週3で異なる目線の美容記事をお届け
「ポリマーカス」が発生する化粧品
なぜそんな事が起きるのでしょう
そのメカニズムと対策に触れます
ポリマーカスとは何者?
「ポリマーカス」という言葉、ユーザーさんの間でもずいぶんと浸透してきましたね。
この言葉を初めて目にした方でも、日焼け止めやファンデーションを塗布している時に、ヨレるように消しゴムカスみたいなものがポロポロと出てきた経験はおありかと思います。
もっとも簡単に体験できるのは、「ピーリングジェル」といった製品名で販売されている、ゲルを使ったピーリングアイテムで出てくるあのポロポロが、これです。
もう今どきはあのポロポロが、皮膚にたまっていた角質がとれたモノと思っておられるユーザーさんは、おられないと思いますが。
あのタイプの製品は、このポリマーカス現象をより出やすくなるように製剤の工夫をしてあるゲルコスメと考えれば、分かりやすいですね。
でも、そんなのを使ってもいないのに、スキンケアアイテムの使用時になぜそんなことが起きるのでしょうか。
もしかしたら、そういったポリマーカスが発生する製品の品質が悪いのでしょうか?
また、ユーザーさんの工夫でこれを避ける方法はないものでしょうか?
今回は製品の見分け方も含め、そんなお話を。
発生する条件
上で書いたように、ポリマーカスとは読んで字のごとくで、化粧品に配合されているポリマーが析出する現象のことですね。
スキンケアコスメを使って皮膚になじませている時や、日焼け止め・ファンデーションなんかの塗布時に経験されることが多いかと思います。
でもよ~く思い返して頂ければ何か理由が掴めるはずなのですが、この現象を体験されたのには必ず発生の要因があります。
そこを今回はきちんと解説しておきましょう。
まず析出する物体はポリマーと説明しましたので、必ず使ったアイテムにポリマー成分が含まれていたことになります。
ここでは、ポリマーが成分としてお肌にとって悪さをするかは言及しませんが、少なくてもカスはお肌にとってプラスになることはありませんので、その原因をきちんと探っておくことは大事なことですね。
もちろん、ポリマーカスは日焼け止めやファンデーションの塗布時にヨレて邪魔になったりする程度のことで、お肌に悪さをするわけではありません。
ただ、ここで大事なこととして、こうしたポリマーはもともと水分を保持して保湿成分としてお肌の上で機能してくれる目的で、製剤に配合されていたはずなのです。
保湿成分としてのポリマー「ヒアルロン酸」のように、よくそう説明も書かれていますし。
ということは、これが固体状になってヨレてポロポロと排出してしまうのですから、保湿していた水分も一緒に取れてしまうことに繋がってしまいます。
となると、全くもってマイナス要素はないとは言い切れません。
やはりこうした現象は、できれば避けるべきですよね。
ということで、具体的にその原因を探る方法です。
ポリマーカスが発生する原因は、実は分かりやすいです。
早い話が、ポリマー成分を多くお肌に塗布し過ぎたということ。
で、この「多く・・・」というところが要因決定のキーになります。
すぐさまユーザーの皆さんが思うことは、使ったコスメのどれかひとつを疑ってかかるかもしれませんが、実は問題はそれだけに留まりません。
ひとつのアイテムに限定されない
で、それはどういうことかと言うと、確かにもっとも疑われるのは、スキンケアコスメの中でポリマーの配合量が多い、「ゲルコスメ」です。
そしてケースとしては、この製品のみが原因であることもよくあります。
しかしながら、実は必ずしもそうとは言えず、中堅ブランド以上のコスメをライン使いしている方などは、オールインワンを含むゲルコスメはお使いになりません。
にも関わらず、ポリマーカスを経験することがあります。
これはどういうことかと言うと、最初に使用した化粧水から始まって最後のベースメイクに至るまで、その過程に使用したコスメに配合されていたポリマーが累積した塗布量が、集約されて発生するんですね。
例えば、よくあるケースとしてこんな感じ。
<トロミのある化粧水→美容液→乳液→ゲルクリーム→クリームファンデ>
もう、お分かりになった方もおられますね。
そう、つまりはトロミや粘性のある化粧品には必ずポリマーが配合されていますので、それが最終的にトータルで発生するというわけです。
スキンケアコスメを使い重ねていく中で、どんどん化粧品内に配合されいた水分は肌への吸収と外への揮発が進み、最終的にポリマーの濃度が濃くなって析出するわけです。
