週3で異なる目線の美容記事をお届け
ジェルネイル業界の話題
あれを化粧品と思っていない方も
多いですね
「スキンケア業界のあなたが、知ってるはずがないでしょ!」
いきなりツッコまれそうですね・・・。
確かに、自分は頭髪業務業界→スキンケア業界の研究者なので、同社内に別の部門があったメイク製品までがせいぜい化粧品技術知識のすべて。
マニキュアと呼ばれるネイルポリッシュは別として、全く製剤メカニズムの異なるジェルネイルについては、全く無知でした。
でも、独立してからちょうど自宅で行うセルフジェルネイルが流行り始め、その時に化粧品メーカーさんから開発依頼を頂いたので、一から学んで知識を得た次第です。
なので、なんとか記事になりそうです(笑)
というのも、ここ数年でこのジェルネイルは、行政から摘発を受けての違法回収事例が多くあるため、今回の記事で取り上げました。
なぜ、そういう事態が起きているのだろう?
今回はそういう話題です。
ユーザーの皆さんは「関係ない・・・」と感じるかもしれませんが、実は怖~い事例もありますので、最後までお読み頂ければと思います。
こういう事態になるワケ
さて最初に触れておきたいのは、なぜこのアイテムに集中して違法事例が頻発しているのか?という点です。
これは、業界の根底にある根本的な問題が、影を落としています。
ある意味、以前に取り上げた「フェイスペイント」と類似する業界の現状が尾を引いていると言えます。
それは、もともとがサロンワーク用の材料だったためです。
ようは「業務用材料」だからということですね。
つまり、この業務用向けの材料は化粧品でなくてもよいことから、ジェルネイル用材料も雑貨製品として販売されていたことが大きな要因になっています。
同じようなものでは、エステサロンさんが使用するマッサージオイル。
これなんかも、植物オイルをそのまま利用したり、時にはエステティシャンの方がお客様の肌質に合わせ、数種類のオイルを混ぜて使用することもありますね。
もっと分かりやすい例では、タイ式マッサージやインドエステなんかは、独自の特殊な素材を使用して施術を行います。
ですので、この業界の業務に使用する素材は、プロが使用する材料ということで化粧品としての製品扱いにならない、いわば治外法権ということになっています。
責任は全てサロンさん・エステティシャンが負うことになるわけです。
ここに実は大きな問題があり、同じような業務形態ではヘアサロンなんかがあります。
ところがこちら業界の美容師さんは、国家資格の免許が必要ですので薬機法を学んでおり、使用する材料はすべて化粧品や医薬部外品としての材料を使うことが決められています。
言い方を替えれば、真の意味でプロということになります。
ところが、エステサロンやネイルサロンは、言葉は良くないですがなんの資格も経験も必要とせず、誰でも明日から店舗を経営することができます。
(お客様に信頼されるかどうかは別問題として)
つまり、技術を監視する組織や法律がありません。
結果的にこのネイルに使われる材料は、化粧品として製造されていない雑貨材料でなんの問題もなかったというわけです。
ところがこの事態が急変したのは、あまりに価格が高い独自技術の「カルジェル」を使わされることが、エンドユーザーさんにとって大きな負担となっていたことでした。
また、この材料のノウハウが判明することで、実は使われている原料は非常にお安いものであることが分かってきたことも関係しています。
結局は、こうした問題から市販のお安い材料がネットショップなどで売られ始め、セルフによる自宅ネイルも流行ってきたことから、問題が大きくなったという流れです。
再度念を押しますが、あくまで雑貨製品なのでその質については皆さんも想像できることでしょう。
化粧品とは言えない品質
実は私自身、趣味の関係からこの原材料として使われているウレタンコート剤を購入しています。
詳しくは書けませんが、いやはやそのお値段を知ってしまうと、もうそれまでのネイル用製品のお値段は、あり得ないと言わざるを得ません。
他には塗装業を営んでいる方も、この裏舞台はご存じのはずですね。
ウレタン樹脂のオリゴマーをコート剤として用い、紫外線を照射することで重合、硬化させて硬い被膜を作るという化学反応を利用しています。
自動車の、外的破損に強い塗装なんかも同じメカニズムです。
当時のカ〇ジェル・ス〇ルプ・バ〇オ・・・と、あのお値段はなんだったのでしょう・・・。
あっと・・・申し訳ありません!
ジェルネイル業界を非難するつもりの内容ではないんです。
少し前まで市販に供給されるネイル材料は、こういった雑貨の化学製品を製造している工場さんが作っていたため、化粧品についての知識が全くなかったことが、昨今の違法回収に繋がったと理由というお話です。
皆さんにも分かりやすい成分の例では、あのキレイな色に使われている顔料。
塗料を作っている工場さんも参入したことから、塗装に使われる顔料・染料が配合された製品が流通していたなんてことも、フツーにありました。
そりゃそうですね。
こうした工場の技術屋さんに、化粧品としての品質を望むのが酷というものです。
ということで、ユーザーさんにとっては本当に恐ろしい履歴があったわけですが、今はきちんと化粧品として製造しなければならなくなったので、かなり信頼性の高い製品に変わってきています。
とはいえ、それでもまだまだ原材料に含まれている不純物に対して試験がなされていなかったり、顔料についても皮膚に安全な成分といった知識は薄いのは仕方なく、まだまだ薬機法に抵触する業者さんが後を絶たない、現状の理由でした。
なお、こうしたジェルネイルの業界の現状を受けて、ネイリストのなんらかの資格制度か、もしくはエステの業界のように自浄団体を設ける必要性が議論されています。
正しく教育を行うため、既に美容学校にはネイル学科もありますし。
というのもこうした問題は、ユーザーさんの爪や指への障害に繋がることがあるためです。
たださえジェルネイルは、ジェルの内側や爪の境目に侵入した水分が滞ってしまい、白癬菌に感染する被害も起きていることから、シロウト施術を避けることが求められています。
いわゆる爪の水虫と言われていますね。
皆さんも十分に注意されて下さい。
ではまた次週。
by.美里 康人