーゲン原液というPRの製品でしたら
私達のような作り手が原料として仕入れるコラーゲン液が
原液ということになりますね。

普通はこれ以上濃い原料はありませんし
この原料をそのまま消費者さんに提供するのは
まさに「原液コスメ」ということで間違いありません。

ところが実は
これには色々と課題が残されています。
それがマジックの仕掛けに繋がっていきます。

「希釈」か「そのまま」か、そして「濃縮」

この説明に入る前に
飲料の世界でも同じような問題があったことを取り上げると
この先の説明が非常に分かりやすくなります。

それは「果実ジュース」の世界です。
果実系のジュースには必ず
含まれる果実の【%】が明記されています。
これは食品の責任表示として法的に決められています。

ここで出てくるのが「100%」
もっともカラダに良さそうですもんね。

果実ジュースの100%といえば
そう、簡単にいえば「生絞り」です。
これがもっとも濃いことになります。

ところがこれは
防腐剤が入れられないので腐ります。
また、例えばお茶であれば
色が茶色く変色(変質)してしまいます。

もっと言えば、ぶどうジュースの生絞りは
どんな色になると思いますか?
はい、紫色ではないですよ。

紫色なのは皮ですから。
巨峰の実を絞ったジュースもほとんど色がありません。
なので、ちっともぶどうジュースらしくなく
色をつけなくては売れないことになってしまいます。

他にも意外とそのまま食べるのと違って
味は水っぽくておいしくないといったこともあったりで
生絞りが飲料として
良い製品になるとは限らないんですね。

そこで生まれた技術が
「濃縮果汁」です。

つまり、絞った果汁をどんどん濃縮して
一旦は100%以上の濃さにしておいて
それに甘味料や着色料・防腐剤などを添加し
最後に水で100%に戻したジュースが出てきたのですね。

これを「濃縮還元」と呼びます。

これは、「100%」と表示して良いのか?
また今回の課題のような「原液」と呼べるのか?

ここが食品の業界で大きな議論となり
結果的に「濃縮還元ジュース」というカテゴライズとともに
愛媛みかんで有名な生絞りの「ポンジュース」とは
きちんと分けられたというわけです。

つまり、正しく表記しましょうという事ですね。

希釈してないものが基本原則

ということで、化粧品業界のお話に戻りましょう。

化粧品に使われる原料にも
最初から水分を多量に含んでいるものもあり
コラーゲン液もその代表です。

あれはもともと原材料から抽出した時点で水分を含んでいますので
決して水で薄めてあるわけではありません。
なので、コラーゲン成分そのものは1%程度の含有量ですが
いってみれば「コラーゲンの生絞り」と考えればよいわけです。

なのでこの原料をそのまま瓶詰めにすれば
これが「コラーゲン原液コスメ」になります。
プラセンタ原液などもこのひとつになります。

希釈しても原液とは、これいかに

さてここで、大きな問題が起きてきます。
「ヒアルロン酸原液」なるコスメが世に登場します。

意外なことにユーザーさんの中には
いまだにこの製品がヒアルロン酸の100%ものと
信じ込んでいる方がおられます。

誤解してはなりません。
あれはヒアルロン酸Naの「1%希釈液」です。
つまり、生絞りではありません。

驚かれた方も多いかもしれませんが
あれはコラーゲンなどと違って
もともとは粉状の100%素材を
水で溶かして薄めたものです。

「ええっ! なら、原液じゃないじゃんか!」

お怒りはごもっとも。
これは業界でも大きな議論の的になりました。

なにせ、とうとう100円均一でも
1mL入りのが売られてしまい
世に大量に出回って認知されることになってしまったからです。

入手できる原料 を原液とする鉄則

さて、もともと厚労省の薬機法的には
化粧品のPR手法として
「濃度が濃いイメージのPRを認めない」
というのが鉄則でした。

化粧品の成分なんて、中身を見ても見えない世界ですから
濃度なんていくらでもウソをつけますし
ものさしがないので
%を謳うのはご法度とされてきました。

そんなですから
もともと「原液」というPRなんて絶対に認められなかったのですが
原料をそのまま瓶詰めした化粧品は
100%というのはウソつきようがないですし
事実なんだからとの主張が通り
原料の生詰化粧品に関してだけは
100%や原液という言葉は
致し方なく認められてきた経緯があります。

なのにここへきて
ヒアルロン酸という原料を水で薄めたものが原液というのは
土台あり得ないのがヒアルロン酸の事実なのです。

なのになぜなのでしょうか?

それは、化粧品を作る製造工場において
利便性や取り扱いがラクなように
1%に希釈しておいた原料が販売されるようになったからです。

つまりその原料をそのまま瓶詰めした
「原液」というわけですね。

さすがにこれには厚労省も困り果てましたが
「まぁ、原料をそのまま詰めたのであれば、なんとか原液と認めよう。」
という緩和措置が取られたというのが真実です。

原液は、どこまで認められるのか?

