突然ですが
皆さん、花王さんの洗顔・ボディソープは
世にある他社の全ての製品と
全く異なる洗浄剤って知っていましたか?
10年ほど前のこちらの記事でも説明したことがあり
「うんうん!」と懐かしむユーザーさんも
おられるかもしれませんね。
(いやぁ…歳くったもんですね…汗)
で、これはドラッグコスメのビオレに始まり
最上級のESTに至るまで
統一して徹底されて…「いたんです。」
で、今回のお話はココ↑
「いたんです」(過去形)になっていることに
私も最近気付いた…という話題です。
しかも
記事にしたわずか1・2年後に…ですから
知らないにもほどがある!って話ですよね(苦笑)
いやはや、本当に申し訳ないです…。
化粧水や美容液といった
ものさしも明示しない曖昧なスキンケア商品の評価や採点を
堂々と記事にして専門家を気取る人達を否定しておいて
(*配合量も分からないのに、決して信じちゃダメですよ)
機能性コスメを中心に論じている自分がこれでは
本当にダメダメですよね!
心底反省してます…本当にごめんなさい!(ー_ー;)
で、何がどうなったのか本題ですが
まずはそれまでの洗浄剤を復習です。
花王さんは1980年に発売されたビオレで
独自開発洗浄剤「MAP」(モノアルキルフォスフェイト)を世に送り出しています。
弱酸性をPRのメインに置き
TVCMも頻繁に繰り出していましたので
記憶にある方は多いでしょう。
花王さんはこの洗浄剤をすべてのスキンケアアイテムに採用し
大手他社の「石鹸系洗顔フォーム」とは差別化していました。
化学構造のメカニズム的には
石鹸の化学構造の中にリン酸を取り入れ
皮膚への安全性と
pH域を中性域に調整できることを
大きな特徴としていました。
そして、ここからおよそ30年に渡る
この独壇場は続きました。
これがMAPと呼ばれたモノアルキルフォスフェイトの歴史ですが
2010年頃からこの「フォスフェイト」
つまり、「リン(P)」の問題で行き詰まりを迎え
ついには撤退を余儀なくされたと
いうことのようです。
「リン(P)」といえば
年配の方はご記憶があろうかと思いますが
その昔、洗濯洗剤に使われていた洗浄剤に
各社活用されて時代を席巻していましたね。
商品の箱には大きく「P」の文字が
デザインされいたものです。
ただ一方で「リン(P)」は
生物にとっては重要な栄養素であり
安全である反面
環境栄養過多を招く恐れが懸念されてきました。
家庭でガーデニングを趣味にされている方は
よくご存じかと思いますが
植物の三大栄養素「窒素(N)リン(P)カリウム(K)」の中に
含まれていますね。
そう、つまり窒素酸化物と同様に
河川に流れるとプランクトンや
海洋植物の栄養源となってしまい
環境の富栄養化を招いてしまう問題につながるとして
市場から一掃されてしまった歴史があります。
皆さんもご存じの通り
赤潮がこの現象の表れと言われていましたね。
この後の洗濯洗剤は
逆に「無リン」の言葉がPRに使われたくらい
洗浄剤の大きな黒歴史となった事柄でした。
(一掃されたいまだに赤潮現象が改善されてないのは、なぜ?・笑)
ということで
花王さんは洗顔フォームの洗浄成分も
このような歴史背景をもとに
撤退を余儀なくされてしまったということですね。
それが2010年頃のことだそうです。
以降、花王さんの洗顔アイテムを拝見すると
脂肪酸石鹸や
安全性の高い両性界面活性剤を使用している処方へと
変わっています。
他社さんとの差別化という意味では
安全性の高い両性界面活性剤と
石鹸とをうまく組み合わせて
独自の設計を心がけています。
泡立ちはさほどよろしくありませんが
低刺激に特化した設計だと言うことができるでしょうか。
掲示板運営・@cosmeの頃から
ずいぶんと久しぶりではありますが
たまには真面目に
全成分から製品の処方評価をしてみました(笑)
と、ここで終わってしまっては
いつもの私らしくないですね!
上の業界の経緯にも
「闇」が潜んでいます。
さて、果たして
花王さんが「MAP」を止めざるを得なくなった理由は
↑の問題だけだったのでしょうか?
もう時効でしょうから、あえてここで触れてみましょう。
ネットの歴史を紐解いてみると
2010年の数年前から「花王不買運動」というのが
社会問題として取り上げられていました。
この不買運動には様々な理由付けがなされ
政治的な背景も絡んでいるかのような
ネトウヨもはびこっていたようです。
そしてそのバックで見え隠れしていたのが
「石けん擁護」の団体です。
花王さんは「弱酸性」をPRの大きな目玉にしていましたので
石けんは完全にその反意にあるわけです。
「アルカリは皮膚に悪いと言っているのか!!」と。
これを裏付けるかのように
同様に弱酸性で低刺激をうたっていた「ダヴ」も
いつのまにか「アミノ酸系洗浄剤」から
撤退を余儀なくされています。
と同時に
「アミノ酸系界面活性剤は合成界面活性剤だ。」
といったネット評価が
あちこちにみられたものです。
(アミノ酸食品調味料「味の素」が、合成調味料だと言われたのをひっかけたそうです)
石けん業界はもう数十年も前から
固形石鹸の売上後退により
一気に縮小を余儀なくされてきています。
ほとんどの弱小石けん工場さんは業態を変更したり
工場閉鎖の憂き目にあっています。
しかし、その大きな社会の動向に逆らってでも
生き残りを掛けて戦おうという工場さんも存在しました。
もちろん、牛乳石鹸さんのように
生き残りをかけて正々堂々と社会の動向に立ち向かうのは
企業として非常に良いことです。
ただ、他者を非難して叩き潰す汚いやり方には
自分は同意できません。
過去の、環境問題や人体への影響を誇張してやり玉にあげて
合成洗剤を叩きまくった黒歴史のように・・・。
企業の固有名詞をここであげたりはしないでおきましょう。
ただ自分は
ユーザーさんのお肌にとって良いものを提供しなければならない
その使命のみで判断をしていきたいと思います。
そういう意味で石けんは
私自身悪い洗浄剤とは思ってはいませんが
お肌にとって
いや、もっと言えば眼粘膜に対して刺激がないとは言えませんし
少なくてもアトピー肌の方は
到底使えない現実が目の前にあることは
決して否定できません。
まだまだ、世には低刺激な洗浄成分があることを頭に置きたいですし
それがうまく洗顔フォームやボディソープに展開されていくことを
切に願っています。
もちろん、私自身も
まだまだ開発を心がけていきたいですね。
では、また。
by.美里 康人