もともとトロミをつけるためのポリマーは、全て固型の成分ですので、お肌に吸収でもしない限りは必ず固型になります。
それがごく薄~い被膜程度の量であれば、ヨレて析出することはないというだけのことです。
水に溶けない濃い濃度になっただけではない
そして、さらにはもうひとつ大切なことがあります。
化粧品には、水よりもさらにポリマーが溶けにくい成分がたくさん配合されており、それによってより早くカスとなって出てくることが多い、ということです。
その代表的な成分をあげてみます。
・BG
・DPG
・グリセリン
・ジメチコン、シクロメチコンといったシリコン成分
これらの素材は、どのポリマー成分もほとんど溶けず相性が悪い成分になります。
他にもありますが、化粧品に頻繁に高濃度で配合されるのがこれらですので、ほぼこれらに限定されてよいでしょう。
BGやグリセリンは有名な保湿成分、そしてシリコン類は日焼け止めやファンデといったベースメイク製品には当たり前のようにたくさん配合されています。
つまり、水と違って絶対に揮発しないこれらの成分は、スキンケアコスメの塗布とともに保湿剤として皮膚状に留まります。
そして、水分がなくなってくるといよいよポリマーが溶けている場所がなくなり、最後にはカスとなって析出してしまうメカニズムです。
特にシリコンは、グリセリンやBGなどよりもさらにお肌には一切吸収されませんので、相性の悪いポリマーは非常に吐き出されやすい条件が揃ってしまいます。
そのため、シリコンがベースになった日焼け止めやベースメイク製品を塗布した時が、もっと出やすい経験をするんですね。
つまり、そこまでに塗布したスキンケアコスメに含まれていたポリマーが、ここで一気にまとまってカスになって出るというストーリーです。
もちろん、それぞれのアイテムに配合されていたポリマーは微量で、単体では全く問題となるわけではありません。
しかし、それを重ね使いしていくことで、やはりマイナス要素になってしまいます。
まとめと、使う側の対策
さて、最後にこうした現象が出ることを避ける方法をまとめて、終わりにしましょう。
もうこちらをご利用下さっている頭の良い皆さんは、ここまで書いたことでお分かりですよね。
結局は、「トロミのあるコスメを使い重ねしないこと」です。
そしてさらには、「トロミの強いコスメはポリマー量が多い」という原則的なことになります。
まさにゲルコスメはそのもっとも上の位置にありますので、お使いになりたい場合は他のアイテムを避けることが一番の対策です。
また、オールインワンといったゲルクリームなども、その一番上の位置になります。
中には、単独でもポロポロとカスが出る商品もあります。
「オールインワンはよくないと誰が言った!」
やっぱりそう言わざるを得ないんです・・・残念ですが。
なぜなら、やはり必ずトロミがある勝負コスメの美容液や、フェイスマスクは魅力的ですから、スキンケアをそれ一本にはしたくないはず。
さらに言えば、ポリマーの中にはヒアルロン酸といった、皆さんが大好きな保湿成分も含まれますから、これらの成分をきちんとお肌に補いたい。
なのに、固型になって析出してしまってポロポロこぼれてしまうと、もったいないですよね。。。
しかも昨今のベースメイクは、シワを目立たなくするためにシリコン系のポリマーもよく使われています。
そのため、さらにポリマーカス発生の条件は悪くなっています。
合成ポリマーを嫌うユーザーさんも多く、私的にはそういった成分を全く悪いとは思っていないと以前により提言していますが、それでもポリマーを使わないスキンケアコスメの研究開発をずっと続けていると書いてきているのは、こういったところに理由があります。
ないに越したことはない、その意味ですね。
さて、本来のブログ記事のパターンでは、「そして、ポリマーとはコレです!」と全成分の名前を泣きならべてお勉強にして頂きたいところなんですが・・・。
今回はそれだけで一記事のページになってしまいますので、今回は割愛させて頂きます。
きっと、覚えられそうにもない数ですしね(苦笑)
ちなみに、ヒントとなる全成分のキーワードだけを記して終わりにしましょう。
<合成系>
・カルボマー
・~~~アクリル~~~
・~~~ポリマー~~~
・~~~コポリマー~~~
・~~~セルロース
<天然系>
・~~~ガム(キサンタン・タマリンド他)
・褐藻エキス
こういった成分が含まれた製品で、トロミの強いアイテムは重ね使いしないように注意することで、ある程度防ぐことができますね。
あ、くれぐれも良くない製品という意味ではないので、誤解なきよう。
では、また次週。
by.美里 康人