以上のここまでは
これまでのボーダーラインとして認められてきていました。

そうなると今度は
これを利用する輩がまた出てくるのがこの闇の世界。

まさに私が目にしたのはこちら

「セラミド原液5%」をウリにしています。
普通にユーザーさんがこれをみて感じるのは
小林製薬さんのヒフミドも驚きの
「生セラミド5%」!!
凄いと思ってしまうわけです。

ここにヒアルロン酸と同様の裏があるなどとは
誰も知り得るはずもありません。

セラミドという原料はヒアルロン酸と同様に
もともと100%モノは粉のパウダー原料です。
なのでそれが5%もよく配合できたなと
私達業界人でさえも驚いてしまう次第です。

ところが私はある意味職人です。
すぐに全成分を確認します。
すると、なんとなんと
セラミドはズイーっと後ろにあるではないですか。
5%ならば、少なくても保湿成分のBGやグリセリンなどの前か
もしくはすぐ後ろに位置しなくてはなりません。

全成分)水、ラウリン酸メチルヘプチル、グリセリン、ペンチレングリコール、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、セラミドNP、セラミドAP、セラミドEOP、フィトスフィンゴシン、コレステロール・・・以下略

一目瞭然。
5%も配合して、粘性を付与しているアクリル系ポリマーの後ろなんてあり得ませんので。

そして他の成分をしげしげと確認すると
ようやく事実が見えてきます。

プレミックス原料という穴

このプレミックス原料という言葉も
昨今は少しユーザーさんの間でも認知が得られてきましたね。
意味するところは
いくつかの原料を原料メーカーさんで混ぜたものだとか
ヒアルロン酸のように希釈された原料という意味です。

皆さんの感覚ではその意義がよく分からないと思いますが
例えば、油性の原料を化粧水あたりに配合するとなると
そのままでは水に溶けませんね。
なので界面活性剤といった可溶化剤を必要とします。
つまり、そこに界面活性剤をつかいこなす
技術力が必要というわけです。

そんな技術すらお持ちでない化粧品工場向けに
このような原料がメーカーから販売されています。

というわけでこの商品の事実は
「セラミドが数%配合されたプレミックス原料を5%配合した製品」
ということです。

ということは
セラミドの含有量は0.2~0.3%程度ということになります。
なので、セラミドのコストも1/20以下で済みますから
死ぬほどお高いセラミドを
たったこの金額で達成できたのも納得したと同時に
「これは詐欺とは言えないのか?」
とまで感じた、一件でありました。

この処方設計の製品は
OEM会社としてあちこちのメーカーさんにも提供しているようで
ネットで頻繁に見かけますね。

ウソじゃなかったらそれでいいのか?
だって言葉を誤解して購入されたユーザーさんにとっては
ダマされた詐欺商品と同じようなもの。

この論点は、さすがに厚労省もダマって見てはおれません。
誰が見たって誤解を招くからです。
この手法は薬務課から指導も入っていると耳にしています。
明らかに景品表示法の違反であり
違法行為です。

前回の記事と同様に
こんな仕事は絶対に手掛けたくありません。
「億」を積まれてもお断りなじーさんでありました。

いや、10億なら考えるかも(笑)
では、また。

by.美里 康人

2 COMMENTS

管理人

(2020年04月22日 21時28分29秒 なつこさんより頂いたコメント)
トゥベールさんの4.5%セラミドも同じですか?よくよく説明見ると原液ではないと書いてありました。でも消費者はセラミドが4.5%も!となりますよね。
トゥベールさんの記事もお願いします!

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美里 康人

(2020年04月23日 13時31分51秒 返信)

なつこさん

ご訪問、そしてご意見ありがとうございます。

私の本職の性質上、大手ブランドさんなど明らかに無関係なメーカーさんのオススメ記事はさておき、どうしてもお仕事上関係してくる可能性のある中小ブランドさんのオススメ記事は、ステマと誤解されてしまいますので、意図的にあまりとりあげてきませんでした。
また、メーカーさんから要望頂いても困りますし。
本当に申し訳ありません・・・。

でもユーザーさんの立場になればそういうのこそ情報が欲しいと思いますし、今後はこうしてご要望頂いたアイテムなどにつきましては、理路整然と評価していこうと思います。

次回の記事で取り上げさせて頂きますね。
ご要望、ありがとうございます。

追記:
言い訳になりますが、昔は@cosmeのchiecoで広くアンサーしており、悪意のあるグループにステマ扱いされて痛い目に合いましたので、自粛しておりました(苦笑)

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