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敏感肌向けコスメの意味とは?(FILE No.088)

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◆◆FILE No.088 / 2008年10月配信◆◆

敏感肌向けコスメの意味とは?

敏感肌向けという言葉は
皆さんにとって非常に興味ある言葉だと思いますが
過去のメルマガではあえて触れずにこれまで来ました。

というのもこの言葉
ひんぱんに使われるにもかかわらず
実際には定義が非常にあいまいだからです。

まず、どこからを敏感肌とするのか
きちんとしたボーダーラインが明示されてないこともありますが
何に対して敏感なのか明確でない点が
きちんと見えてこない根本的な要因でしょう。

もちろんこの道の専門家の私達の間では
ある程度のものさしは存在します。
例えば、著名な皮膚科学者が
下記のような専門書にまとめています。

『敏感肌の科学』

これだけの一冊の専門書になってしまうほど
その定義は難しいという証しでもあります。

ですから、元来こうした専門の知識のない方たちが
根拠もなく安易に使用するのは感心致しません。

化学の理論と同じで
「知れば知るほどに、使うのが難しい言葉」です。
つまり
そこかしこで使われているケースのほとんどは
皮膚科学を知らずに使用している『エセ科学用語』
ということです。

もちろん私自身もユーザーの方々から様々な相談を受けても
「あなたは敏感肌です」などと提言したことは、ほとんどありません。
正しく肌体質を見極めるには
それ相応の観察・経緯・情報が必要になるからです。

例えば食生活や環境・生理周期・精神状態に至るまでが
重要な要素となります。

自分自身の肌質を判断する場合もそうですが
いくつかのコスメに合わなかったからといって
安直に自分は敏感肌なんだと過敏にならないようにしましょう。
もちろん、大切なお顔のことですから
パニック状態に陥ったりで判断を誤るのは
仕方のないことだと思います。

しかしながら、平静を失った状態では
解決策は絶対に見出すことはできないと
キモに命じておきましょう。
原因は、意外なところにあることが多いものです。

さて、ユーザー側における認識の問題点を掲げましたが
本当にもっと大きな問題点はそこではありませんね。

『敏感肌用コスメ』
こうした文句を大きく謳って販売している化粧品業界です。

では、実際問題として普通の一般肌向けのコスメと
どこかどう異なるのでしょうか?

まずは大手ブランドから中堅メーカーあたりまでの例を
見てみましょう。

もちろんメーカーによって考え方やコンセプトは異なりますが
おおまかにあげると以下のような考え方が取り入れられています。

・防腐剤にパラベンを使用しない。
・極力、皮膚バリヤに影響しないよう、界面活性剤を使用しない、もしくは大幅に削減されている。
・皮膚内浸透をしにくいよう作られている。
・薬剤の使用を控え、植物エキスなどによる肌荒れ予防を狙っている。
・外的要因からお肌を保護するよう処方されている。
・油分の配合を控えている。

これらの対策を見る限り
能動的な攻撃型化粧品というよりも
トラブルを避けるための予防的な要素が
ほとんどだということが見てとれます。

これ以外にも例外はありますが
ほとんどのブランドは
こうした点に注意を払った処方となっているはずです。

対して、中堅以下のチープブランドはどうでしょうか?

こちらも様々なコンセプトがありますが
列記すると、だいたいこんな感じかと思います。

・防腐剤・合成色素・鉱物油・合成界面活性剤・アルコールフリー。
・天然素材のみで作られた化粧品。
・オーガニックコスメ。
・植物エキスによる敏感肌改善。

これを見て、上の中堅以上のブランドと明らかに異なる点は
非常に積極的な対策を連想させる文句の羅列というところです。
そう、いかにもトラブルを解決してくれそうな言葉が
並んでいるということ。

でも、どの世界でも同じですが
甘い言葉の裏側には必ず何かあるものです。

上の中堅メーカー以上の敏感肌向けコスメによる
防御的な敏感肌対策は
全て皮膚医学的な根拠の上に立った防御手段です。

反面、こちらの積極的な改善に向けた謳い文句には
一切の学術的根拠が存在しません。
もしくは、謳い文句は立派ですが
実際にその効果が期待できる製剤になっていないケースが
大多数です。

例えば、植物エキスの有効性濃度については既出ですし
合成素材が敏感肌に悪い影響を及ぼすなどといったデータなど
どこを探してもみつかるはずもありません。

以上が敏感肌向けコスメの現状ですが
最後に自分が敏感肌だとお考えの方への
簡単なアドバイスをしておきましょう。

最初に書いたように
まずは自分が敏感肌だと思い込む前に
トラブルを招いた原因をコスメに限定してしまわないことです。
仮にコスメが関係していたとしても
体調や食生活・環境の何かが変わったことで
そのコスメが合わなくなっただけという事例も多く見受けます。
日を変え、シーズンを変えて何度もチャレンジを試み
自分の肌質の特徴を探り当てる努力をおすすめします

また、無料で配られるサンプルを活用し
色んなコスメにチャレンジしてみることも大切なことです。
その中から傾向が必ずつかめるはずですから
試した数だけ自分のデータになります。

少なくても
「私はどうしても○○○のメーカーのコスメが合わないの。」
なんていう事はあり得ませんので。
処方の中に、メーカー特有で全てに含まれる共通項など
絶対にありません。

最後に
貴女に合わなかったコスメは『危険なコスメ』
なのではなく
『貴女のお肌に合わなかったコスメ』
との認識を忘れないでください。

数値のあるものさしがないので少々難解ですが
体に合ったお洋服を選ぶのと同じことですね。

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