「ナノコスメを知る 秘話11」の続きです。
前回までに
水の中に油を混ぜた乳化粒子のお話を進めています。
そこで、イメージしやすいように
オイルドレッシングの例を取り上げました。
さて、ドレッシングも懸命に振れば振るほど
オイルの粒が小さくなるように
クリームや乳液も懸命に混ぜれば混ぜるほど油のツブは小さくなり
小さな粒子にする事ができます。
(とはいえ、ドレッシングには界面活性剤は含まれていませんので
いくら振ってもマヨネーズのように白く乳化する事はありません。)
ここで登場するのが
化粧品会社各社が持っている「特殊な混ぜる機械」です。
当然、手でシャカシャカ混ぜるのとは訳が違い
様々な物理理論や先端技術を駆使し
小さな小さなツブにするのが化粧品技術です。
例えば、その攪拌機の物理理論にはこんなものがあります。
・高速で混ぜる
・高圧でぶつける
・すりつぶす
・破壊する
・非常に小さな目を通す
こうした特殊な機械を使う事で
乳液やクリームの乳化粒子をより細かくするわけです。
ちなみに、なぜこうした高価な機械を導入してまで
細かい粒子にする必要があるのでしょうか?
それは、配合する界面活性剤をより少量にして
消費者のニーズに応えるために他なりません。
というわけで
ここでようやくナノのお話に繋がる
『粒子』という言葉が出てきましたね。
そうです。
ここで言うところの『油のツブ』が
乳化粒子なんですね。
そして、それをナノレベルにまで小さくする技術が
ナノ技術というわけ。
「なんだ、そういう事か。」
いえいえ、これで納得するのはちょっと早いのです。
確かに、この一般的な乳化粒子を
単に細かくするだけでも
それはナノ技術と言えるかもしれません。
もちろん、粒子の大きな乳液やクリームに比べると
浸透性もある程度は良いものができます。
これは『マイクロエマルジョン』という技術ですが
ただしそれは、あくまでも角質層のレベルでのお話であって
バリア層を突破し
皮膚内部に成分を送り届けるには至りません。
ここでようやく成分を皮膚の奥にまで送り届ける
ナノ技術の説明に入っていきます。
次回に続く