新年あけましておめでとうございます!
お正月休みで、お酒を飲みすぎておられませんか?(笑)
コロナウイルス感染はまだ収束がみえませんが、あとしばし耐え忍んでマスク開放される日を心待ちにし、今年こそいい年に致しましょう。
本年もご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
美里康人
無添加や好きな成分のコスメを探す方法
さて、2023年のスタート企画は、化粧品の製剤ノウハウからあまりオープンにされてこなかったフリーコンセプトコスメについて、ユーザーの皆さんでも該当する製品を簡単にみつけられる製品検索の方法について、公開してみます。
今どきはメーカーさんのサイトなどに◯個のフリーなどと言葉が踊っていますので、何が真実なのか見えてこないでしょうから、自分で確かめることが必要になってきますね。
おそらく、実際には化粧品開発の現場にいる技術者にしか見えてこない裏側と言えるでしょう。
これは私達技術者も活用している方法ですので、ひとつの参考にしてみて下さい。
もちろん、この成分に拘った製品を探したい!といったニーズにも応用できる方法として触れておこうと思います。
ただし、誤解なきようお願いしたいのは、だからとこれらの製品が良いとか悪いとかという意味ではありませんので、そのコスメの良し悪しはユーザーの皆さんでご判断頂きたいと思います。
無添加(フリーコンセプト)が良いコスメという意味ではなく、こだわりのコスメを見つけ出すことができずコスメジプシーに陥っておられる方々に、大量に存在する市販コスメの中からうまく絞り込むためのひとつのヒントを公開したいという目的ですので、あくまでも活用法としてご利用下さいませ。
基本的にはオススメコスメをご紹介するブログではありませんので、初見の方々はご了承頂くようお願い致します。
この記事の目次
避けたい成分はどれ?
さて、ユーザーの皆さんが市販化粧品を選ぶにあたってまだまだ天然由来素材にこだわって“無添加(フリーコンセプト)コスメ”をお探しの方も多いことでしょう。
でも、実際にこのお仕事に携わって、様々なユーザーさんや、さらには化粧品を企画・販売されている現場の方々でも、“どれが避けたい成分ですか?”と伺うとほとんどお答えは返ってきません。
早い話が、成分にこだわりを持ってはいるけれども、実は製品にどういった成分名で含まれているのか理解できていない、ということなのですね。
つまりは、製品がそうアピールされているから・・・とか、メーカーで企画職務にたずさわっておられる方だと“OEM工場さんからそう言われた”といったことで判断されているだけのことというのが現実です。
随分と昔、こちらのブログがまだメールマガジンの頃に、こんな笑い話のようなネタを取り上げました。
こちらのブログをご利用の皆さんにはほとんどおられないかと思いますが、一時はブームにもなった「キッチンコスメ」と呼ばれた、手作りコスメが流行った時代がありましたね。
当然、このような拘りのユーザーさんは、市販コスメが一切信用ならなくなって、合成と言われる石油由来成分や添加物を使わない化粧品を、自分で作って安心したいという目的というのはお分かり頂けるはずです。
とはいえ化粧水といったアイテムは、そういったユーザーさん向けに運営されているネットショッップさんなどから原料を購入し、精製水に溶かすだけで作れますのでさほど問題はありませんが、やっかいなのはクリームといった乳化アイテムです。
根本的に油と水は絶対に混ざりませんので、両方が配合された高い保湿性能を求める乳化アイテムは、キッチンコスメレベルでそう簡単に作れるものではありません。
ところが、こういったユーザーさんをターゲットとして、ご家庭で簡単に作れる素材が出回っていたのです。
ご記憶の方もおられるかもしれませんが、「エマルシファイイングワックス」と呼ばれて販売されていました。
いえ・・・どことは言いませんが、まだ今でも販売されています。
これを購入し、ご自宅で熱いお湯と混ぜてやるだけで、クリームができちゃう魔法のような素材というわけです。
魔法・・・そんなモノがあるわけがないですね。
界面活性剤を使わずに油と水がきちんと混ざって乳化なんて、できるわけがありません。 まして家庭にある調理器具の範囲で・・・と。
私達プロの技術者でも、そんな神業はあり得ないレベルですからね(苦笑)
でも、ご存知ないユーザーさんはダマされるのです・・・。
このエマルシファイイングワックスは、手作りコスメユーザーさんがもっとも毛嫌いされる石油由来系界面活性剤と、その当時指定表示成分だったセタノールとでできているワックスなのです。
しかも家庭に私達が使用する特殊な機械などあるわけがないですから、たっぷりと配合しちゃって適当な器具で混ぜて作るという顛末。
ありえない、まさに本末転倒・・・が、まかり通っていたというわけです。
つまり、素材の構成成分の表記をみてもユーザーさんは分からなかったということなのですね。
ちなみに、化粧品でいう成分名はこちらです。
・ポリソルベート60
・セタノール
今でもこの成分名をご覧になって、合成系と言われる界面活性剤だと分かる方はごくわずかかと思います。
ちなみにこのポリソルベート60は、こういう成分名になるのですが
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20.E.O)
で、ソルビタンという天然由来の糖類と、ヤシ油などから得られるステアリン酸から作られているので、“天然系だ!”と主張される方もおられるのですが、“ポリオキシエチレン”の部分が石油合成成分ですので、その言い分は???と言わざるを得ないですね。
それを基準にしてしまうのならば、世にある成分の中に「合成」とつけられる界面活性剤がなくなりますので、合成界面活性剤という言葉自体が存在しなくなってしまい、それは強引と言わざるを得ません。
別に私自身も合成界面活性剤が悪いとは思っていませんので、正直にユーザーさんと向き合って頂きたいと思うだけです。
