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ナノコスメを知る 秘話13

ナノコスメを知る 秘話12」の続きで
成分を皮膚の奥にまで送り届ける
ナノ技術の説明です。

前回も書いたように
通常の界面活性剤を使った普通の乳化では
成分を皮膚の内部にまで浸透させる事はできません。

もしもそれほどカンタンにできるのであれば
医薬品メーカーはわざわざ薬を口から飲んだりしなくても
皮膚に塗布するだけで有効成分を体内に導入できます。

では、そのナノ技術とはどういったものなのでしょうか?

それは皆さんも耳にした事のある
『リポソーム』という技術です。
そう、コーセーの「モイスチュアリポソーム」という
製品名にも使用されていますね。

このリポソームとはどんなものなのか
分かりやすく説明していきましょう。

模式図をご覧下さい。
リポソームカプセルのイメージ図

この図のようにリポソームは
通常の界面活性剤を使った乳化粒子とは全く異なり
界面活性剤のように親水基と疎水基を持つ
リン脂質(レシチン)がキレイに列を作って横に並び
さらにそれが向かい合って二層に並んで
『脂質二分子膜』を作る事を基本としています。

これは人間の皮膚に存在する脂質構造と同じものです。

そしてこの膜を円形に並ばせて球状にし
その膜の内側に有効成分を内包させる技術が
『リポソーム』です。

また、この球状のカプセルは
ナノサイズの大きさに調製しなければ
安定な状態で維持されないため
結果的にこれはナノ技術という事になるというわけです。

この技術は
医薬品・医療の業界でDDS(ドラッグデリバリーシステム)として
薬剤を体内に導入する技術に応用が進んでいるものです。

最先端の技術では
このカプセルが壊れて内包された薬剤が
放出されるタイミングをコントロールできるところまで
研究が進んでいます。

という事で
昨今のコスメで
有効成分を真皮の奥にまで送り届けるカプセル技術
などといった謳い文句がなされているナノ技術は
これの事を指しています。

さてさて、ここまで少々肩の張る退屈なお話をしてきました。
でも皆さんの興味は
「こうしたナノ技術を謳っているコスメは、全て効果があるのか?」
そして
「本当に、謳われている通りの技術が導入されているのか?」といったところにあるでしょう。

いよいよ次回からその辺りの見極めをするために
化粧品業界におけるリポソーム技術の歴史を
お話していきましょう。

実は・・・といった秘話が満載の次回を
お楽しみに。

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