昨日の記事「美白の主役【ビタミンC】秘話01」からの続きです。
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25年以上も前に課題とされたこの問題
美白有効成分としては
バツグンの効果を発揮するこのビタミンC
世の女性の果てしなき夢と期待を乗せ
化粧品の有効成分としての研究が
始まります。
しかしながら
この後想像を超える大きな壁に
ぶつかることになります。
実はこの大きな壁
国内最大手化粧品メーカーS社でさえも
乗り越えることがままならず
つい数年前まで大きく立ちはだかり続けた
巨大な牙城だったのです。
そしてS社は苦汁の決断を強いられ
意外な結末を迎えることになります。
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強い酸性であるビタミンCを
安全に、なおかつ安定に
化粧品に配合するための研究が
スタートします。
まず、酸の状態のビタミンCを
他の物質と反応しにくくしなければなりません。
酸のところに何かをくっつけて
中和してやればいいと考えるのが
化学の常道です。
実は当時から
化学の実験に使う薬品としては
既にそういうビタミンCは存在していたのです。
代表的な薬品としては
酸のところにナトリウムをくっつけた
「アスコルビン酸ナトリウム」
化学反応を利用して
こういう状態にした成分を
化学の世界では
「塩(えん)」と呼びます。
「じゃ、それでいいんじゃないの?」
いえいえ、ところがこの問題は
そんな平坦な道のりではないと
前回に書かせて頂きました。
他の目的で薬品として使用するには
これで良いのですが
化粧品の有効成分として使用するには
大きな問題が残されています。
名だたる大手メーカーでさえも悩ませてしまった
この大きな問題というのは
『お肌に浸透して、メラノサイトで有効性を発揮させること』
この、美白有効成分としてもっとも大切な機能が障害となったのです。
前回を思い返して頂ければ分かるのですが
この一大目的である
「メラニン色素を漂白する」
という効果をビタミンCに求めるためには
酸のままの「アスコルビン酸」
でなければならなかったはずですね。
もっと分かりやすく言うと、こういう事です。
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アスコルビン酸を
お肌に対して刺激がなく安全に
なおかつ化粧品中に安定に配合するためには
酸のうしろに何かをくっつけて
「塩(えん)」にしなければならないが
お肌の中に浸透した時点で
再びアルコルビン酸の状態に
なっていなければならない。
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つまり、お肌の中で再びアスコルビン酸に
分解させてあげなければならないわけです。
でも、化粧品に配合されている状態の時は
分解してはならない・・・。
こんな事が果たしてできるのでしょうか?
様々なメーカーによるその解決策は
次回で