皆さん、こんにちは。
今回は「特許ってホントにすごい?」の続きで、特許についてです。
前回、特許について今後は化粧品のPRにも活用していくべき
といったお話をしました。
一方で、消費者側の立場に立った時
安直に「これは良い商品に違いない」と判断してはいけない事があります。
今回はここについて触れていきます。
例えば、商品PRのHPやパンフレットに
「特許出願中」
と書かれていて、そこに正規の番号が明記されていると
つい、「おぉー!」と感じてしまうかもしれません。
いや、もちろん確かにすごい技術が盛り込まれている事もあるはずですし
それならそれで、価値ある商品でしょう。
が、しかし
そう判断する前に、よく見て欲しい点があります。
そのポイントを説明してきましょう。
実に簡単な事なので、ぜひとも覚えておいて下さいね。
そのポイントとは、番号です。
特許を提出し、最終的に特許として認められるまでの間には
それぞれの段階で、特許庁から公的な番号が与えられます。
それには段階的に3種類あります。
・特願
例:特願平28-〇〇〇〇〇〇
・特開
例:特開2017-〇〇〇〇〇〇
・特許番号
例:特許第〇〇〇〇〇〇〇号
知らないと、いずれが書かれてあっても
「ほぉ」と感じるかもしれませんね。
ところが、この3つは大きな意味の違いがあります。
まず、特願。
これは特許を出願(つまり、書類を提出)した全てに付与される番号です。
「平28」というのは、お察しの通り平成28年の提出を表しています。
その内容が特許としての価値があろうがなかろうが
仮に、内容が子供が考えたような稚拙であっても
まだ内容は審査されていないので、関係ありません。
つまり、提出書面として不備がない限りは
受け付けました、という番号が与えられます。
この時点で、ようは「特許を出願した」という事になるわけです。
そして、特開。
これは、出願された特許が一般に公開される時に付与される番号です。
ここでも「2017」というのは、公開された西暦年号になります。
これも、出願した特許は18ケ月後には全て公開されますので
特願と同様、内容的な問題は全く無関係です。
ようはここまでは、内容の特異性は全く関係なく
誰でも、どんな内容でも出願はできるという事ですね。
最後に、特許番号。
実はここが重要です。
特許というのは、出願したら3年以内に
その特許を特許庁の審査官に審査をしてもらう否か
ようは、本当に権利化するかどうかを決めた上で
手続きを先に進めなければなりません。
これを、「審査請求」と言います。
ここで初めて結構な費用も掛かりますし
よほど内容に自信がなければ、審査を通らずに却下されてムダに終わりますので
ほとんどの場合は、この手続きに進まずに放置されます。
ここまでの出願段階では
自分で書類さえ作成できれば、手数料程度の些少の費用で済みますし。
そして、出願内容は自然消滅してしまうというわけです。
ですので、まずは出願した特許についてこの審査請求を提出し
審査官の審査を受けた上で
本当に先進性のある技術や商品と認められたものだけに
初めて正規の「特許番号」が与えられます。
つまりこの番号は、特許として認められたものだけに与えられる番号です。
これがまさに
真の意味で「特許を取得した」という事になり
それなりに付加価値がつくモノと認められた事になるわけです。
以上ですが、ようは特許の出願だけであれば
自分で書類作成さえできれば費用はたったの15,000円で済みますし
どんな内容であろうが提出くらいはできますので
「特開」の番号までは、誰でも造作なく付与してもらえます。
まぁ、だからといって
出願時の番号しか明記されていないものが、大した事はないとも言い切れませんし。
過程ですからね。
ただ、もともと審査請求などする気は毛頭なく
ただ単に商売上のPR道具に使う目的のみで提出されているケースも多いため
そこは安易に判断してはいけないと考えるべきでしょう。
一方、かといって、特許番号が書かれているものが全て素晴らしいとも思えません。
この、知的財産を専門に取り扱うプロの弁理士の手に掛かれば
審査官に認めさせるロジックの作り方が実に巧妙だからです。
いや、「認めさせる」というよりも
裏を返せば
「否定理由を出させないロジック」
という事ですね。
ここはさすが、プロだなと思わせるテクニックですし
到底、私達シロートにはムリな仕事です(苦笑)
という事で、今回はここまで。
by.美里 康人