美里康人
使う意味があるのでしょうか?
突然ですが、皆さんは洗顔パウダーをお使いですか?
様々な意見があると思いますが、あまり愛用されているというお言葉は耳にしません。
でも、意外とこの洗顔アイテムはやってくれるのです・・・というのが今回のお話。
この記事の目次
洗顔パウダーとは
いまさら洗顔パウダーとはどんなものか説明の必要はないと思いますが、ご存知ない方のために少しだけ製品の特長をご説明しておきましょう。
読んで字の通り、洗顔パウダーとはパウダータイプの粉状の洗顔料のことですが、ファンケルさんのようにボトル容器に入っていて大きめの穴からサラサラと出てくるタイプもあれば、一回分ずつ個別に包装されたパウチ入の製品も多くあります。
使用方法は一回分を粉のまま手に取り、そこに適当な量のお湯や水をこぼれないように加え、泡立ててからお顔に乗せて洗うというプロセスになります。
手で泡立てるのが苦手な方は、泡立てネットを使います。
最初に泡立てネットをお湯か水で十分に濡らしておき、そこに洗顔パウダーをパラパラと乗せてワシャワシャと泡立てて使用します。
大抵の商品は泡だてネットも一緒に販売されていますので、同時に購入すると密度の高い泡になると思います。
ほとんどの製品は、泡立てると粉成分は全て水に溶けて泡になりますが、一部にはクレイが配合されているクレイ洗顔タイプもありますので、これは眼の中に入らないように注意をして下さいね。
泥成分は眼球を傷つけますので、くれぐれも注意して使うように心がけて下さい。
では次に、洗顔パウダー特有のメリットやデメリットを解説していきます。
洗顔パウダーのメリット
スーパーやドラッグストアで洗顔料を探すと、ほとんどがチューブに入ったクリームタイプの製品と、ポンプフォーム容器に入った泡で出てくる製品が主流になっています。
ですので、街の化粧品コーナーでパウダータイプの洗顔製品を探すのはかなり困難かもしれませんね。
でも確かに、最初に説明した使用方法を考えると少々めんどくさく、今どきはポンプフォーム容器の液体洗顔も泡が大変クリーミィで、パウダー状になっていることに意味があるように思えないかもしれません。
そこで、なぜそんな面倒なパウダー洗顔が市場に存在しているのか、その辺りを掘り進めてみたいと思います。
まず、そのメリットを解説していきましょう。
実は少し前に低刺激の洗顔料の話題の記事を掲載し、石けんタイプが主流になってきた洗顔料の世界が変わろうとしているのではないか?といったお話をしましたね。
ただその時にも少し触れましたが、低刺激な洗浄剤は固形石けんやクリームタイプの石けん系洗顔製品のように洗浄剤濃度を濃くすることが難しく、どうしても洗浄力が弱い・泡がすぐに消えてしまうといった難点がありました。
そう、実はパウダー洗顔には、パウダー形態の低刺激洗浄剤をそのまま用いることができるという、大きなメリットがあるのです。
つまり、低刺激洗顔料の技術的な救世主だったというわけです。
ファンケルさんのような大入りな容器に入っている製品でしたら、使用量も自分で調整もでき、汚れによって調整が可能になります。
もう一点は、水がないパウダー状製品であることで、その他の原材料もそのまま配合できるという利点ももっています。
例えば、保湿成分のヒアルロン酸も粉状の素材ですからそのまま配合できますし、他には酵素原料も配合が可能になって酵素洗顔としての付加価値をつけることが可能になります。
いまさらですが一応補足しておきますと、クリーム状や液状洗顔料にも酵素の効果を謳った製品があるようですが、これは酵素の効果はありませんので覚えておいて下さい。
酵素は、水分があるとその時点で性能が失われてしまうことをお忘れなきようお願い致します。
他には上でも少し触れました、角栓除去に特化したクレイ洗顔といった製品も、容易に可能になりますね。
で、一方のデメリットですが、これは上でも述べた通り使用にめんどくささがあることでしょうか。
これがイヤで使うのを止めてしまわれるユーザーさんも多いようです。
他には、個別包装になっている製品はどうしてもコストが高くなり、ファンケルさんのように容量がたくさん入っていないと、他のタイプの洗顔料に比較してどうしてもお高い製品になりがちです。
低刺激な洗顔が多いパウダー洗顔
さて、今回はあまり長くないのですが、市場にあるパウダー洗顔の成分的な傾向を解説していきましょう。
ここまで述べたように、使用方法は少々めんどくさいですが、市場にあるパウダー洗顔は低刺激をコンセプトとした製品が多い傾向があります。
もちろん、中には粉石けんを製品化したタイプの製品も存在しますが、この辺りは以下の成分名をご覧になれば判断がつくと思いますし、ほとんどはこういった付加価値の製品になっていると思います。
市場にある製品をピックアップし、成分を整理してみました。
洗浄剤として多いのが、以下になります。
・ココイルグリシンNa
・ココイルグリシンK
・パーム脂肪酸グルタミン酸Na
・ココイルグルタミン酸K
・ココイルグルタミン酸Na
・(ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸)グルタミン酸Na
・ラウロイルグルタミン酸Na
・ミリストイルグルタミン酸Na
いずれも以前のブログで取り上げた、アミノ酸系の洗浄剤が主成分になっていますね。
目に入ってもシミにくい、乳幼児にも使いやすい洗顔の設計になっています。
(注:薬機法上、”赤ちゃん使用しても安心”とは表記できませんので、明記されていないと思います)
そして他の成分も、ユーザーの皆さんが気になる成分はほとんど見当たりません。
デキストリン
マンニトール
コーンスターチ
タルク
ソルビトール
こういった成分と混ぜて作られていますが、ほとんどはいわゆる口に入っても安全な「糖」ですし、ベビーパウダーの主成分のタルク程度ですから、心配の必要がありません。
でも、なぜこのような成分と混ぜる必要があるのでしょうか?
そこにはきちんと理由があり、洗浄剤そのままの粉だけだと、手にとって水やお湯と混ぜた時にダマダマの塊になってしまうためです。
ササっと溶けやすくするために、あえてこうした糖などと一緒に混ぜてあるのですね。
また、ここで皆さんにとって意外なメリットがもうひとつあります。
防腐剤が不要
そう、実は基本的にパウダー洗顔は、防腐剤を配合する必要性がないんですね。
なので、いわゆる防腐剤フリーということになります。
ここも低刺激なコンセプトであることのポイントでもあります。
でもなぜ防腐剤が要らないのでしょうか?
これはこちらのブログを長くご愛用頂いているユーザーさんなら、もう答えはお分かりですよね。
そう、「水がないから」です。
微生物も私達と同じ生物ですから、生物の3大要素がないと生きられません。
水・酸素・栄養分
例外的には、水分がなくても生きられる微生物や、酸素がない状態でも死なない微生物もいないことはないのですが、これらは特殊な微生物ですのでまず製品中に混入することはないと考えて良く、防腐剤は要らないと判断して良いというわけです。
今回はちょっと異端児なタイプの洗顔料を取り上げましたが、意外と有意義な製品なのだということを理解して頂ければ、その価値もあらためて見直して頂けるかと思います。
ではまた次週。
by.美里 康人