成分のターゲッティング
話がかなり横道にそれましたが、こうして無添加に拘りを持つのであれば、その避けたい成分がどれなのか具体的に考えていかないといけませんね。
まずはカテゴリー毎に考えていきましょう。
・防腐剤
・合成ポリマー
・合成界面活性剤
避けたい成分は、こういったところでしょうか。
他には香料などもあったりすることでしょう。
で、ここを出発点にして、次のステップにいきます。
説明しやすいように、今回はひとつの例として「防腐剤を避けたい」というニーズで探していくことにしてみましょう。
まず普通に考えると、防腐剤の成分名を知っていれば避けることができますね。
パラベンやフェノキシエタノールは有名ですので、すぐに分かると思います。
ところが、これで探せるのならばコスメジプシーで困ることはありません。
世の中には星の数ほど化粧品が存在していますので、ひとつひとつ成分名を調べていては膨大な時間が掛かってしまうのですね。
かといって、謳い文句から製品を調べて成分名を調べて・・・などとやっていては、いくら時間があっても足りません。
もちろん、自分が求めている成分を探すのであれば検索する方法は比較的カンタンですが、ことの問題は“避ける方”です。
では手っ取り早くどうやって検索するか、です。
活用できる優秀な検索サイト
さぁ、具体的に上の2成分をキーワードにして調べる方法です。
グーグルなどに成分名を入れる方法もないわけではありませんが、グーグル先生はそこまで賢くありません。 今回の目的は「含んでいない方」ですから。
“パラベンフリー”などといった言葉に引っ掛かった製品などが出てきますが、グーグルアドセンス(グーグルの広告機能)を利用している販売会社さん・メーカーさんが圧倒的に優位に表示されるようになっていますので、数ページに渡りそういった製品しか表示されません。
ではどうするかですが、既に以前からこちらをご利用のユーザーさんはご承知かと思いますが、やはりこちらのデータベースサイトが非常に便利です。
■Cosmetic-Info.jp
https://www.cosmetic-info.jp/index.php
本来はユーザーの皆さんが利用するサイトではありませんし、運営者さんもこうして拡散してもお喜びではないと思いますが、これをユーザーさんが活用されない手はありません。
化粧品だけでも登録製品数はすでに10万件に届こうとしていますので、かなりの市販コスメが網羅されています。
こちらのデータベースサイト、ユーザーさんにとっても非常に活用しがいのあるツールが設置されています。
とてもじゃないですが、無料で使える機能とは思えない素晴らしいツールです。
こちらのココ。
ここに入るとこんな検索ツールが設置されてます。
赤く囲ったところが入力箇所で、プルダウンで選択する項目もありますので、しっかり全て入力して最下部の「この条件で検索」をクリックします。
注意が必要なのは成分名で、正確に入力しないといけません。
例えばパラベンは化粧水の場合は「メチルパラベン」しか使われることはありませんので、しっかりメチルパラベンと入力します。
パラベンとしか入れていないと、メチルパラベンは認識しませんので出てきてしまいますよ。
ただし、医薬部外品のパラベンは「パラオキシ安息香酸エステル」という表記名をされている製品もありますので、この辺りはご注意頂いておかしいなと思ったら全成分のついて調べてみればすぐに分かると思います。
パラベンもフェノキシエタノールも含まれていない製品は、これだけ出てきました。
美容液が欲しいのであれば、美容液カテゴリーに絞って検索すればズバっと情報が得られます。
乳液やクリームも同様に調べていけば、自分の求めるコスメにかなり早くたどり着けることでしょう。
ただ、防腐剤無添加といったって完全に防腐成分が入っていないと腐ってしまいますので、ファンケルさんのように特殊な容器(逆流しない)を使って専用の工場で生産しない限りは、ほぼほぼあり得ません。
必ずと言って良いほど、代替の防腐成分が使われています。
以前にこちらの記事で、防腐剤の代替成分について解説しています。
■「◯◯フリー」の原則と意味の解説~その1
https://cosmetic-web.jp/column/free1/
いかがでしょう。
ほとんどの製品が、こちらの記事に書いた成分名リストのどれかが使われていると思います。
ということは、ここに記載の成分すらも含まれていなければ、これは市場ではまれにみる特殊なコスメということになりますね。
かなりレアなコスメですが、ここから絞り込んでいけばそういった特殊なコスメも探し出すことができるというわけです。
弊社開発の技術にもそういった製品がありますが、こうして調べていくとなかなか世の中にない新しい技術のコスメがみつけられます。
これでちょっと人とは差がつけられるコスメがみつかるかもしれませんね。
前編はここまでですが、後半の次回は「合成ポリマー」に絞り込んで検索する方法について公開していきます。
これは皆さんも成分名が分からないでしょうから、なかなかに難易度は高くなります。
--「カルボマー」を使っていない条件を入れて、同じように調べれば分かるでしょ!
そんな声が聞こえてきそうですが、残念ながら合成ポリマーにはもっとたくさんの成分がありますし、乳液やクリームといった乳化系の製品にはユーザーさんはなかなかご存知ない隠れたポリマーがいくつもあります。
その辺りも抽出可能なノウハウを公開していきます。
ここまでくれば、もう「自分は見る目があるユーザーだ」とい胸を張って言い切れるレベルと言えるでしょう。
メーカーさんも真っ青の次回を、お楽しみに。
あ、再度念を押しておきますが。
次回の合成ポリマーも、使われているから悪いコスメと述べているわけではありませんので、そこは誤解なきよう。
避けたい方は必見ということで、くれぐれもよろしくお願いしますね。
ではまた次週。
by.美里 康人